医師「歯を失う可能性も」→虫歯がなくても気を付けて…“NGな生活習慣”と驚きの原因とは？【歯科医が解説】

「毎日歯磨きしているのに、なぜか歯ぐきが下がってきた」「虫歯はないのに、歯がグラグラする」そんな違和感を覚えたことはありませんか？

歯の健康は、単に虫歯があるかどうかだけでは判断できません。実は、日々の生活習慣によって歯の寿命が左右されるといっても過言ではないのです。

今回は、歯科医の視点から「最終的に歯を失うリスクを高める生活習慣」と、その背後にあるメカニズム、そして今日から見直したい習慣について詳しく解説します。

虫歯がなくても“歯を失う”ことがある。その原因とは？

歯を失う原因としてよく知られているのが「虫歯」ですが、実際には歯周病（歯槽膿漏）が最大の原因だとされています。

歯周病は、歯と歯ぐきの隙間（歯周ポケット）にたまった歯垢（プラーク）に含まれる細菌が、歯ぐきや歯を支える骨を少しずつ破壊していく病気です。
初期には痛みや腫れが少なく、気づかないうちに進行してしまう“サイレントディジーズ（静かな病気）”とも呼ばれています。

特に中高年以降では、虫歯よりも歯周病によって歯を失う人が圧倒的に多く、厚生労働省の調査でも、40歳以降の抜歯原因の約4割が歯周病であることが報告されています。

つまり、「虫歯がないから安心」ではなく、毎日の生活習慣を見直して歯周病のリスクを減らすことが、歯を守るうえで非常に重要なのです。

歯を失うリスクを高める“NG生活習慣”とは？

ここでは、歯科医が警告する「歯を守るために避けたい」生活習慣を紹介します。
一見すると無害に思える行動でも、歯と歯ぐきに悪影響を及ぼしていることがあります。

1. 間食・甘い飲み物の習慣

甘いお菓子やジュース、砂糖入りのコーヒーを頻繁に摂ると、口内が常に酸性の状態になり、歯の表面（エナメル質）が溶けやすくなります。
また、飲食のたびに口内細菌が増殖しやすくなり、歯周病菌の活動が活発になる原因にもなります。

【見直しポイント】
間食は1日1〜2回程度に抑え、甘い飲み物は常飲せず、水やお茶で口をすすぐ習慣をつけましょう。

2. 歯磨きはしているが“歯間ケア”をしていない

「1日2回磨いているから大丈夫」と思っていても、歯ブラシだけでは歯垢の約6割しか落とせないとされています。
特に歯と歯の間や、歯ぐきとの境目は歯周病が始まりやすい場所であり、フロスや歯間ブラシを使わないと汚れが残りやすくなります。

【見直しポイント】
朝か夜のどちらかに、フロスや歯間ブラシをプラスして、歯周ポケットをきれいに保つことを習慣化しましょう。

3. 喫煙・過度な飲酒

喫煙は、歯周病の発症・悪化の最大リスク因子のひとつです。
タバコに含まれるニコチンやタールは血流を悪化させ、歯ぐきの炎症が悪化しても自覚症状が出にくくなるため、気づいたときには重症化していることも。
また、アルコールも口内を乾燥させ、細菌が繁殖しやすい環境をつくります。

【見直しポイント】
禁煙を考えるのはもちろん、飲酒は適量にとどめ、飲んだ後には口内ケアを忘れずに行いましょう。

【まとめ】歯は「生活習慣で守る時代」へ。今日からできる小さな習慣を

歯の健康は、日々の食事・ケア・嗜好品の選び方によって大きく左右されます。
特に歯周病は、進行してからでは治療が難しく、歯を失う大きな原因になり得る病気です。

しかし、正しい習慣を身につければ、歯の寿命は大きく延ばせます。

歯を守るためのセルフチェック：

• 間食や甘い飲み物の頻度が多くないか
• 毎日の歯磨きにフロスや歯間ブラシを取り入れているか
• 歯ぐきから出血していないか
• 定期的に歯科健診を受けているか
• タバコやお酒の影響を見直しているか

これらに当てはまる項目が多いほど、歯ぐきの健康を守る意識が高まります。

「食べる・話す・笑う」――それらを生涯楽しむために。
歯を失わないための第一歩は、毎日の小さな習慣の見直しから始まります。

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監修者：まつむら歯科クリニック 院⻑ 松村賢（まつむら・けん）

「いつまでもおいしく食べる」をモットーに、2015（平成27）年に地元である宮城県大崎市に「まつむら歯科クリニック」を開院。歯周病治療などの予防歯科を中心とし、保険診療・審美歯科・ホワイトニング・インプラント・義歯（入れ歯）・摂食嚥下リハビリテーション・訪問診療など、幅広い診療を行っている。
<経歴>
奥羽大学歯学部卒（医師免許取得）
東北大学大学院歯学研究科博士課程修了（歯学博士）
仙台市内歯科クリニック 分院⻑
まつむら歯科クリニック開院