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『白髪を抜くと増える』ウソ?ホント? →“白髪の多い人”がやりがち…意外な“間違った対処法”とは?【医師が解説】

  • 2025.4.26
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「1本だけだから抜いてしまおう」「白髪を抜いたら、またすぐ近くに生えてきた」
誰もが一度は耳にしたことがある“白髪を抜くと増える”という話。迷信のように聞こえるこの説ですが、実際のところはどうなのでしょうか?

白髪は加齢とともに自然に増えるものですが、間違った対処法をとると、頭皮や毛根に悪影響を及ぼし、将来的な髪トラブルにつながる可能性もあります。

この記事では、「白髪を抜くと増える説」の真偽と、医学的な観点から見た正しい白髪ケアの方法や注意点について解説します。

白髪を抜くと増える? ―「増える」は迷信、でも“抜く”のはNG

結論から言えば、白髪を抜いたからといって、白髪の本数が増えることはありません
毛髪の色は、毛根にあるメラノサイト(色素細胞)がメラニンを生成することによって決まりますが、白髪はこのメラノサイトの機能が低下または消失することで発生します

つまり、一度白髪になった毛根からは、抜いたとしても再び白髪が生えてくるだけで、別の毛根に波及して白髪が増えるということは科学的には確認されていません

しかし、問題は“抜く”という行為そのものにあります。
髪の毛を無理に抜くことで、以下のようなリスクが生じる可能性があるのです。

  • 毛根や毛包がダメージを受けて炎症を起こす
  • 毛穴の変形により、髪の毛が生えてこなくなる(永久脱毛状態)
  • 頭皮の細胞が傷つき、色素沈着や凹みが残る可能性

これらのリスクは、白髪を隠すために繰り返し同じ場所を抜く人ほど高まるとされています。
特に地肌が敏感な人や、すでに髪が細くなっている人は、将来的にその部分だけ薄くなるリスクも否定できません。

ではどうする?白髪と上手に付き合うための3つの対処法

白髪が目立ち始めたとき、抜くのではなく髪や頭皮に負担をかけない方法でケアすることが大切です。以下は、医学的にも推奨される代表的な白髪ケアの方法です。

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

■ ① 根元からカットする

抜かずに、白髪の根元をハサミで丁寧に切るのが最も安全な方法です。
これなら毛根に負担をかけず、目立ちにくくすることができます。
ただし、あまり短く切りすぎると逆に“ピンピン”と飛び出して目立つため、少し長さを残すのがポイントです。

■ ② 白髪染め・ヘアマスカラを使う

白髪の本数が多くなってきた場合は、自分に合った白髪染めや一時着色剤を使う方法が有効です。
最近では、頭皮や髪にやさしい成分でできた製品も増えており、肌の弱い人向けのノンジアミンタイプなども選べます
部分的な白髪には、ヘアマスカラや白髪隠しスティックなど、簡単に塗れるアイテムもおすすめです。

■ ③ 生活習慣を見直して“白髪予防”を意識

白髪は加齢以外にも、ストレス・睡眠不足・栄養不足などの生活習慣によって進行する場合があります。
白髪の進行を遅らせるためには、以下のような日常のケアが有効です:

  • バランスの良い食事(特にタンパク質、亜鉛、ビタミンB群)
  • 十分な睡眠と、規則正しい生活リズム
  • ストレスを溜めない工夫(入浴・深呼吸・軽い運動など)

根本的に白髪を完全に止めることは難しくても、進行を穏やかにしたり、頭皮環境を整えることで若々しい髪を保つことは可能です。

「白髪を抜く」は短期的な対処、長い目で見て“正しいケア”を

「白髪があると老けて見えるから、とりあえず抜く」という人も多いかもしれません。
しかし、抜くことで毛根を傷め、将来的に髪の毛が生えなくなることは意外と知られていません

白髪は誰にでも訪れる自然現象。だからこそ、焦らず・無理をせず・正しく付き合うことが大切です。

今ある白髪は、抜かずにカットまたは染める。
これからの白髪を減らすために、生活習慣やケア方法を見直す――
この2つを意識するだけでも、髪と頭皮への負担を減らし、未来の自分の髪を守ることにつながります

白髪との向き合い方は、「隠す」から「整える」へ。
自分の体の変化を受け入れながら、無理なく取り入れられるケア習慣を続けることが、健やかな髪の第一歩です。


監修:林 瑠加
慶應義塾大学形成外科学教室に約10年間在籍し、一般形成外科、小児、再建分野を幅広く担当。慶應義塾大学大学院医学研究科では毛髪再生の研究に取り組み、医学博士を取得。2015年からは4年半、カンボジアに居住し現地での臨床にも従事した。帰国後は形成外科に加え皮膚科、美容皮膚科の経験を積み、2024年11月に品川区西五反田に「LIKKAスキンクリニック」を開業。患者様の身近なお悩みに対応すべく、保険・自由診療双方からのアプローチで診療を行っている。形成外科専門医、抗加齢医学会専門医、臨床毛髪学会評議員。