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皮膚科医「なるべく避けてください」→ 『二の腕のブツブツ』が悪化する…意外とやりがちな“NG習慣”とは?<医師が解説>

  • 2025.4.23
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「二の腕のぶつぶつが気になる」「なめらかな肌に憧れるけど、何をしてもよくならない」――そんな悩みの正体が、毛孔性角化症(もうこうせいかくかしょう)かもしれません。

見た目はニキビのようにも見えますが、原因も対処法も全く異なります。この毛孔性角化症は、間違ったスキンケアでかえって悪化することが多い皮膚の慢性症状です。

「ゴシゴシ洗えば治る」「スクラブで削れば滑らかになる」といった誤解により、症状を長引かせてしまうケースも少なくありません。この記事では、毛孔性角化症の特徴や原因、そして実はやってはいけないNG習慣と、その改善方法について詳しく解説します。

毛孔性角化症とは?誰にでも起こりうる“皮膚の角質異常”

毛孔性角化症は、毛穴の出口が角質で詰まり、皮膚表面がざらざら・ぶつぶつになる状態です。
よく見られる部位は二の腕、太もも、背中、お尻などで、左右対称に現れることが多く、かゆみや痛みを伴わないことがほとんどです。原因は、毛穴周辺の角質が過剰に作られることによって毛穴を塞いでしまうためで、はっきりとした発症メカニズムはまだ完全には解明されていませんが、遺伝的な要因が大きいと考えられています。

また、アトピー性皮膚炎や乾燥肌の人にも多く見られます。さらに、角質と角質の間にある「接着斑(デスモソーム)」という構造は、水分を含むことで接着力が弱まり、角質が剥がれやすくなる性質があります。入浴後に垢がボロボロ取れるような現象はこの仕組みの一例です。

ここに石鹸やボディーソープなどで過度な脱脂が加わると、皮脂膜が失われ、角質層内の「セラミド」や「天然保湿因子(NMF)」も流出しやすくなり、乾燥・バリア機能低下につながります。一見すると「角質が剥がれやすい=改善に近づく」と思われがちですが、実際にはバリア機能が弱くなることで炎症が起こりやすくなり、かえって毛孔性角化症を悪化させるリスクがあるのです。

また、毛孔性角化症は湿疹と紙一重の状態でもあり、かゆみや赤みを伴っている場合は、実は湿疹(しっしん)が背景にあり、それが毛孔性角化症のように見えているケースもあります。皮膚のバリアがもともと弱っている状態で乾燥や摩擦が加わると、誰でも後天的に発症する可能性があるのです。
とくに「二の腕の裏面だけ」といった局所的な症状の場合、かゆみの出現をきっかけに毛穴の炎症が繰り返されているケースも少なくありません。

実は逆効果?毛孔性角化症にありがちなNG習慣

毛孔性角化症は一見するとニキビや角栓のように見えるため、間違ったスキンケアをしてしまう人が少なくありません。以下のような習慣は、むしろ症状を悪化させる可能性があります。

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

■ NG習慣1:ゴシゴシ洗う・スクラブで削る

「古い角質を落とせば治る」と思って、ナイロンタオルで強くこすったり、ピーリング剤やスクラブを頻繁に使っていませんか?
これは皮膚のバリア機能を破壊し、炎症や色素沈着を引き起こすリスクが高まる行為です。繰り返すことで肌が硬くなり、かえってざらつきが増す原因になるので、なるべく避けてください。

■ NG習慣2:乾燥したまま放置している

乾燥肌の人に毛孔性角化症が多いのは、角質がめくれやすくなり、ターンオーバーの乱れが起こりやすいためです。
保湿を怠ると、角質がさらに蓄積し、症状が悪化することがあります。

■ NG習慣3:ニキビ用の薬を塗ってしまう

ニキビと勘違いして殺菌成分の入った外用薬を使うと、炎症を起こしたり、乾燥が進んで逆効果になることがあります。毛孔性角化症は菌が原因ではないため、抗菌薬は無意味どころか刺激となる可能性があります。

■ NG習慣4:紫外線対策をしていない

日焼けは肌のターンオーバーを乱し、色素沈着やぶつぶつの黒ずみを悪化させる要因になります。肌を見せる季節ほど、日焼け止めなどの紫外線対策が必要です。

毛孔性角化症は“攻めないケア”で肌質を整えることが大切

毛孔性角化症は見た目の悩みが強く出る症状ですが、過剰な刺激を与えず、肌のターンオーバーを整えていくことが改善の近道です。
角質ケアといっても、“削る”のではなく、“整える”ことが求められます。また、入浴時間は短めに、湯温は皮脂が溶けにくい40度以下を意識し、やさしく洗うことがバリア機能維持には重要です。
保湿は朝・晩の2回程度を目安に行い、過保湿になりすぎないこともポイント。かゆみや赤みがある場合は、皮膚科で湿疹としての対応が必要なこともあります。

今日から取り入れたいケア習慣

  • 肌をこすらず、手でやさしく洗う
  • 入浴後すぐに保湿を行う(尿素・サリチル酸配合のクリームが有効な場合も)
  • 紫外線対策を季節を問わず行う
  • 規則正しい生活で肌のターンオーバーをサポートする
  • 入浴は短めに。湯温は38~40℃を目安に
  • 朝晩2回の保湿を基本とし、過保湿に注意
  • かゆみや赤みが強い場合は「湿疹」の可能性もあるため皮膚科受診を

皮膚科では、外用薬による治療が行われることが一般的です。症状の程度によっては、市販薬では改善が難しい場合もあるため、早めの専門的な診断が安心につながります。「触らず・焦らず・続けて整える」。これが、毛孔性角化症改善の鉄則です。
正しい知識と習慣で、肌をなめらかに整えていきましょう。


監修者:医療法人社団日進会 院長、理事長
平岩 亮一(ひらいわ りょういち)

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1995年、埼玉医科大学医学部卒業。2017年、医療法人社団日進会開設、にっしん皮フ科・形成外科開業。今年で開業20周年。所属学会(日本形成外科学会他)。平成28年より【生体皮膜剤】【痒み防止剤】にて日本・アメリカフランスを含む13件の特許を取得し現在に至る。