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医師「重大な病気が潜んでいる」→『むくみ』は放置すると危険だった…見逃してはいけない“4つのサイン”とは?【医師が解説】

  • 2025.4.24
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「夕方になると足がパンパン」「朝起きたら顔がむくんでいた」――こうしたむくみは、多くの人が経験するごくありふれた体の変化のひとつです。長時間座っていたり、塩分の多い食事を摂った翌日などに起こる一時的なむくみであれば、大きな心配はないことがほとんどです。しかし、原因がはっきりしないむくみが続く、あるいは全身に広がるようなむくみは、思わぬ病気のサインになっている可能性もあります。この記事では、「むくみ」が表す体の異常サインを見極めるために知っておきたい医学的な知識を解説します。

むくみとは何か?メカニズムと一時的なケース

むくみ(浮腫)は、体内の水分バランスが崩れ、余分な水分が細胞と細胞の間に溜まってしまう状態を指します。
通常、血管内の水分は適切に出入りし、リンパや静脈の働きによって体外へ排出されますが、その流れが滞ると、体の一部に水分が溜まりやすくなります

一時的なむくみの主な原因としては以下が挙げられます。

  • 長時間の座りっぱなし・立ちっぱなし:ふくらはぎの筋肉が使われないと、静脈の血液がうまく心臓に戻らず、下半身に水分がたまりやすくなります。
  • 塩分・アルコールの摂りすぎ:体内のナトリウム濃度が高まると、余分な水分を保持しようとしてむくみやすくなります。
  • 月経前や妊娠中のホルモン変化:女性ホルモンの影響で一時的に水分が溜まりやすくなることがあります。
  • 睡眠不足や疲労:血流やリンパの流れが悪くなることで、顔や目元にむくみが現れることがあります。

このようなケースでは、軽い運動やマッサージ、水分補給や入浴などによって改善することが多いとされています。

実は危険信号?慢性的なむくみが示す「体の異常」

一方で、むくみが長期間にわたって続く場合や、局所ではなく全身に及ぶ場合には、循環器系や内臓の異常が隠れている可能性があるため注意が必要です

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

■ 心不全

心臓のポンプ機能が低下すると、血液の流れが滞り、特に足や下半身にむくみが現れやすくなります
夕方以降に足がパンパンに腫れ、朝になっても引かないようなむくみが続く場合は要注意です。

■ 腎機能の低下(腎不全・ネフローゼ症候群など)

腎臓は余分な水分や老廃物を排出する働きを担っています。
その機能が低下すると、体内に水分が溜まりやすくなり、顔やまぶたに目立つむくみが出ることがあります。

■ 肝疾患(肝硬変など)

肝臓の機能が落ちると、血中のアルブミン(タンパク質)が減少し、血管内の水分が外へ漏れ出しやすくなります
これにより、腹水(お腹のむくみ)や全身の浮腫が生じることもあります。

■ 甲状腺機能低下症

代謝を司る甲状腺ホルモンが不足すると、体内の水分代謝が悪くなり、顔や手足がむくみやすくなります。
この場合、むくみとあわせて体重増加・寒がり・倦怠感などの症状も見られることがあります

むくみは単なる水分トラブルに見えますが、内臓やホルモンの異常を知らせる“見えるサイン”として現れることがあるのです。

「たかがむくみ」と油断せず、体からのメッセージに気づくことが大切

むくみは日常的に起こりやすい現象ですが、その裏に重大な病気が潜んでいる場合もあるという点を忘れてはなりません。

次のような症状が見られる場合は、一度医療機関での検査や相談を検討しましょう。

  • むくみが片足や片手など片側だけに集中している
  • むくみとあわせて息切れ・倦怠感・体重増加がある
  • 朝になってもむくみが改善しない、または日に日に悪化している
  • 尿の量が少ない顔やまぶたが毎朝むくむなどの全身症状がある

「少し腫れてるだけ」「そのうち引くだろう」と放置せず、体の変化に敏感になることが、自分の健康を守る第一歩です。

むくみは「一時的な疲れ」か「見えない異常」かを見極めるための大切なサイン。日々の観察と正しい知識で、体からのメッセージを見逃さないようにしましょう。


監修者:浅草橋西口クリニックMo 頴川 博芸

静岡県沼津市出身。日本大学医学部中退、東海大学医学部卒業、順天堂大学大学院医学研究科修了。順天堂大学医学部附属静岡病院で初期臨床研修修了後、順天堂大学医学部附属順天堂医院、越谷市立病院、順天堂大学医学部附属練馬病院などを経て現在は浅草橋西口クリニックMo院長、順天堂大学医学部附属順天堂医院食道・胃外科非常勤助手。資格は日本専門医機構外科専門医、日本温泉気候物理医学会温泉療法医、日本医師会認定産業医など。趣味は旅行。