更年期特有のトラブル回避に。心身を整えるコスメ＆インナーケア

30代あたりから女性ホルモンの分泌量が減ってくると、徐々にコラーゲンやヒアルロン酸などの合成量も減り始め、更年期には骨粗しょう症の心配が出てくる。そんなとき、鍛えるべきなのが筋肉と骨だと森田さんは語る。「筋肉や骨量の維持にも役立っているのが女性ホルモンですが、閉経を機にこれがガクンと減ると、肌が乾燥したり、髪が薄くなったり、美容面でも悩みが出てきます。本来、50歳ごろ迎える閉経が40歳手前ごろから起こる若年性更年期も増えています。こうした症状から体を守るのが骨と筋肉。具体的には筋肉を鍛えることで分泌量を増やすマイオカインというホルモンと、かかとに刺激を与えて骨芽細胞を活性化させるオステオポンチンというホルモンです。筋肉を鍛えるといっても激しい筋トレをする必要はなく、お尻の大きな筋肉＝大殿筋を鍛えるスクワットを一日に数回行う程度でOK。骨も、つま先立ちしてかかとからストンと落とすことを10回程度繰り返せばいいのです。女性ホルモンがなくなったら、もう若々しくみずみずしい体が保てない、というわけではありません。女性ホルモンに代わって体を守ってくれる骨と筋肉。この体の仕組みは知っておいてほしいですね」。東洋医学やアーユルヴェーダを含め、西洋医学の知識もあるたつのさんも骨刺激を推奨。「2015年のアメリカの学会で発表され、日本の医師たちの間でも2018年ぐらいに広がりました。くるぶしをトントンと拳でたたく。リフレクソロジーではかかとは子宮・前立腺・股関節・生殖腺の反射区。ここを刺激すると子宮も温まりますよ。時間が取れない人は普段の歩行をかかとから着地するように意識することから始めてみるといいかもしれません」

たつのさんは自身も更年期に気分の落ち込みなどを経験。そのとき、解決に役立ったのが自然の中に身を置くことだったと語る。「更年期はホルモンの影響で内臓の機能も低下していきます。閉経間際は大量出血があって貧血でふらふらになり、体力もどん底に。そのとき、自分の心と体が負担に思うことを全部やめ、ストレスのもとになる人間関係を断ちました。今は八ヶ岳に移住し、朝10時までの光を浴びる時間に30分のウォーキングをしています。私は消化器官が弱いので、忙しいときは胃になるべく負担をかけないよう、消化しやすい液体系で食事をすませますが、そんなふうに自分の体の調整法を知っておくことも重要です。あとは、閉経後の骨粗しょう症予防のために医師の処方のもとで定量のエストラジオール（卵胞ホルモン）を摂っています。私自身は、午後にエストラジオールを摂ると思考がクリアになり、気持ちがラクになると感じています。少し変わった方法で場所も選ぶのですが、裸になって股に日光を浴びるということもします。常に下着に隠されていて体の中で唯一、日を浴びていない秘部がここですが、短時間の日光浴で子宮からぽかぽかと温まります。血流がよくなるせいか、肌の色ツヤがよくなる実感も。東洋医学では頭頂部にある百会（ひゃくえ）というツボと会陰は経絡でつながっているので、環境的に股の日光浴がしづらい方は百会のツボを押してみるといいですよ」



人生100年時代。閉経後も人生はまだまだ続く。女性という性をポジティブに楽しむためにも、自分の体と向き合うことを今から始めて。

ワフィト オーガニックで優しいマッサージオイル

植物の力で女性の毎日を応援する森田敦子さんプロデュースのトータルライフケアブランド。デリケートゾーン用マッサージオイルは植物性スクワランやマカデミア、ホホバ他、厳選された8種のオイルを配合。

ロクシタン ヘアロスを防いで、豊かな髪に

出産後や更年期の薄毛対策に。毛母細胞の活性化と毛根周辺の血流促進を植物の力で実現した頭皮用美容液。年齢とともにぺたんとつぶれやすくなる髪がしっかり立ち上がるように。

フェムソイ 更年期のゆらぎを緩和する大豆由来のサプリ

自身の更年期トラブルをきっかけに元美容編集者が開発。腸内細菌と相性の良い土壌菌で発酵した大豆と女性ホルモンの働きをサポートするs-エクオールの天然サプリメントで腸も心もすっきり。

ニールズヤードレメディーズ 女性ホルモンを整えるロールオン

クラリセージやゼラニウム、ローズなど多数のアロマをブレンドし、女性のゆらぎに寄り添うオイル。更年期のホットフラッシュによるほてりを感じたら塗布して。下腹部に塗ると、子宮の下垂感の緩和にも。

シンプリスザ・バランス ゆらぎが由来の睡眠不足にアプローチ

更年期に女性ホルモンの影響を受けて睡眠の質が悪くなることに着目。睡眠を司る自律神経を整えて快適な睡眠へ誘うドリンク。

インティメール デリケートゾーンに潤いとハリを補給

アンズ核油脂など10種の植物オイルが潤いとハリを与えるデリケートゾーン用のマッサージオイル。

話を聞いたのは......

YURIKO TATSUNO

助産師。女性の体と心の仕組みを漢方やヨガなど東洋医学の視点からアドバイス。自身も更年期を迎えたのを機に山梨県・八ヶ岳に移住し、ビボーン助産院（女性院）を開設。ホリスティックなフェミニンケアセラピーを提案している。

ATSUKO MORITA

客室乗務員時代に発病したのをきっかけにフランス国立パリ13大学で植物薬理学を学び、植物療法士に。フランス フィトテラピー普及医学協会認定校「ルボア フィトテラピースクール」主宰。膣ケアの重要性をさまざまな媒体で発信する。

Text: Teruno Taira Editor: Misaki Kawatsu

※『VOGUE JAPAN』2025年4月号「一生つき合う“性”との心地よい関係」転載記事。

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