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医師「熱中症より怖い」→実は『5月の脱水』は特に危険だった…見落としがちな“5つのサイン”とは?【医師が解説】

  • 2025.5.8
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「熱中症には気をつけているつもりなのに、なぜか体調が優れない」「まだ本格的な夏でもないのに、だるさや頭痛が続く」
そんな不調を感じている方は、“脱水症状”が静かに進行している可能性があります。

特に5月〜6月の初夏は、気温が上がり始めているにもかかわらず、水分補給の意識がまだ低く、脱水リスクが高まりやすい時期です。
しかも脱水症状は、熱中症と違って自覚しにくく、知らず知らずのうちに脳や心臓、腎臓などの重要な機能に負担をかけてしまうこともあります。

この記事では、熱中症よりも見落とされやすい“初夏の脱水症状”について、症状の特徴、リスクの高い行動、予防のポイントを詳しく解説します。

なぜ初夏の脱水は見落とされやすいのか?

「脱水」と聞くと真夏の炎天下で起こるイメージがありますが、実は5月〜6月の脱水は非常に注意が必要です。
この時期は、日差しや気温は徐々に高まっている一方で、体が暑さに慣れておらず、発汗による水分喪失に対する感覚が鈍くなっているのが特徴です。

また、空気が乾燥している日も多いため、汗をかいてもすぐに乾いてしまい、自分では“汗をかいていない”と感じやすいのも落とし穴。
この状態で十分な水分を補わなければ、知らないうちに軽度〜中等度の脱水状態が進行し、以下のような不調が表れる可能性があります。

  • 頭が重い・ぼーっとする
  • 倦怠感、立ちくらみ、軽い吐き気
  • 皮膚や口の乾燥、便秘の悪化
  • 頻尿→急な尿量減少や濃い尿
  • 集中力・思考力の低下

こうした症状は、「寝不足かな?」「疲れているだけかな」と誤認されがちですが、水分不足による軽度脱水が原因であるケースが多いのです。

熱中症だけじゃない。怖い“慢性脱水”の落とし穴とは?

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出典:photoAC(※画像はイメージです)

熱中症は急激な体温上昇や脱水によって起こる症候群であり、体温の上昇と体温調整機能のバランスが崩れることで、体に熱がこもり、深刻な症状を引き起こします。

しかし、もっと怖いのは、気づかないうちに体に負担をかけ続ける“慢性脱水”です。
慢性脱水とは、体内の水分が日常的に不足している状態のことで、以下のような行動が積み重なることで起こります。

■ 水分補給を「喉が渇いてから」している

高齢者を中心に「あまり水分を摂らない」人が多く見られますが、加齢とともに“喉の渇き”を感じる感覚が鈍くなるため、症状が出る頃にはすでに脱水が進行している場合があります。

■ コーヒーやお茶だけで水分を摂っている

カフェインには利尿作用があるため、水分補給のつもりで飲んでも、かえって体外へ排出されてしまう可能性があります。
「水」や「麦茶」など、ノンカフェイン・無糖の飲み物をこまめに摂ることが理想です。

■ 汗をかいた分の水分を補っていない

軽い運動や外出後も、水分補給を忘れてしまうことが多いですが、汗1リットルにつき約1gの塩分も失われるため、水と一緒に適度な塩分・ミネラルも補給することが大切です。

慢性脱水が続くと、血液がドロドロになり、心臓や腎臓に負担をかけ、血圧上昇や脳梗塞、腎機能低下のリスクが高まるとも言われています。

脱水は「暑い日だけ」の話ではない。初夏からの意識で体を守る

脱水症状は、真夏の炎天下だけで起こるわけではありません。
むしろ5月〜6月の“気温が上がり始めた時期”こそ、油断しやすく、体が対応できていないため危険が潜んでいます。

「まだ夏じゃないから大丈夫」と思わず、早めの水分習慣と体調のセルフチェックが重要です。

以下は、初夏の脱水を防ぐための具体的なポイントです。

  • 喉が渇く前に、1日1.2~1.5リットルを目安にこまめに水分をとる
  • 朝起きたらまずコップ1杯の水を習慣にする(※2)
  • 暑くなくても汗をかいたら意識的に水分+塩分(スポーツドリンクや経口補水液)を補給
  • カフェイン飲料やアルコールは「水分」ではなく「利尿作用がある飲み物」として扱う
  • 高齢者・子ども・持病のある方は、周囲の人が意識して声がけ・サポートをする

睡眠中にも汗や呼気から約200ml〜500mlの水分が失われるとされるため、寝る前にもコップ1杯の水を飲む習慣を取り入れると、さらに効果的です。

脱水は軽視しがちな体調トラブルですが、放置すれば深刻な健康被害につながるリスクもあります。
「まだ夏じゃないから」ではなく、「今から備える」ことが、健康を守る第一歩です。


監修者:松澤 美愛(神谷町カリスメンタルクリニック院長 / Instagram

東京都出身。慶應義塾大学病院初期研修後、同病院精神・神経科に入局。精神科専門病院での外来・入院や救急、総合病院での外来やリエゾンなどを担当。国立病院、クリニック、障害者施設、企業なども含め形態も地域も様々なところで幅広く研修を積む。2024年東京都港区虎ノ門に「神谷町カリスメンタルクリニック」を開業、院長。

精神保健指定医/日本精神神経学会/日本ポジティブサイコロジー医学会