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医師「なるべく避けてください」→実は『尿もれ』を招いてる…今すぐ見直すべき“4つの習慣”とは?【医師が解説】

  • 2025.5.1
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「座っているだけなのに、最近なんとなく尿もれが気になる」「くしゃみや立ち上がる瞬間にヒヤッとする」
そんな経験がある人は、加齢や出産だけでなく、日々の“姿勢”が原因になっている可能性があります。

特にデスクワーク中心の人は要注意。長時間の座り姿勢が骨盤のゆがみや筋肉の衰えを引き起こし、知らないうちに“尿もれリスク”を高めているのです。

今回は、デスクワークが招く尿もれの意外な盲点と、その改善のために今日から実践できる対策について、医学的な視点で解説します。

長時間の座り姿勢が骨盤と筋肉に与える悪影響とは?

尿もれの主な原因のひとつに、「骨盤底筋群」の機能低下があります。
骨盤底筋は、膀胱・子宮・直腸などの臓器を支え、排尿や排便をコントロールする役割を担っています。

この骨盤底筋は、姿勢の悪化や筋肉の不使用によって簡単に衰える部位。特にデスクワークなどで、長時間イスに座ったままの生活を続けていると、以下のようなリスクが高まります。

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

■ 骨盤の後傾と猫背姿勢

長時間座っていると、つい骨盤が後ろに倒れた「後傾姿勢」になりがちです。これにより腹圧のかかり方が不自然になり、骨盤底に過剰な負担がかかるようになります。

■ 骨盤底筋の“使わなさすぎ”による筋力低下

筋肉は使わなければ弱くなります。とくに骨盤底筋は意識的に鍛えない限り動かす機会が少なく、座りっぱなし生活はダイレクトに筋力低下を招くのでなるべく避けてください。

■ 血流の低下と感覚の鈍化

座っていることで下半身の血流が滞り、骨盤まわりの神経や筋肉への刺激が少なくなると、排尿感覚も鈍くなりがちです。
これにより、尿意に気づくのが遅れて漏れてしまう「切迫性尿失禁」につながることもあります。

このように、長時間座っていることは尿もれを引き起こす“静かな要因”となっており、日常の姿勢が大きな影響を与えていることが明らかになっています。

尿もれを防ぐ!デスクワーク中に見直すべき習慣と姿勢

では、デスクワーク中心の生活を送りながらも、尿もれを防ぐにはどうすればよいのでしょうか?
以下のポイントを意識することで、骨盤底への負担を減らし、筋力の維持・改善が期待できます。

■ 正しい座り姿勢を意識する

椅子に深く腰かけ、骨盤を立てて背筋を伸ばすことが基本。足裏を床にしっかりつけ、膝と股関節が直角になる高さに調整します。

座りながらの骨盤底筋トレーニング(いわゆる“ながらケア”)も有効です。

やり方の一例:

  1. 背筋を伸ばして椅子に座る
  2. 肛門・尿道まわりに力を入れて締める(5秒キープ)
  3. 力を抜いて5秒休む
    → 10回×1日3セットが目安です。
     

■ 1時間に1回は立ち上がって歩く

座りっぱなしを避けるために、1時間ごとに2~3分歩く、ストレッチをするなどの工夫をしましょう。
これにより、骨盤まわりの血流が改善され、筋肉の刺激にもつながります。

■ 座面クッションの見直し

クッション性が高すぎたり、沈み込みすぎる椅子は骨盤の安定性を損ねて姿勢が崩れやすくなります
固めで安定感のある椅子、または骨盤サポートクッションの使用を検討してもよいでしょう。

■ 水分の摂り方を整える

トイレが近くなるのを嫌って水分を控える人もいますが、脱水は尿の濃縮を招き、膀胱を刺激しやすくなるため逆効果です。
カフェインや糖分の多い飲料は避けつつ、適量(1日1.2~1.5リットル程度)の水をこまめに摂ることが大切です。

尿もれは“姿勢”から始まっている。小さな習慣が大きな変化に

尿もれは加齢や体質だけが原因ではありません。実は、毎日無意識にとっている姿勢や動かない時間の積み重ねが、体の機能低下を招いている可能性が高いのです。

とくにデスクワーク中心の人は、知らず知らずのうちに骨盤に負担をかけ、骨盤底筋を使わなくなっている状態にあります。
しかし逆に言えば、“正しい姿勢”と“少しの意識”で、尿もれを予防・改善することは十分に可能です。

以下のチェックリストに当てはまる方は、今日から見直しを始めましょう。

  • 1日6時間以上座っている
  • トイレを我慢することが多い
  • 姿勢が崩れている自覚がある
  • 下半身の運動習慣がない
  • 尿もれが気になり始めたが、まだ対策していない

この機会に、自分の座り方や生活スタイルを見直してみてください。
尿もれ対策は「特別な運動」ではなく、「日常の小さな行動」から始まります。


監修者:大嶺卓司(腎・泌尿器科おおねクリニック 院長)

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京都府立医科大学・大学院卒業。京都府立医科大学泌尿器科学教室元臨床教授。
“世の光であれ!(来院することで元気になれる希望の光のように)”、”守侍医として(患者さんの側に侍り、病から守る)”、”地域の健康ステーション”を基本理念として、泌尿器科専門医としての専門性を生かし、地域のかかりつけ医として貢献したいと考えています。

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