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ただ“かわいいだけ”じゃない… 36歳人気俳優が視聴者を魅了し続けている“不思議な存在感”のワケ

  • 2025.5.21
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(C)SANKEI

「千葉雄大といえば“かわいい”」。かつてはそのイメージが先行していたが、近年、彼の演技は確実にその枠を超え、深化の途をたどっている。2025年現在、36歳となった千葉雄大は、コミカルな役柄にとどまらず、深みある人物像にも挑み続けている。日テレ系ドラマ『ダメマネ!』では、崖っぷち芸人からマネージャーに転身した木村役を演じているが、その姿がSNS上でも「ただただ愛しい」「おもしろ演技がうまい」と好評を博している。一見ふわっとした空気感と笑顔の裏に、見逃せない“芯”を秘めた俳優・千葉雄大の現在地とは。

『ダメマネ!』に見る“ゆるキャラ”の中の真剣さ

『ダメマネ!』で千葉が演じるのは、元お笑い芸人の木村。いまは売れない芸能人の巣窟・芸能4部のマネージャーとして日々奔走するが、かつての相方・溝口(大東駿介)との再起をかけたコンビ復活劇が描かれる第5話では、その“ふわふわ”なイメージに、確かな“重さ”が加わった。

練習中の夜の公園で「優勝できなかったら解散」と告げる場面。そこには笑顔も軽口もない。芸人としての誇りを捨てられず、それでも現実を見据える木村の複雑な内面を、千葉は声のトーンひとつで描き出した。

ゆるキャラ的に愛される役どころでありながら、きちんと“人生の重さ”を背負わせることで、ドラマ全体に深みをもたらしている。千葉雄大の真骨頂は、こうした“コミカルさのなかにある本気”なのだ。

『アバランチ』『アンメット』で見せた“裏の顔”

千葉の演技の幅を証明した作品として外せないのが、綾野剛主演の連ドラ『アバランチ』と、杉咲花主演の『アンメット ある脳外科医の日記』だ。

『アバランチ』では、天才ハッカー・牧原大志を演じ、愛されキャラでありながらも冷静沈着な頭脳派として物語の屋台骨を担った。華やかで皮肉屋、それでいて芯はぶれない。彼の「甘さ」と「強さ」が融合した新境地だった。

また『アンメット』では自信家の医師・星前宏太を演じ、コミカル一辺倒だった印象を見事に覆した。張り詰めた病棟の空気のなかで、必要な一言を“軽やか”に届けるバランス感覚。ここでも、千葉雄大という俳優の“温度調整力”が光った。

特筆すべきは、千葉の演技が「場当たり」ではないということだ。たとえば、主演ドラマ『40万キロかなたの恋』では、宇宙に一人で滞在する“コミュ障”の宇宙飛行士という難役を、実にチャーミングに、そして繊細に演じた。ほぼリモートでの共演ながら、表情や間で「愛される孤独」を丁寧に構築していた。

彼の演技は、突発的なアドリブではなく、脚本と役への理解を積み上げた結果生まれる。だからこそ、どの作品でもキャラクターが“実在”して見えるのだ。

だから私たちは、千葉雄大に惹かれ続ける

近年SNSでは「ふっくらした?」「雰囲気が変わった」との声もある。だが、それは俳優としての“深み”が増した証ではないか。30代半ばを迎えたいま、千葉雄大の魅力は単なる“かわいい”を超え、“信頼できる俳優”へと変貌している。

『ダメマネ!』で見せる“いじられキャラ”としてのコミカルさも、『アンメット』『アバランチ』で見せたクールさも、すべては一人の俳優としての“調和”にほかならない。

これからどんな役で私たちを驚かせてくれるのか? その期待を裏切らないと確信できる俳優、それが千葉雄大だ。


ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。Twitter:@yuu_uu_