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医師「首が壊れてしまう原因に」→ 『スマホ首』が引き起こす病気とは?!…知られざる“意外なリスク”【医師が解説】

  • 2025.4.30
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「最近、首がつねに重い」「肩こりがひどくて頭痛までしてきた」そんな症状に心当たりがあるなら、“スマホ首”が進行しているかもしれません。

スマートフォンやパソコンを使う時間が長い現代では、首が前に突き出た「スマホ首(ストレートネック)」が慢性化しやすくなっています。
この姿勢を放置すると、首まわりの筋肉や関節に大きな負荷がかかり、やがて「椎間板症」や「頸椎ヘルニア」などの病気につながる可能性もあるのです。

この記事では、スマホ首のリスクと、整形外科的に推奨される“目線を変えるだけで首がラクになるワザ”、そして日常生活で取り入れやすい予防法について解説します。

「スマホ首」はなぜ危険?放置によるリスクとは

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

スマホ首とは、医学的には「頸椎前弯消失」または「ストレートネック」と呼ばれる状態で、本来緩やかにカーブしている首の骨(頸椎)がまっすぐに近づいてしまう姿勢異常です。

この状態になると、以下のような問題が起こりやすくなります。

  • 首の筋肉が緊張し続けて疲労が蓄積する(慢性肩こり)
  • 頭の重さ(約4〜6キログラム)を分散できず、頸椎に直接負担がかかる
  • 椎間板や神経を圧迫し、腕のしびれや痛みを引き起こすこともある
  • 自律神経が乱れ、めまいや倦怠感、集中力低下の原因となることも

特にスマートフォンを長時間見下ろすような姿勢は、首にかかる負荷を何倍にも増やすとされており、15度前傾するだけで首には約12キログラムの重みがかかるという研究もあります。

こうした負荷が毎日積み重なることで、頸椎の変形や神経の圧迫、ヘルニアといった疾患に進行する可能性もあるため、早期の改善が非常に重要です。

整形外科的に正解!「目線を変えるだけ」で首の負担を軽減

スマホ首の改善において、最もシンプルで効果的な方法のひとつが、「目線の位置を上げること」です。

スマートフォンやパソコンを使うとき、多くの人が無意識に“下を向く”姿勢になっています。この前傾姿勢が、首や肩への大きな負担になっているのです。

■ 目線を上げるだけで、姿勢が自然に整う

スマホを胸元で構えるのではなく、目線と水平に近い位置まで手を上げて操作するようにするだけで、自然と首が起きて姿勢が整います。
また、パソコン作業ではモニターの上端が目の高さと同じになるように調整すると、前のめりになりにくくなります。

■ ノートパソコンやスマホは“置く高さ”がポイント

ノートパソコンは画面が低くなりやすいため、スタンドや台を使って画面位置を上げる工夫が効果的です。
スマートフォンを長く使う場合は、ひじをテーブルやアームレストに乗せると手を高く保ちやすくなり、首の前傾を防ぎやすくなります。

■ 首を支える筋肉のストレッチも組み合わせる

姿勢改善に加え、首まわりや胸まわりの筋肉をゆるめるストレッチやエクササイズを取り入れることで、血行が促進され、緊張が緩和されやすくなります。

【おすすめストレッチ】

  1. 両肩を後ろに回し、胸を開く
  2. 頭を後ろにゆっくり倒し、喉の前側を伸ばす
  3. 耳と肩の距離を意識しながら、深呼吸を3回行う

これらは1日3分でもOK。目線と姿勢を変える+ストレッチの組み合わせが、首の負担軽減に非常に有効です。

スマホ首は「姿勢と目線」で防げる。毎日の少しの意識が未来を守る

スマホ首は、現代人にとって避けにくい症状のひとつですが、放置してしまうと慢性痛や頸椎の病変へとつながる可能性があります。
しかし、重症化する前であれば、「日常姿勢の意識」と「簡単なケア」で十分に予防・改善することができます。

今日から取り入れたいスマホ首対策は以下の通りです

  • スマホの操作は顔の高さに近づける(目線を上げる)
  • パソコンの画面は目の高さに調整する
  • 1時間に1回は画面から目を離し、軽く首を動かす
  • 肩甲骨・胸まわりをストレッチして猫背を防ぐ
  • 枕の高さを見直し、首に過度な角度がかからないようにする

首は、頭と体をつなぐ大切な要所です。姿勢と目線を少し変えるだけで、首への負担は大きく減らせます。

「ちょっと疲れただけ」と見過ごさず、毎日の積み重ねを見直すことが、未来の健康を守る第一歩です。


監修者:浅草橋西口クリニックMo 頴川 博芸

静岡県沼津市出身。日本大学医学部中退、東海大学医学部卒業、順天堂大学大学院医学研究科修了。順天堂大学医学部附属静岡病院で初期臨床研修修了後、順天堂大学医学部附属順天堂医院、越谷市立病院、順天堂大学医学部附属練馬病院などを経て現在は浅草橋西口クリニックMo院長、順天堂大学医学部附属順天堂医院食道・胃外科非常勤助手。資格は日本専門医機構外科専門医、日本温泉気候物理医学会温泉療法医、日本医師会認定産業医など。趣味は旅行。