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医師「睡眠の質を下げる原因に」→実は『不眠』を招いている…意外とやりがちな“寝るときのNG姿勢”とは?【医師が解説】

  • 2025.4.25
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「寝ても疲れが取れない」「夜中に何度も目が覚めてしまう」
そんな睡眠の質の低下に悩んでいませんか?その原因、もしかすると“首の姿勢”にあるかもしれません。

スマートフォンやパソコンの長時間使用によって増えている「ストレートネック」は、首の痛みや肩こりだけでなく、睡眠の質の低下や不眠といった“見えない不調”にも関わっていることがわかってきています。

この記事では、ストレートネックが睡眠に与える影響と、就寝時にやりがちなNG姿勢、そして今日から見直せる改善ポイントを解説します。

ストレートネックが睡眠を妨げる理由とは?

ストレートネックとは、本来ゆるやかな前弯(カーブ)を描いている頸椎(首の骨)が、まっすぐに近づいてしまった状態です。
この姿勢になると、頭の重さ(約5キログラム前後)が首にダイレクトにかかり、首や肩の筋肉が緊張したまま休まらない状態になります。

この慢性的な緊張が睡眠に与える影響は、主に以下の3つです。

■ 筋肉の緊張による入眠困難

ストレートネックによって首や肩が常に緊張状態にあると、副交感神経への切り替えがうまくいかず、リラックスして眠りに入りにくくなります。

■ 血行不良による浅い眠り

首の筋肉が硬くなると、脳への血流が不安定になり、睡眠の深さ(ノンレム睡眠)に影響が出ることも。これにより、「寝てもスッキリしない」「何度も目が覚める」といった不調が表れます。

■ 呼吸の質の低下

姿勢が崩れることで、気道が圧迫されやすくなり、無呼吸やいびきが起こりやすくなるという指摘もあります。これがさらに睡眠の質を下げる原因になります。

このように、ストレートネックが引き起こす首の不安定さは、寝ている間にも身体の休息を妨げ、慢性的な不眠や疲労感を生み出してしまうのです。

“不眠を招くNG姿勢”とは?就寝中の体勢を見直そう

寝ているときの姿勢も、ストレートネックと深く関わっています。特に次のような寝方は、首のカーブを崩し、筋肉の緊張を助長するNG習慣です。

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

■ 高すぎる枕を使っている

枕の高さが合っていないと、首の自然なカーブが押しつぶされ、頸椎に負担がかかります。
高すぎる枕は、あごを引いた不自然な姿勢になり、気道も圧迫されやすくなります。これは、いびきや呼吸の浅さ、睡眠の分断にもつながります。

■ うつ伏せ寝

うつ伏せは顔を横に向けて首をひねる必要があるため、頸椎にねじれと圧迫が加わります。
ストレートネックの人にとっては特に負担が大きく、朝起きたときの首のこりや頭痛の原因になります。

■ 寝返りが極端に少ない

長時間同じ体勢で寝ると、筋肉が硬直して血流が悪くなり、夜間に首や肩のこりを感じて目が覚めることもあります。
寝返りは、血流の維持や体圧の分散において重要な働きを担っています。

これらのNG姿勢を避けるためにも、寝具の見直しや就寝前のケアを意識することが睡眠の質向上に直結します。

首の状態は“睡眠の質”に直結する。正しい姿勢づくりで不眠予防を

ストレートネックは、起きている時間だけでなく、寝ている間の姿勢や睡眠の質にまで影響する“全身のトラブルの引き金”です。
「枕が合っていないかも」「夜中に何度も目が覚める」そんなサインを感じているなら、首まわりの姿勢を見直すタイミングかもしれません。

今日から取り入れたい改善ポイントは以下のとおりです。

  • 枕は“首の自然なカーブ”を保てる高さに調整する(仰向けで後頭部と首にフィットする程度)
  • 就寝前のストレッチで、首・肩・背中をゆるめてから寝る
  • スマートフォンやパソコンの使用は就寝1時間前までに切り上げる
  • うつ伏せ寝を避け、仰向けまたは横向きで寝る習慣をつける
  • 首がつらいときは、医療機関で姿勢や頸椎のチェックを受けることも検討する

睡眠は、心身の健康を保つうえで最も重要な要素のひとつ。
だからこそ、「眠る姿勢」と「首の状態」が整えば、ぐっすり眠れる夜が戻ってくるはずです。


監修者:浅草橋西口クリニックMo 頴川 博芸

静岡県沼津市出身。日本大学医学部中退、東海大学医学部卒業、順天堂大学大学院医学研究科修了。順天堂大学医学部附属静岡病院で初期臨床研修修了後、順天堂大学医学部附属順天堂医院、越谷市立病院、順天堂大学医学部附属練馬病院などを経て現在は浅草橋西口クリニックMo院長、順天堂大学医学部附属順天堂医院食道・胃外科非常勤助手。資格は日本専門医機構外科専門医、日本温泉気候物理医学会温泉療法医、日本医師会認定産業医など。趣味は旅行。