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『何度枕を変えてもしっくりこない…』→実は“高さ・柔らかさ”より重要だった!“見落としがちなポイント”とは?【医師が解説】

  • 2025.4.27
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「朝起きると首や肩が痛い」「何度枕を変えてもしっくりこない」――そんな“枕迷子”状態に悩んでいる人は多いのではないでしょうか。「高さが合わないのかも」「素材が合わないのかも」と枕選びにばかり注目しがちですが、実は快眠のカギを握っているのは“寝返りのしやすさ”かもしれません。本記事では、枕選びで見落とされがちな「寝返りの視点」に注目しながら、睡眠姿勢と体のバランスとの関係、そして良質な睡眠に導くポイントを解説します。

“枕が合わない”原因は、高さよりも「動き」にある?

一般的に、「枕が合わない」と感じると、多くの人は高さや柔らかさ、素材の問題に注目します。
もちろん、これらの要素も大切ですが、実はより重要なのが「寝返りのしやすさ」、つまり眠っている間に体が自然に動けるかどうかです。

人間は、一晩に20回前後の寝返りを打つとされており、この動作があることで血流が保たれ、筋肉の緊張がリセットされるなどのメリットがあります。
反対に、寝返りがしづらい寝具環境では、首や肩に圧がかかり続け、朝起きたときのコリや痛みの原因になることもあります。

特に注意したいのが、枕が高すぎて頭が沈まず、動きにくくなっているケースや、肩が沈み込みにくいマットレスとの組み合わせです。
これらは、知らないうちに寝返りを妨げる“構造的な制限”になっていることがあります。

つまり、「枕が合わない」という違和感の背景には、寝ている間の“動きの自由さ”が阻害されている可能性があるのです。

“寝返りしにくい姿勢”が引き起こす体への負担とは?

寝返りがしづらい状態が続くと、身体の特定部位に過度な圧力がかかり、血行不良や筋肉の緊張を招くことがあります。
以下は、寝返り不足によって起こりやすい不調の例です。

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

■ 首こり・肩こり

同じ姿勢で長時間寝ていると、首や肩の筋肉が緊張しっぱなしになり、朝の重だるさや可動域の低下につながります。
とくに高すぎる枕や、頭が沈まない硬い素材は、首まわりの血流を妨げやすくなります。

■ 腰痛や背中の張り

仰向け姿勢で寝返りが打てないと、腰や背中への圧が集中します。
また、横向き寝のまま動けずにいると、骨盤や背骨が歪む原因にもなります。

■ 呼吸が浅くなる

寝返りには、肺を広げたり胸郭を開いたりする役割もあります。
動けない状態が続くと、呼吸が浅くなり、結果として疲労回復が不十分な睡眠になってしまうことも。

さらに、寝返りが少ないと、寝汗や体温の調節がうまくいかず、眠りが浅くなるといった影響も考えられます。

“しっくりくる枕”の正体は「寝返りしやすい環境」だった

「枕が合わない」と感じるときは、高さや素材の見直しも大切ですが、それ以上に“寝返りしやすいかどうか”という視点で見直すことがポイントです。

快適な寝返りのためには、以下のような点を意識するとよいでしょう。

  • 仰向けでも横向きでも首や肩に無理な圧がかからない高さを選ぶ
  • 頭が沈みすぎず、かつ固定されすぎない素材(低反発・高反発のバランス)を選ぶ
  • マットレスと枕の相性を確認し、肩が自然に沈みこめる硬さを調整する
  • 寝返り時に頭が引っかからず、スムーズに体ごと動かせる幅がある枕を選ぶ

また、日中の姿勢や首・肩まわりの柔軟性を保つストレッチも、寝返りしやすい体づくりにつながります。

枕は「頭を支える道具」であると同時に、寝ている間の“動きを支える存在”でもあります。
その視点で選び直してみると、今までの「なんとなく合わない」がすっと解消され、睡眠の質が変わるかもしれません。


監修者:浅草橋西口クリニックMo 頴川 博芸

静岡県沼津市出身。日本大学医学部中退、東海大学医学部卒業、順天堂大学大学院医学研究科修了。順天堂大学医学部附属静岡病院で初期臨床研修修了後、順天堂大学医学部附属順天堂医院、越谷市立病院、順天堂大学医学部附属練馬病院などを経て現在は浅草橋西口クリニックMo院長、順天堂大学医学部附属順天堂医院食道・胃外科非常勤助手。資格は日本専門医機構外科専門医、日本温泉気候物理医学会温泉療法医、日本医師会認定産業医など。趣味は旅行。