1. トップ
  2. 39年前、日本中が心を奪われた“空飛ぶ伝説” “祈りと冒険”に満ちた、アニメーション映画の傑作を振り返る

39年前、日本中が心を奪われた“空飛ぶ伝説” “祈りと冒険”に満ちた、アニメーション映画の傑作を振り返る

  • 2025.4.21
undefined
© 1986 Hayao Miyazaki/Studio Ghibli

1986年、日本中が“空に浮かぶ伝説”を信じた日

「39年前の今頃、どんな映画に胸を高鳴らせていたか覚えてる?」

1986年といえば、音楽では中森明菜や近藤真彦がチャートを賑わせ、テレビでは『男女7人夏物語』が人気を集めた年。そんな中、ひとつのアニメ映画が、子どもたちだけでなく大人の心にも“冒険”と“祈り”を刻み込んだ。

『天空の城ラピュタ』――1986年8月2日公開。

スタジオジブリの第1作目にして、宮崎駿監督の代表的な初期作品のひとつとも呼ばれるこの作品は、39年経った今も“ラピュタは本当にある”と信じたくなるような余韻を、私たちに残し続けている。

少年と少女が信じた“空の城”の存在

物語の主人公は、鉱山の町で暮らす少年パズーと、空から降ってきた少女シータ。2人が伝説の浮遊都市“ラピュタ”をめぐる冒険の中で、数々の出会いや試練を経て、「持つべき力と、守るべきものの意味」に気づいていく。

ただのファンタジーではない。『天空の城ラピュタ』が名作とされるのは、“成長する物語”でありながら、文明への問いかけや、力と支配の本質までも内包しているからだ。

大人になってから観ると、また違った角度から深く突き刺さる――それがこの作品の真価でもある。

なぜ『ラピュタ』は今も記憶に残り続けるのか?

理由のひとつは、圧倒的な映像美と世界観の完成度

巨大な飛行石、空に浮かぶ城、機械仕掛けのロボット兵、荒くれ者だけど憎めない空中海賊ドーラ一家。宮崎駿が創り出した“空想と現実の狭間”のような世界は、観る者の想像力を最大限に広げてくれる。

さらに、音楽の力も絶大だ。久石譲作曲の『君をのせて』の旋律が流れるたびに、胸の奥がぎゅっと締め付けられるような感覚は、まさに映画の“情緒”そのものを音で表現した傑作と言える。

時代を超えて受け継がれる“信じる力”の物語

undefined
© 1986 Hayao Miyazaki/Studio Ghibli

1986年当時、CG技術などはない時代に、これだけのスケールと精度のアニメーションを手描きで完成させたこと自体が驚異だった。それもあって、『ラピュタ』は「観るたびに新しい発見がある」映画として、何度も地上波で再放送され、そのたびに“バルス祭り”がSNSを賑わせるなど、今も世代を超えて愛され続けている。

ラピュタという都市が象徴しているのは、「手に入れてはいけないもの」「支配してはならない力」。それでも、夢を追い求める心や、誰かを守りたいと願うまっすぐな想いは、令和の時代を生きる私たちにも深く通じている。

『天空の城ラピュタ』――それは、39年前に空へと飛び立った“信じる心”の冒険譚である。


※この記事は執筆時点の情報です。