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医師「白髪の増加を引き起こす」→ もしやってたら見直して…意外とやりがちな“NG生活習慣”とは?【医師が解説】

  • 2025.4.28
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「白髪が増えてきたけど、年齢のせいだし仕方ないか…」
そう思っている方も多いかもしれません。しかし実は、白髪の原因には生活リズムの乱れや習慣の積み重ねが大きく関係していることをご存じでしょうか?

中でも近年注目されているのが、「入浴のタイミング」と「白髪の関係性」です。
実は、ある時間帯の入浴は自律神経を乱し、白髪を引き起こす可能性がある生活習慣とされています。

今回は、白髪と深く関係する生活リズムや、見直すべき入浴習慣について、医学的知見をもとに詳しく解説します。

白髪は“体内リズムの乱れ”でも進行する

白髪は、毛根の「メラノサイト(色素細胞)」がメラニン色素を生成しなくなることで起こります。
加齢による細胞の老化が主な原因ではありますが、自律神経やホルモンバランス、血流の悪化など、日常的な生活リズムの乱れもメラノサイトの機能低下を招く要因とされています。

特に夜間の生活リズムの乱れは、白髪のリスクを高めると考えられています。その理由は以下の通りです:

  • 夜遅くの入浴やスマホの使用は交感神経を刺激し、眠りを妨げる
  • 深い眠り(ノンレム睡眠)の質が下がると、細胞の修復が不十分になる
  • 成長ホルモンの分泌が妨げられ、毛根の再生力が低下する

こうした「小さな乱れの積み重ね」が、やがて白髪の進行に繋がっていくのです。

実はNG?白髪を招きやすい「入浴のタイミング」とは

入浴はリラックスや疲労回復に欠かせない習慣ですが、時間帯によってはかえって睡眠や体内リズムに悪影響を与えることもあります。

特に注意したいのが、夜23時以降の入浴です。
この時間帯は、体が自然と眠りに入る準備を始めるころですが、ここで熱いお風呂に入ると以下のような影響が起こります。

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

■ 交感神経が優位になり、眠気が遠のく

熱めの入浴は一時的に気持ちがスッキリする反面、体温が急上昇し、交感神経が活性化してしまいます。
その結果、眠気が妨げられ、入眠が遅れたり睡眠の質が低下したりする恐れがあります。

■ 深部体温の低下が間に合わない

人は入眠時に体温が緩やかに下がることで、深い眠りに入っていきます。
23時以降に入浴すると、就寝予定時刻までに体温が十分に下がらず、浅い睡眠になりやすくなるのです。

■ 睡眠の質低下 → 成長ホルモン分泌の低下 → 白髪の進行

成長ホルモンは、睡眠中に分泌される修復・再生のための重要なホルモンです。
これが不足すると、毛母細胞やメラノサイトの回復が滞り、白髪や薄毛などの老化現象が加速しやすくなります。

このように、入浴時間が遅れることは、知らず知らずのうちに白髪を促進する“負のサイクル”をつくり出す要因となり得るのです。

白髪予防は「整ったリズム」がカギ。入浴も“眠りの前倒し”を意識して

白髪を単なる加齢のサインと捉えるのではなく、「日々の生活リズムが作り出す体の声」として見ることで、対策の糸口が見えてきます。

特に以下のような生活習慣を意識することが、白髪の予防や進行の抑制に効果的とされています:

  • 入浴は就寝の90〜120分前(理想は21時〜22時頃)に済ませる
  • 入浴温度は38〜40℃程度のぬるめがベスト(副交感神経を優位に)
  • 就寝前はスマホやテレビの使用を控え、光刺激を避ける
  • 深夜の食事やカフェインを避け、体内時計のズレを防ぐ
  • 起床後は朝日を浴びて体内時計をリセットする

白髪は「抜く」「染める」だけでは根本的に対処できません。
その背景にある“生活の乱れ”を見直すことが、未来の髪と健康を守るカギになります。

入浴の時間ひとつをとっても、体にとって心地よい“整ったリズム”を作ることが、美しさと若々しさの土台になるのです。


監修:林 瑠加
慶應義塾大学形成外科学教室に約10年間在籍し、一般形成外科、小児、再建分野を幅広く担当。慶應義塾大学大学院医学研究科では毛髪再生の研究に取り組み、医学博士を取得。2015年からは4年半、カンボジアに居住し現地での臨床にも従事した。帰国後は形成外科に加え皮膚科、美容皮膚科の経験を積み、2024年11月に品川区西五反田に「LIKKAスキンクリニック」を開業。患者様の身近なお悩みに対応すべく、保険・自由診療双方からのアプローチで診療を行っている。形成外科専門医、抗加齢医学会専門医、臨床毛髪学会評議員。