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医師「絶対にやめてください」→かえって『尿もれ』を悪化させる…日常でやりがちな“NG習慣”とは?【医師が解説】

  • 2025.5.4
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「笑った拍子に少し出てしまう」「くしゃみで漏れた」「トイレが近くて外出が不安」――
年齢を重ねるにつれて、そんな尿もれの悩みを抱える人は少なくありません。
とくに40代以降の女性に多いと言われる“軽度の尿もれ”は、初期段階では「気のせい」「年齢のせい」と見過ごされがちです。

しかし、実はそのまま放っておくと症状が進行し、日常生活に支障をきたす可能性も。
さらに、日常の中で何気なく続けている“ある習慣”が、尿もれを悪化させているケースも珍しくありません。

本記事では、専門医の視点から「尿もれを引き起こす、または悪化させるNG習慣」と、その背景にある体の仕組み、そして今日からできる対策についてわかりやすく解説します。

尿もれの主な原因とは?骨盤底筋の低下がカギ

尿もれの多くは、「骨盤底筋群」と呼ばれる骨盤内の筋肉が弱くなることで起こります。
骨盤底筋は、膀胱や子宮、直腸などを下から支えるインナーマッスルで、排尿のコントロールにも深く関係しています。

加齢、出産、閉経、運動不足、姿勢の崩れなどによってこの筋肉が衰えると、くしゃみや咳、重い物を持ち上げた際などにお腹に力がかかることで尿が漏れてしまう“腹圧性尿失禁”が起こりやすくなります。

また、精神的ストレスや自律神経の乱れにより膀胱が過敏になると、突然強い尿意を感じてトイレに間に合わない“切迫性尿失禁”につながることもあります。

いずれも、普段の生活習慣や姿勢、食事、排尿のタイミングなどが影響して悪化する可能性があるため、日常の中での見直しが不可欠です。

尿もれを悪化させる“NG生活習慣”とは?

以下に、尿もれの症状を悪化させるとされる代表的な生活習慣を3つご紹介します。

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

■ 1. トイレを我慢する or 頻繁に行きすぎる

「忙しくてトイレを我慢する」「不安だから外出前に何度も行く」――こうした習慣は、どちらも膀胱の正常な働きを乱す原因になるため絶対にやめてください。
長時間我慢することで膀胱が過伸展したり、逆に何度も行くことで“ちょっとした尿意でも排尿するクセ”がつき、膀胱の容量が小さくなってしまうこともあります。

【見直しポイント】
トイレは尿意を感じてから行くのが基本。過度な我慢も過剰な回数も控え、「適度な排尿リズム」を保ちましょう。

■ 2. 姿勢が悪い/猫背で座ることが多い

長時間の座り姿勢や、背中を丸めた“猫背”の姿勢は、骨盤底筋を圧迫して機能低下を招きやすくなります。
また、腹筋・背筋・骨盤周囲の筋肉の連携が崩れることで、尿もれリスクが高まると指摘されています。

【見直しポイント】
椅子に深く座り、骨盤を立てる姿勢を意識しましょう。
1時間に1回は立ち上がる・軽く伸びるなど、こまめな動きも大切です。

■ 3. 水分を控えすぎている

「尿もれが心配だから、水分をなるべく摂らないようにしている」このような誤った対策もよく見られます。
しかし、水分不足は膀胱の炎症や尿路感染症のリスクを高めるだけでなく、尿の濃縮によって刺激性が増し、かえって尿意が強くなることがあります。

【見直しポイント】
1日1.2〜1.5リットルを目安に、こまめな水分補給を心がけましょう。
カフェインやアルコールは利尿作用があるため、控えめに。

尿もれは“生活習慣の見直し”で進行を防げる

尿もれは「年齢のせい」とあきらめてしまいがちな症状ですが、日常の小さなクセや誤った思い込みが症状を悪化させているケースは少なくありません。
正しい知識とケアによって、進行を食い止めたり、症状の改善につなげることが可能です。

今日から始めたいセルフケアのチェックリスト:

  • トイレの回数やタイミングを意識しすぎない
  • 長時間同じ姿勢で座らず、姿勢を正しく保つ
  • 水分は控えず、適度に摂取している
  • 骨盤底筋トレーニングを生活に取り入れている
  • ストレスを溜めず、自律神経を整える工夫をしている

「漏れるから動きたくない」「外に出るのが不安」と感じたときこそ、体と向き合うタイミングです。
毎日の生活をほんの少し変えるだけでも、将来的な介護予防やQOL(生活の質)の向上につながります。


監修者:浅草橋西口クリニックMo 頴川 博芸

静岡県沼津市出身。日本大学医学部中退、東海大学医学部卒業、順天堂大学大学院医学研究科修了。順天堂大学医学部附属静岡病院で初期臨床研修修了後、順天堂大学医学部附属順天堂医院、越谷市立病院、順天堂大学医学部附属練馬病院などを経て現在は浅草橋西口クリニックMo院長、順天堂大学医学部附属順天堂医院食道・胃外科非常勤助手。資格は日本専門医機構外科専門医、日本温泉気候物理医学会温泉療法医、日本医師会認定産業医など。趣味は旅行。