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医師「続けていると歯を失う」→『総入れ歯』になるリスクが高まる… 意外とやりがちな“NG習慣”とは?【歯科医が解説】

  • 2025.4.26
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「毎日ちゃんと歯を磨いているから大丈夫」「虫歯がないから特に気にしていない」そう思っている方こそ、将来“総入れ歯”になるリスクを知らずに高めているかもしれません。

近年、歯科医の現場では40代からの口腔ケアのあり方が“将来の歯の本数”を左右する大きな分かれ道になっていると指摘されています。
実際に、厚生労働省の調査でも、50代以降で歯を失う人の多くが、40代からすでに歯周病を進行させていたという結果が報告されています。

今回は、40代から始まる“歯を失うリスク”と、将来を左右する「やってはいけない歯のNG習慣」、そして今からできる対策について解説します。

なぜ「歯を失う人」は40代から増え始めるのか?

日本人が歯を失う原因の第一位は「歯周病」です。虫歯よりも多くの人に関係しており、しかも初期段階では痛みや違和感が少なく、気づきにくい病気です。

歯周病とは、歯と歯ぐきの間にたまったプラーク(歯垢)に潜む細菌が、歯肉に炎症を起こし、進行すると自分の細胞(破骨細胞など)が歯を支える骨まで溶かしてしまう病気です。

最終的には、健康な歯でも抜けてしまい、複数の歯を失う「多数歯欠損」、さらに「総入れ歯」へとつながるケースもあります。

特に40代は、以下のような変化が起こりやすい時期とされています。

  • 歯ぐきの再生力が徐々に低下し始める
  • ストレスや疲労の蓄積により免疫力が落ちやすい
  • 歯磨きがおろそかになる生活リズムの乱れ
  • 歯ぎしりや食いしばりなどのクセが強くなる
  • 定期的な歯科受診を怠りがちになる

これらの要因が重なることで、静かに歯周病が進行していき、気づいたときには手遅れになっているというケースが少なくありません。

将来の歯を守るために避けたい「NG習慣」とは?

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

40代以降に「これを続けていると歯を失いやすい」とされる習慣は、意外と日常にひそんでいます。以下は、歯科医が警鐘を鳴らす代表的なNG習慣です。

■ NG1:歯磨きが“1日1回だけ”

「夜しか磨かない」「時間がなくて朝はうがいだけ」など、1日1回しかブラッシングをしない習慣は、プラークが長時間残り続けることになり、歯周病を進行させます。
朝・夜の2回、可能なら食後ごとのケアが理想です。

■ NG2:歯間ブラシやフロスを使わない

歯ブラシだけでは、歯と歯の間のプラークの約60%しか落とせないとされています。
フロスや歯間ブラシを使わないと、歯周ポケットに汚れが残りやすく、知らないうちに歯ぐきが下がってしまうことも。

■ NG3:歯が痛くなるまで歯科に行かない

定期健診を受けないまま「痛みが出たら行く」という人は、発見が遅れ、治療の選択肢が限られてしまうことがあります。
歯周病は初期には自覚症状が少ないため、予防のための定期的な検診が最も重要です。

■ NG4:強いブラッシングで“磨いたつもり”になっている

硬めの歯ブラシで力強く磨くと、歯ぐきを傷つけ、かえって歯肉退縮を起こす原因になります。
ソフトな歯ブラシで優しく、丁寧に磨くことが基本です。

■ NG5:喫煙や過度の飲酒

喫煙は歯周病の大きなリスク要因であり、歯ぐきの血流が悪くなり、免疫力が低下します。
アルコールも過剰になると唾液の分泌を妨げ、口内環境の悪化に直結します。

【まとめ】“今の習慣”が10年後の歯を決める。歯を守る生活習慣とは?

40代は、「歯の老化」が始まる重要な分岐点です。
ここでどのようなケアをするかによって、50代・60代のときに“しっかり噛める歯”がどれだけ残っているかが決まります。

将来の歯を守るために、今から始めたい習慣は以下のとおりです。

  • 朝と夜、2回以上の丁寧な歯磨きを習慣にする
  • 毎日フロスや歯間ブラシを使い、歯と歯の間を清掃する
  • 3か月〜6か月ごとに歯科検診を受ける
  • 歯ぎしり・食いしばりが気になる場合はマウスピースなどを検討する
  • 食生活を見直し、甘いもの・柔らかいものに偏らないようにする
  • 禁煙・節酒を意識し、口腔内の血流と免疫を守る

歯は一度失うと、二度と元には戻りません。
今の生活習慣が「将来の自分の食事・会話・表情」にまで影響するということを意識し、40代からのケアを“未来への投資”として始めてみてはいかがでしょうか。


監修者:まつむら⻭科クリニック 院⻑ 松村賢(まつむら・けん)

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「いつまでもおいしく食べる」をモットーに、2015(平成27)年に地元である宮城県大崎市に「まつむら歯科クリニック」を開院。歯周病治療などの予防歯科を中心とし、保険診療・審美歯科・ホワイトニング・インプラント・義歯(入れ歯)・摂食嚥下リハビリテーション・訪問診療など、幅広い診療を行っている。
<経歴>
奥羽大学⻭学部卒業(医師免許取得)
東北大学大学院⻭学研究科博士課程修了(⻭学博士)
仙台市内⻭科クリニック 分院⻑
まつむら⻭科クリニック開院