医師「虫歯リスクを高める」→実は『歯を溶かす』原因に…大人が注意すべき “危険なNG食品”とは？【医師が解説】

「子どものころは虫歯が多かったけど、大人になってからはあまり…」
そう思って油断していませんか？ 実は近年、大人になってからの虫歯（成人う蝕）が増加していることが問題視されています。

しかもその原因は、甘いお菓子やジュースだけではありません。
「体にいいと思って食べていた」「ヘルシーなはず」と思い込んでいた食品が、実は“虫歯リスクを高めるNG食品”だったというケースも少なくありません。

この記事では、虫歯の原因となりやすい食べ物の特徴と、大人に特有の虫歯リスク、そして日常でできる予防策について解説します。

大人虫歯が増えている理由とは？

虫歯は、歯の表面についたプラーク（歯垢）の中にいる虫歯菌が、糖を栄養にして酸を作り出し、それが歯を溶かすことで起こります。子どもと違い、大人の虫歯は進行がわかりにくく、「気づいたときには神経に達していた」ということも珍しくありません。特に増えているのが以下の2タイプです。

■ 根面う蝕（歯の根元にできる虫歯）

加齢や歯周病によって歯ぐきが下がると、歯の根元が露出しやすくなります。この部分はエナメル質がなく、酸に弱いため虫歯になりやすいです。

■ 二次う蝕（過去の治療跡から再発する虫歯）

かぶせ物や詰め物の隙間から虫歯菌が侵入し、以前治療した歯が再び虫歯になることがあります。

これらに加えて、大人の虫歯は「飲食習慣」や「唾液量の減少」「口腔ケアの手抜き」など、生活習慣が大きく影響しています。

意外と知らない？“大人虫歯”を招くNG食品とは

では、虫歯リスクを高める食品とはどんなものなのでしょうか？ 甘いお菓子やジュース以外にも、「実は危険」な食品がいくつかあります。

■ ドライフルーツ

ヘルシーなおやつとして人気ですが、非常に粘着性が高く、歯にくっつきやすいのが特徴。糖分も多く含まれ、長時間口内に残りやすいため虫歯のリスクが高くなります。

■ グラノーラ・シリアルバー

健康食品のイメージがありますが、ハチミツや糖質で固められているものが多く、砂糖量は想像以上。こちらも歯にくっつきやすく、酸性度も高めです。

■ フルーツジュース

天然の果糖とはいえ、ジュースにすると糖分が濃縮され、酸性度も高くなります。特に食後や就寝前に飲むのは要注意です。

■ 酢を使った食品（ピクルスや黒酢ドリンクなど）

健康に良いとされるお酢ですが、酸性度が非常に高いため、エナメル質を溶かしやすい特徴があります。酸蝕症（酸によって歯が溶ける状態）を引き起こす要因になります。

■ アルコール類（ワイン、チューハイなど）

アルコールは唾液の分泌を抑える働きがあり、自浄作用が低下することで虫歯菌が活性化しやすくなります。

これらの食品はすべて「虫歯になりやすい性質」を持っているため、頻繁に・長時間口にすることで虫歯リスクが格段に上がると考えられています。

「虫歯になりやすい食べ方」を避けて、大人の歯を守ろう

虫歯のリスクは、単に“甘いかどうか”だけではありません。粘着性、酸性度、口内に残る時間の長さといった要素が複雑に絡み合って虫歯を引き起こします。

また、大人になってからは「唾液の量が減る」「再石灰化のスピードが遅くなる」「治療済みの歯が多くなる」といった背景から、虫歯ができやすく、進行もしやすい状態にあることを意識する必要があります。

以下のような対策を意識することで、大人虫歯のリスクを下げることができます。

• 食後は水やお茶で口の中をすすぐ
• 甘い・酸っぱい食品を長時間口にしない
• 就寝前は必ず歯を磨く（フッ素配合の歯みがき粉が有効）
• 歯と歯の間の清掃にデンタルフロスを活用する
• 定期的に歯科健診を受ける（年2回以上が推奨）

「子どものころほど虫歯にならない」と思い込んでいると、気づかぬうちに進行していた――というケースも少なくありません。

大人こそ、“歯にやさしい食べ方”と“正しいケア”で、自分の歯を守っていくことが大切です。

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監修者：まつむら⻭科クリニック 院⻑ 松村賢（まつむら・けん）

「いつまでもおいしく食べる」をモットーに、2015（平成27）年に地元である宮城県大崎市に「まつむら歯科クリニック」を開院。歯周病治療などの予防歯科を中心とし、保険診療・審美歯科・ホワイトニング・インプラント・義歯（入れ歯）・摂食嚥下リハビリテーション・訪問診療など、幅広い診療を行っている。
<経歴>
奥羽大学⻭学部卒業(医師免許取得)
東北大学大学院⻭学研究科博士課程修了(⻭学博士)
仙台市内⻭科クリニック 分院⻑
まつむら⻭科クリニック開院