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医師「極力避けてください」→ 実は『毛孔性角化症』を悪化させる…意外とやりがちな“4つのNG習慣”とは?【専門家が解説】

  • 2025.4.25
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

毛穴に角質が詰まり、ザラつきやぶつぶつが目立つ「毛孔性角化症(もうこうせいかくかしょう)」は、見た目がニキビに似ていることから、誤ったスキンケアで悪化させてしまう人が多い皮膚症状のひとつです。

特に洗い方に関しては、「清潔にしよう」という気持ちから取り入れている習慣が、むしろ症状を長引かせているケースが少なくありません。

この記事では、毛孔性角化症の基本情報と、皮膚科的にNGとされる洗浄習慣、正しい対策について解説します。

毛孔性角化症とは?根本は“角質のつまり”による慢性皮膚症状

毛孔性角化症は、毛穴の出口部分に角質が過剰にたまり、毛穴を塞ぐことで発症する皮膚の角化異常です。
主に二の腕、太もも、お尻などに多く見られ、触るとザラザラとした質感や小さな赤みを伴うこともあります。

遺伝的な体質に関係しており、10代から30代の女性に多くみられますが、性別や年齢に関係なく発症する可能性がある疾患です。
また、乾燥肌やアトピー性皮膚炎の傾向がある人に起こりやすいという報告もあります。

加えて、近年の臨床の現場では、毛孔性角化症は単なる「角質のつまり」ではなく、毛穴のバリア構造が弱くなっていることや、軽度な皮膚炎が毛穴で繰り返されることによって角質が破壊・変性し、硬く固着する状態であるという見方もあります。
これは、例えるならば「毛穴で軽い“あせも”が繰り返されている」ような印象です。バリア機能の低下が背景にあり、それがアトピー性皮膚炎などと重なって発症しやすくなることも理解できます。

なお、軽度なものまで含めれば、毛孔性角化症は実は非常に多くの人に見られる“ありふれた皮膚変化”ともいえるものです。
特に「両頬からアゴ」「両腕」「太もも」など広範囲に見られる場合は無症状のことが多い一方、「二の腕の裏」や「腕だけ」に症状がある人からは「かゆみのあとにザラザラになった」という声もよく聞かれます

このようなかゆみは、毛穴で起こる炎症のサインであり、結果として角質が崩れて固着し、毛穴から飛び出して目立ってくるのです。
たとえかゆみがなかったとしても、毛穴の周囲には軽微な炎症が繰り返され、色素沈着というかたちでダメージが残ることも多いため、見た目だけで軽視するのは避けた方がよいでしょう。

実は悪化の原因に?毛孔性角化症で避けたいNG洗浄習慣

「しっかり洗えばよくなる」「古い角質を取り除けばつるつるになる」という誤解から、以下のような洗い方をしている人は要注意です。

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

■ NG1:ナイロンタオルでゴシゴシこする

硬めのボディタオルやブラシで力強くこすることで、角質が取れるような気がしますが、肌のバリア機能を壊し、炎症を起こす原因になるので、極力避けてください。
この刺激により、色素沈着が残ったり、さらに角質が厚くなって悪循環に陥ることもあります。

■ NG2:毎日スクラブ入りの洗浄料を使う

ピーリングやスクラブ入りの石けんは一時的なつるつる感が出ますが、頻繁に使うと肌表面を削りすぎて、乾燥や炎症を招くことがあります。
特に毛孔性角化症のある部分はすでに角質が不安定な状態のため、繰り返し刺激を加えるのは逆効果です。

■ NG3:熱すぎるお湯で洗っている

寒い季節などにありがちですが、熱いお湯で洗うと、皮膚のうるおい成分であるセラミドや皮脂が流出し、肌の乾燥が進んで角質がさらに厚くなる原因になります。

■ NG4:石けんや洗浄料の使いすぎ

「汚れを落とさなければ」と思って、毎日多量のボディソープを使うと、必要な皮脂まで落としすぎてしまい、肌のターンオーバーの乱れにつながります。

毛孔性角化症は“洗いすぎない”が基本。やさしく整えるケアを

毛孔性角化症のケアで最も重要なのは、「攻める」のではなく「守る」こと。
皮膚の角質が過剰にたまっているからといって、無理に削ったり、こすったりするのは逆効果です。

さらに、毛穴のバリアが弱いことによる軽い炎症の繰り返しが、毛孔性角化症の背景にある可能性も指摘されており、バリア機能を損なわないケアが何より大切です。
特にかゆみがある部位には、医師の診断のもとで消炎作用のある外用薬を使用することで、角質の肥厚を防げる可能性もあります

今日から見直したい洗浄習慣とケアのポイントは以下の通りです。

  • 体は手または柔らかいタオルで、やさしくなでるように洗う
  • 石けん・ボディソープは低刺激・保湿成分配合のものを選ぶ
  • 洗うお湯の温度は38~40度程度のぬるま湯にする
  • 入浴後は5分以内に保湿(尿素やサリチル酸配合のクリームが有効なことも)
  • 紫外線による色素沈着を防ぐために日焼け対策も忘れずに

また、自己流のケアで改善しない場合や、かゆみや赤み、広範囲に症状が出ている場合は、皮膚科での診断と外用薬による治療が有効です。
今後の研究によって治療法がさらに進化する可能性もあるこの症状。まずは「洗うほどに悪化する」――そんな悪循環を断ち切るためにも、肌を守る方向へのケアに切り替えることが、毛孔性角化症改善の第一歩です。


監修者:医療法人社団日進会 院長、理事長
平岩 亮一(ひらいわ りょういち)

1995年、埼玉医科大学医学部卒業。2017年、医療法人社団日進会開設、にっしん皮フ科・形成外科開業。今年で開業20周年。所属学会(日本形成外科学会他)。平成28年より【生体皮膜剤】【痒み防止剤】にて日本・アメリカフランスを含む13件の特許を取得し現在に至る。