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「くしゃみや笑ったときに少し漏れる…」→女性に多い『尿もれ』悩み…意外とやりがちな“NG対処法”【医師が解説】

  • 2025.5.6
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「くしゃみや笑ったときに少し漏れる」「トイレが近くて外出が不安」――年齢や出産経験に関係なく、誰にでも起こり得る“尿もれ”。
初期症状が軽いからといって放っておくと、慢性化して日常生活に支障が出てしまうケースもあります。

さらに、尿もれに悩む人の多くが、「良かれと思ってやっていた対策」が実は逆効果になっていることも。
専門家は、「正しい知識を持ってケアすることが、改善への第一歩」だと指摘します。

この記事では、尿もれが長引く原因となる“よくある間違った対応”と、その背景、正しい改善法について解説します。

尿もれの原因とは?タイプによって対応が異なる

尿もれ(尿失禁)にはいくつかのタイプがあり、それぞれ原因や対策が異なります。

■ 腹圧性尿失禁

咳、くしゃみ、笑う、重いものを持ち上げるなど、お腹に力が入ったときに漏れるタイプ。
主に骨盤底筋の筋力低下が原因で、出産経験のある女性や高齢者に多いとされています。

■ 切迫性尿失禁

トイレが間に合わない、急に強い尿意を感じて漏れてしまうタイプ。
加齢やストレス、自律神経の乱れ、膀胱の過活動が関係しています。

■ 混合性尿失禁

腹圧性と切迫性の両方の特徴を併せ持つタイプで、特に女性に多く見られます。

尿もれが起こると、「恥ずかしい」「人に言えない」と感じてしまう人も多くいますが、適切な対処を怠ると症状が長引き、悪化する可能性があるため、早めの対策が重要です。

尿もれが長引く“やりがちなミス”とは?

では、尿もれを改善しようとして逆効果になっている行動とはどんなものなのでしょうか?
専門家が指摘する、代表的な“やりがちなミス”を3つ紹介します。

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

■ ミス1:水分を控える

「トイレの回数を減らしたいから」「漏れるのが心配だから」と水分摂取を極端に減らすのはNG。
脱水を防ごうと体が水分を溜め込み、尿が濃くなって膀胱が刺激されやすくなるため、かえって頻尿や切迫性尿失禁が悪化する可能性があります。

【正しい対応】
1日1.2〜1.5リットルを目安に、カフェインやアルコール以外の飲み物をこまめに摂るのが理想です。

■ ミス2:尿もれを我慢してトイレに行かない/逆に行きすぎる

尿意を我慢しすぎると膀胱が過伸展して、排尿機能に悪影響が出ることがあります。
一方で、「漏れたくないから」とトイレに行きすぎると、膀胱が尿を溜められなくなり、少量でも強い尿意を感じやすくなることも。

【正しい対応】
2〜3時間おきを目安に、適切な間隔で排尿する習慣をつけましょう。

■ ミス3:骨盤底筋トレーニングのやり方が間違っている

尿もれ対策として推奨される骨盤底筋トレーニング(いわゆる“膣トレ”)ですが、やり方を間違えると効果が出にくく、逆に筋肉を疲労させることもあります。

ありがちなミスとしては、「お腹やお尻に力が入ってしまう」「息を止めてしまう」など。
こうした動きでは、骨盤底筋にはうまく力が伝わりません。

【正しい対応】
息を止めずにリラックスしながら、尿を途中で止めるイメージで肛門や膣を締める感覚を意識しましょう。
1日2〜3セット、5~10回を目安に続けることが大切です。

尿もれ改善のカギは「自己流をやめて、正しく向き合うこと」

尿もれは誰にでも起こりうる体の変化ですが、「年齢のせい」と放置したり、間違った方法を続けてしまうことで症状を長引かせてしまうリスクが高まります。

正しい知識に基づいた生活習慣の見直しと、無理のないトレーニングを継続することで、尿もれは改善できる症状です。

今日から見直したいポイントチェックリスト:

  • 水分を適度に摂っている(控えすぎていない)
  • トイレの間隔を意識しすぎず自然なリズムを保っている
  • 骨盤底筋トレーニングを正しい方法で続けている
  • 姿勢を正し、腹圧がかかりすぎないようにしている
  • ストレス対策や睡眠も意識している

少しの見直しが、将来の快適な生活につながります。
「自己流」を見直し、今日から“正しいケア”を始めてみましょう。


監修者:浅草橋西口クリニックMo 頴川 博芸

静岡県沼津市出身。日本大学医学部中退、東海大学医学部卒業、順天堂大学大学院医学研究科修了。順天堂大学医学部附属静岡病院で初期臨床研修修了後、順天堂大学医学部附属順天堂医院、越谷市立病院、順天堂大学医学部附属練馬病院などを経て現在は浅草橋西口クリニックMo院長、順天堂大学医学部附属順天堂医院食道・胃外科非常勤助手。資格は日本専門医機構外科専門医、日本温泉気候物理医学会温泉療法医、日本医師会認定産業医など。趣味は旅行。