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医師「命に関わるケースも」→ 『更年期』と思って見落としがち…意外な“別の病気”のサインとは?【医師が解説】

  • 2025.5.5
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「なんとなく体調が悪い」「イライラや倦怠感が続く」「急に汗が止まらなくなる」――40代以降の女性によくみられるこうした不調。多くの人が「更年期だから仕方ない」と考えてやり過ごしているのではないでしょうか。

確かに更年期は、ホルモンバランスの急激な変化によってさまざまな不調が現れる時期ですが、そのすべてが「更年期症状」とは限らないのが落とし穴。
実は、更年期の症状とよく似た別の病気が隠れていることがあり、見逃すと命に関わるケースもあると専門医は警鐘を鳴らしています。

この記事では、更年期と間違われやすい重大な疾患の例と、見分けるためのチェックポイント、そして医療機関を受診するタイミングについて解説します。

更年期と症状が似ている“見落とされやすい病気”とは?

更年期に現れる代表的な症状は、以下のようなものです。

  • ホットフラッシュ(顔のほてり・発汗)
  • 倦怠感・疲労感
  • 不安・イライラ・気分の落ち込み
  • 動悸・息切れ
  • 睡眠の質の低下
  • 頭痛やめまい

これらの症状は、エストロゲンの急激な減少によって自律神経のバランスが乱れることが主な原因ですが、実は似たような症状を引き起こす「別の病気」も多く存在します。

以下は、更年期症状と特に間違われやすい代表的な疾患です。

■ 甲状腺機能異常(バセドウ病・橋本病など)

甲状腺は代謝を調整するホルモンを分泌しており、その機能が過剰または低下することで、動悸・疲労感・気分の変化などの症状が出ることがあります。
バセドウ病では代謝が活発になりすぎて動悸や手の震え、体重減少、発汗などが起こり、橋本病では逆に寒がり、むくみ、気分の落ち込みなどが見られます。

■ 貧血や鉄欠乏性貧血

めまい・息切れ・だるさ・頭痛・集中力低下などは、更年期だけでなく慢性的な鉄分不足でも起こります。
特に月経がまだある女性では、鉄欠乏性貧血が見過ごされやすく、生活に支障をきたすほどの倦怠感が出ることもあります。

■ 高血圧・不整脈・心疾患

動悸や息切れは、更年期の自律神経失調と判断されがちですが、高血圧や心臓のトラブルが原因であるケースも少なくありません。
特に女性の心筋梗塞は、更年期以降にリスクが高まるため注意が必要です。

見落とさないために知っておきたい“3つの見分けポイント”

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

では、更年期による一時的な変化なのか、別の病気が隠れているのかをどう見分ければよいのでしょうか?
以下のようなサインがある場合は、自己判断せずに医療機関を受診することが大切です。

1. 症状の変化が急激・強すぎる

更年期症状はゆるやかに進行することが多いですが、突然の体重減少・大量の発汗・動悸の頻発など、急激な症状が現れる場合はホルモン以外の異常が疑われます。

2. 安静にしても改善しない

一時的な疲れやストレスなら、休息を取ることで回復しますが、しっかり休んでも改善しない場合は、体の内部に何らかの機能異常があるサインかもしれません。

3. 血液検査や健康診断の数値に異常がある

「なんとなく不調」でも、血液検査で甲状腺ホルモンや鉄、心電図に異常が出ているケースは意外と多くあります。
定期的な検査で体の内側をチェックしておくことが、不調の早期発見につながります。

「更年期かも」と思ったら、まずは“体の声”をしっかり聞くことが大切

更年期の不調は多くの人に共通する現象ですが、その影に別の病気が潜んでいることは珍しくありません。
「年齢的に更年期だから…」と自己判断する前に、症状の強さ・持続時間・他の変化がないかを注意深く観察し、必要に応じて医療機関で相談することが何よりの予防策です。

受診の目安となるチェックリスト:

  • 息切れ・動悸・発汗が急にひどくなった
  • 強い疲労感が何日も続いている
  • 気分の落ち込みや不眠がひどくなってきた
  • 症状が月単位で改善しない
  • 健康診断で何かしらの異常が指摘された

これらに当てはまる場合は、更年期だけでなく、ホルモン・血液・心臓などの異常を疑って専門的な検査を受けることが安心への第一歩です。

体の変化に気づけるのは、自分自身だけ。
“更年期だと思っていた不調”を見過ごさないことが、健康寿命を守るカギになります。


監修者:浅草橋西口クリニックMo 頴川 博芸

静岡県沼津市出身。日本大学医学部中退、東海大学医学部卒業、順天堂大学大学院医学研究科修了。順天堂大学医学部附属静岡病院で初期臨床研修修了後、順天堂大学医学部附属順天堂医院、越谷市立病院、順天堂大学医学部附属練馬病院などを経て現在は浅草橋西口クリニックMo院長、順天堂大学医学部附属順天堂医院食道・胃外科非常勤助手。資格は日本専門医機構外科専門医、日本温泉気候物理医学会温泉療法医、日本医師会認定産業医など。趣味は旅行。