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医師「肌を傷つけてしまう原因に」→“保湿すればOK”は間違いだった…放置すると危険な“3つの皮膚疾患”とは?【医師が解説】

  • 2025.4.26
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「肌がカサついてきた」「乾燥してるけど保湿すれば大丈夫」

そんなふうに、肌の不調を“ただの乾燥”と捉えて済ませていませんか?季節の変わり目には、気温や湿度の急激な変化に加え、紫外線、花粉、汗や服の摩擦などが重なりやすく、肌のバリア機能が乱れがちです。

そのため、軽い乾燥だと思って放っておいたら、実は皮膚疾患が進行していたというケースも珍しくありません。
今回は、乾燥肌と間違われやすい肌トラブルや、放置が招くリスク、そして皮膚科的に正しい対処法について解説します。

「ただの乾燥肌」ではないかもしれない。見逃しやすい皮膚疾患とは

肌が乾燥すると「保湿さえしていれば大丈夫」と思い込む人が多いですが、以下のような疾患は乾燥との見分けがつきにくいため要注意です。

■ 乾燥性皮膚炎(皮脂欠乏性湿疹)

皮脂が減ることで肌が乾燥し、バリア機能が低下。外部刺激に対して過敏になり、かゆみや炎症が起こる状態です。
保湿剤だけでは十分に治まらず、症状が進行すると湿疹や赤み、かゆみを伴い、市販薬では対応しきれないこともあります。

■ アトピー性皮膚炎

一見「乾燥してかゆいだけ」と思われがちですが、体質や免疫のバランスが関係する慢性的な皮膚炎です。
赤み、かゆみ、掻き壊しによる色素沈着などが見られ、自己判断での放置は症状の悪化と慢性化を招く原因になります。

■ 接触皮膚炎(アレルギー性/刺激性)

スキンケア用品や衣類、洗剤などが原因で炎症を起こすタイプの皮膚炎。
「保湿しても全然よくならない」「使うたびにピリピリする」と感じたら、外的要因によるかぶれを疑う必要があります。

特に近年では、“メイクの落としすぎ”によって接触性皮膚炎を引き起こすケースが増えています。
最近の化粧品や日焼け止め製品は、アレルギー検査をクリアした低刺激の処方が多く、「メイクをしっかり落とさなければ肌に悪い」という思い込みの方が、かえって肌を傷つけてしまう原因になっていることもあります。

強力なクレンジングや過剰な洗顔を繰り返すと、肌のバリアを構成する角質や皮脂膜、セラミド、天然保湿因子(フィラグリンやロリクリンなど)が失われ、表皮の深い部分がむき出しに。
その結果、肌は赤くなりやすく、カサつきやピリつき、ひどい場合はまぶたが腫れて開かないほどの炎症を引き起こすこともあります。

こうしたケースで自己判断による「保湿のしすぎ」や「市販のステロイド剤の乱用」はかえって症状を悪化させることも。
市販薬の中には効果が強いもの(ストロングクラス)も含まれており、使い続けることで皮膚が薄くなり、毛細血管拡張や肝斑などの新たなトラブルを招くおそれがあります。

放置が招く悪化リスクと、医療的ケアが必要なサイン

肌トラブルを放置すると、以下のようなリスクが高まります。

■ 慢性化・再発の悪循環

乾燥や炎症を繰り返すと、皮膚が厚くなったり(苔癬化)、色素沈着が起こったりして、た目の変化や不快感が長期間続くようになります。

■ 掻き壊しによる二次感染

かゆみを我慢できずに掻いてしまうことで、細菌感染(とびひなど)が起こるリスクが高まり、症状がさらに広がることもあります。

■ スキンケアや市販薬では限界がある

炎症がある場合、保湿剤だけでは根本的な改善は難しく、ステロイド外用薬や抗アレルギー薬などが必要になるケースもあります。

以下のような症状がある場合は、皮膚科の受診を検討してください。

  • 保湿しても改善しない乾燥・赤み
  • 強いかゆみが続く、夜眠れない
  • かさぶたやジュクジュクした部分がある
  • 色が濃くなってきた(色素沈着)
  • 同じ場所に繰り返し症状が出る

これらは「乾燥」ではなく、「治療が必要な皮膚炎」の可能性が高いサインです。

季節の変わり目こそ“自己判断をやめる”ことが肌トラブル予防の第一歩

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

肌は外界から身を守るバリアであると同時に、体調やストレスの影響を受けやすい“内面の鏡”でもあります。
「乾燥くらいなら大丈夫」と自己判断していると、気づかぬうちに皮膚疾患を悪化させてしまう可能性があります。

とくに“クレンジングのしすぎ”や“保湿のしすぎ”による接触性皮膚炎は、現代ならではの肌トラブルともいえます。
実際の診療では、「化粧残りを気にしなくて大丈夫」「お湯ですすいで、温タオルでやさしくオフする程度で十分」というアドバイスを行うこともあります。
しっかり落とすことよりも、角質や保湿因子を守ることの方が、長い目で見たときに肌のバリア機能を保つうえで重要なのです。

日常的に意識したいポイント

  • 保湿は入浴後すぐに、毎日継続
  • 肌をこすらない、洗いすぎない
  • スキンケア用品は低刺激のものを選ぶ
  • メイクや日焼け止めは「落としすぎない」ことを意識
  • 異変を感じたら早めに皮膚科を受診する

「なんとなく変」「前よりかゆい気がする」という違和感を見逃さず、早めに対応することが、肌を健やかに保つ秘訣です。
そして、“正しいケア”は、肌を守る最初の一歩。毎日のスキンケアに、見直しの目を向けてみてはいかがでしょうか。


監修者:医療法人社団日進会 院長、理事長
平岩 亮一(ひらいわ りょういち)

1995年、埼玉医科大学医学部卒業。2017年、医療法人社団日進会開設、にっしん皮フ科・形成外科開業。今年で開業20周年。所属学会(日本形成外科学会他)。平成28年より【生体皮膜剤】【痒み防止剤】にて日本・アメリカフランスを含む13件の特許を取得し現在に至る。