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医師「重大な病気の可能性も」→『爪のボコボコ』放置すると危険?!…知られざる“意外なリスク”とは?【医師が解説】

  • 2025.4.15
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

日常的に意識することは少ないかもしれませんが、爪は「体調の鏡」ともいわれています。ふと見た自分の爪に「ボコボコしている」「凹みがある」と気づいたことはありませんか?それ、単なる爪の傷みではなく、体の中からのサインかもしれません。中には、「実は重大な病気の可能性も」と指摘される症状もあり、見逃さないことが大切です。今回は、爪の“ボコボコ・凹み”から読み取れる体の異変について、知っておきたいポイントをまとめました。

爪のボコボコや凹みは、体の内側の不調が現れているかも

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

爪の表面に凹凸ができる、くぼみがある、筋のような模様が浮き出ている――こうした症状には、加齢や乾燥といった外的要因だけでなく、内臓の不調や栄養不足など、体の内側からの影響が関係していることがあります。

よくある原因の一つが、鉄分や亜鉛などのミネラル不足。これらは爪の健康に不可欠な栄養素で、不足すると爪の成長が滞り、表面がボコボコになったり、割れやすくなったりします。特に女性は、月経や食生活の偏りによって鉄分不足になりやすく、それが爪の異常として現れることも。

爪も皮膚の一部です。皮膚や粘膜の成長に関わるビタミンAや、ビタミンB2が不足すると、爪が伸びにくくなったり、ツヤが低下することがあります。

また、消化器系や肝臓・腎臓といった臓器の機能低下も、爪に影響を及ぼす要因です。こうした臓器は栄養の吸収や老廃物の排出を担っており、うまく働かなくなると爪の成分であるケラチンの生成にも支障が出てきます。特に爪全体が白っぽくなったり、濁って見える場合は肝機能の低下が疑われることがあります。

皮膚に原因があり爪に異常をきたす場合もあります。これには、先ず、日常生活上での物理的要因があり、台所での水仕事や指先を使った作業により、爪先端の爪の付着部の皮膚や爪そのものを痛め続けたことで、二枚爪や、爪の反り返り、厚みが増大も生じます。爪の根元側の皮膚やその甘皮を傷つけてしまうことで縦筋や割れ、波状の変形が生じます。次に、皮膚の病気が原因のこともあります、例えば、尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)という皮膚病の20%、関節症性乾癬(かんせつしょうせいかんせん)という病気の80%に爪の異常が現れ、爪の表面がザラザラして色が濁ったり、点状窪みが沢山できたり、爪の甘皮2倍程度に伸びるといった変化が生じます。

爪の根元にある甘皮(爪上皮)にも注目してみましょう。この甘皮は爪が綺麗に伸びる上で欠かせません。点状に出血を繰り返す場合は膠原病(強皮症)が疑われます。

加えて、ストレスや睡眠不足などの生活習慣の乱れも無関係ではありません。自律神経の乱れは血行不良を引き起こし、末端の爪への栄養供給が不十分になるため、見た目にも変化が出てくるのです。

チェックしたい「爪のサイン」と見直すべき生活習慣

爪の異常といっても、人によって現れ方はさまざま。以下のようなサインがあれば、生活習慣の見直しや場合によっては医療機関への相談を検討してみても良いかもしれません。

  • 表面がでこぼこして滑らかでない
  • 爪に縦や横のスジが入っている
  • 一部がくぼんでスプーンのような形になっている
  • 全体的に色が白く濁って見える
  • 薄くてすぐに欠けたり、割れやすい
  • 爪の色・ツヤが悪い

これらの症状は、栄養バランスの乱れや血流不良が原因となることが多く、食生活や生活リズムの見直しで改善するケースも少なくありません。鉄分・亜鉛・ビタミンB群などをしっかり摂ること、適度な運動を取り入れて血流を促すこと、そして十分な睡眠を確保することが基本です。尚、ビタミンAは体に蓄積性のあるビタミンで、食物からの摂取が望ましい成分です。過剰摂取も問題となるため、心配な方は医師・薬剤師・栄養士等にご相談下さい。

一方で、「爪の凹みが急に増えた」「明らかに左右すべての爪に異常が出ている」など、広範囲かつ急激な変化がある場合は、自己判断せず医師に相談するのが安心です。稀ではありますが、膠原病や甲状腺疾患など、爪に症状が出る病気が背景にあることもあるためです。

また、日常的にネイルをしている人は、除光液やネイルオフによる刺激、爪の乾燥などで一時的に凹凸ができることもあります。そういった外的要因を取り除いても症状が続くようなら、体調との関連を考えるきっかけにしましょう。

小さな異変にも、体からのメッセージが隠れている

爪のボコボコや凹みは、ただの見た目の問題ではないことがあります。爪はゆっくりと成長するため、変化が現れるまでに時間がかかる一方で、長期的な不調のサインが目に見える形で表れるパーツでもあります。

「実は重大な病気の可能性も」と言われるように、体の異変が爪に出るケースは決してゼロではありません。違和感を覚えたら、まずは栄養や生活習慣を見直し、それでも改善しない場合は早めに専門機関に相談することが大切です。

毎日目にする場所だからこそ、小さな変化に気づくことができます。健康診断のように、たまには爪のチェックも習慣にしてみてはいかがでしょうか?


監修者:医療法人社団日進会 院長、理事長
平岩 亮一(ひらいわ りょういち)

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1995年、埼玉医科大学医学部卒業。2017年、医療法人社団日進会開設、にっしん皮フ科・形成外科開業。今年で開業20周年。所属学会(日本形成外科学会他)。平成28年より【生体皮膜剤】【痒み防止剤】にて日本・アメリカフランスを含む13件の特許を取得し現在に至る。