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「約7割以上の人が改善」→年齢とともに増える『尿もれ』問題…特に効果がある“意外な対策”とは?【医師が解説】

  • 2025.5.3
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「くしゃみや笑った拍子に、つい…」「トイレに間に合わないことが増えた」年齢とともに増えるこうした“尿もれ”の悩み。
「もう年だから仕方ない」とあきらめている方も多いのではないでしょうか?

しかし実は、適切な対策を行えば7割以上の人が改善を実感しているというデータもあるほど、尿もれは“改善が可能な症状”です。
昔は「一度始まると止まらない」と思われていた尿もれも、近年では生活習慣や体の使い方を見直すことで、大きく改善できることがわかってきています。

この記事では、尿もれに悩む方のために、原因の違い・最新の改善法・日常生活での見直しポイントを紹介します。

そもそも尿もれの原因は?タイプ別に知っておこう

尿もれには主に3つのタイプがあり、それぞれ原因と対処法が異なります。自分の症状を知ることで、より効果的なケアにつながります。

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

■ 腹圧性尿失禁
くしゃみ・咳・笑い・重い物を持つなど、お腹に力が入った瞬間に尿がもれてしまうタイプ。
多くは骨盤底筋(骨盤の下にある筋肉群)のゆるみが原因で、出産経験のある女性や更年期以降の方に多く見られます。

■ 切迫性尿失禁
突然、強い尿意を感じてトイレに間に合わないタイプ。
膀胱が過敏になってしまい、「過活動膀胱」と呼ばれる状態が関係していることがあります。高齢の男女どちらにも起こりやすいのが特徴です。

■ 溢流性尿失禁・混合型

膀胱に尿がたまりすぎて少しずつ漏れてしまうタイプや、上記2つが混ざった状態。
前立腺肥大などの排尿障害が関連しているケースもあり、医療機関での診断が必要です。

医師コメント
「筋トレ・習慣改善」で尿漏れが改善できない代表例は男性の前立腺肥大症、前立腺癌などの前立腺疾患や、男女の膀胱機能の低下(神経因性膀胱など)により残尿が発生しているタイプです。前立腺疾患は自助努力でなかなか改善は見られませんし、前立腺癌が隠れている場合もありますので、泌尿器科での精査をお勧めします。また高齢者の場合、我慢に我慢を重ねてから受診されるケースが多々ありますが、膀胱機能が損なわれる前の受診をお勧めします。

こうしたタイプ別の理解をもとに、「治らない」と思い込まず、適切な対策を取ることが重要です。

尿もれは「筋トレ・習慣改善」で7割が改善する?

近年の調査や臨床研究では、尿もれに悩む人の約7割が、骨盤底筋トレーニングなどの生活改善によって症状が軽減したと報告されています。特に効果があるとされるのが、以下のような方法です。

■ 骨盤底筋トレーニング

骨盤底筋は、排尿をコントロールする上で重要な役割を持つ筋肉です。
この筋肉を鍛えることで、腹圧に耐える力がつき、尿もれを予防・改善することができます。

このトレーニングは、道具や場所を選ばずに行えるため、日常生活に取り入れやすく、継続しやすいのも魅力です。

■ 生活習慣の見直し

・水分を極端に控えすぎない(逆に膀胱が過敏に)
・カフェイン・アルコールを摂りすぎない(利尿作用で悪化)
・肥満を防ぐ(体重増加は骨盤底に負担をかける)

こうした日常的な工夫を重ねることで、尿もれは“コントロールできる症状”へと変わっていきます。

「年だから」とあきらめない。正しく対策すれば未来は変わる

尿もれは恥ずかしい、誰にも相談しにくい。そう感じてしまう方も多いですが、実は非常に多くの人が同じ悩みを抱えています。
そして、7割以上が改善を実感できているという事実は、希望につながる大きなポイントです。

大切なのは、「仕方ない」とあきらめて放置するのではなく、自分の体と向き合い、少しずつできることから始めること

以下は、今日からできる尿もれ対策のチェックリストです:

  • 毎日、骨盤底筋トレーニングを取り入れている
  • 水分補給は適量を心がけている(1日1.2〜1.5リットル)
  • トイレに行くのを我慢しすぎていない
  • カフェイン・アルコールの摂取量を見直している
  • 軽いウォーキングやストレッチを生活に取り入れている

これらを意識して実践すれば、年齢に関係なく改善が期待できます。
必要に応じて、泌尿器科・婦人科などでの相談や専門的なリハビリも視野に入れることで、より確実な改善を目指すことができます。

「もう治らない」とあきらめる前に、「まだできることがあるかもしれない」と前を向くこと。
それが、快適な毎日への第一歩になるはずです。


監修者:大嶺卓司(腎・泌尿器科おおねクリニック 院長)

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京都府立医科大学・大学院卒業。京都府立医科大学泌尿器科学教室元臨床教授。
“世の光であれ!(来院することで元気になれる希望の光のように)”、”守侍医として(患者さんの側に侍り、病から守る)”、”地域の健康ステーション”を基本理念として、泌尿器科専門医としての専門性を生かし、地域のかかりつけ医として貢献したいと考えています。

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