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33年前、日本中がドキッとした“衝撃的な名曲” バブル終盤の社会に“風穴を開けた”女性の本音

  • 2025.5.10
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(C)SANKEI

1992年、日本の音楽に“女性の本音”がポップに突き刺さった。

「33年前の夏、どんな歌にドキッとさせられたか覚えてる?」

J-POPではミスチルがデビューし、安室奈美恵もデビューした1992年。バブルが終わりかけていた社会で、世の中にはまだ「若くて可愛い」が女性の価値として当然のように語られていた時代だった。

そんな中で、1992年6月25日リリースされたのが、森高千里の名曲『私がオバさんになっても』。可愛らしいメロディと軽快なリズムに乗せて、曲中ではツッコミのような女性の本音が炸裂する。当時の時代背景からすると、衝撃的な内容と言えるだろう。

この一曲が、“女性の年齢”と“恋愛のリアル”を、あっけらかんとした言葉で問いかけ、時代に風穴を開けた。

「私がオバさんになっても、あなたは変わらずにいてくれますか?」

タイトルも歌詞も、全編に漂うのは“ちょっとした不安”と“少しの覚悟”。森高は“未来の自分”と“相手の態度”を問いかけた。

“見た目が変わっても、私を好きでいてくれる?”――そんな率直すぎる質問を、明るく、でも心の奥から投げかける。

しかもその言葉を発したのは、当時まだ23歳のアイドルだった森高千里。そのギャップが逆に説得力を持ち、多くの女性たちの“これ、言ってみたかった!”を代弁してくれた。

なぜ「私がオバさんになっても」は時代を超えて支持されるのか?

この楽曲がすごいのは、単なる“ネタ曲”でも“女の武器”でも終わっていない点にある。

森高自身が作詞を手がけたことで、そこに込められた“女性の主観とユーモア”が一貫している。言っていることは挑発的なのに、なぜかイヤミがない。

「年齢の壁」「見た目重視の恋愛観」――それらを全部笑い飛ばしながら、実はしっかりと問い直している。だからこそ、当時の女性たちだけでなく、現在の若い世代や当時若者だった年齢の女性たちにもなお愛され続けている。

「森高らしさ」の真骨頂=“かわいくて、ズバッと言う”

森高千里のイメージは、「ミニスカ」「ポップ」「マイペース」。だが「私がオバさんになっても」で見せたのは、可愛いだけではない“鋭さ”だった。

アイドル的ルックスでありながら、歌詞の内容では一歩引いた視点で恋愛や社会を描く――その“メタ”な立ち位置が、90年代の女性像を一気に更新したとも言える。

彼女は、男性目線の理想像に迎合するでもなく、女性の怒りを代弁するわけでもない。ただ “そう思ってるけど、言ってなかっただけだよね?”という本音を、スパンと軽やかに言葉にする。

33年経った今でも、“この一言”は刺さる

今や「オバさん」という言葉そのものが問題視される時代。だが、そんな今だからこそ、「私がオバさんになっても」という一言は、別の意味でリアルに響く。

年齢や見た目ではなく、価値観や関係性で人を愛せるか。そんな本質的な問いを、ユーモラスに、でも真剣に投げかけたこの歌は、まさにポップミュージックの良心だった。

森高千里は、見た目も言葉も“ブレない”まま、今も歌い続けている。そしてこの曲もまた、年齢を重ねるすべての人に寄り添いながら、生き続けている。


※この記事は執筆時点の情報です。