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離婚後も子どもと幸せになるために【子連れ離婚に必要なこと 第2回】

  • 2025.3.17

夫との関係に行き詰まりを感じて離婚を考える主人公・かなこと一緒に「幸せになるための離婚」を学ぶシリーズの後編です。

離婚の手続きや制度についてをまとめたベストセラーをマンガのストーリーでよりわかりやすくした『[マンガ]子連れ離婚を考えたときに読む本』。離婚問題だけでなく、子育てにまつわるお金の知識も身に付くのが特長です。

このマンガの主人公・かなこの悩みはけっして特別なものではなく、結婚した以上、誰にでも訪れる可能性のあるもの。離婚を考えたときに生まれる等身大の葛藤を、離婚カウンセラーの新川先生が丁寧に解決していきます。

■別居にこぎつけた主人公が次にすべきことは?

表向きは「関係改善のための冷却期間」として、別居生活を始めた主人公。生活費を出し渋る夫には、「家庭裁判所に調停を申し立てる」と伝えることで婚姻費用の分担に成功しました。

「知識は自分を守る武器になる」と再認識した主人公を待つのは、数々の面倒な手続き。でも、事前に離婚の流れを把握しておけば恐れることはありません。

まず、前編でも登場した主な3つの離婚タイプのうち、自分たちがどれに当てはまるのかを考えます。

・協議離婚

・調停離婚

・判決離婚

「協議離婚」なら公正証書を作ります。これは、将来的に養育費の不払いなどが起きたときに催促や取り立てなどの法的手段をとれるようにするためのものなので、欠かせません。

・最優先して決めるべき3つのこと

そして、子連れでの離婚で決めなくてはいけないのは「親権」「養育費」「面会交流」について。これらは子どもの権利であり、「どちらの親のもとで育った方が安定した生活環境で、子どもの利益になるか」を最優先して考えるべきだと新川先生はいいます。

<子どものために話し合うべきこと>

■親権

親の権利義務。子の責任者のことを指し、父母が未成年の子を一人前の社会人となるまで養育するため監護教育し、子の財産を管理する。

■面会交流

子どもと離れて暮らすことになった親が定期的に会ったり、連絡を取り合ったりして交流すること。子どもの福祉の面で考慮されるものなので、虐待などの悪影響がある場合は別。

■養育費

子どもの権利として、離婚によって「離れて暮らす親から子どもが受け取るべき」もの。親は自己と同等の生活レベルを子どもに保障しなくてはならない。

出典:『[マンガ]子連れ離婚を考えたときに読む本』より引用

ただ、養育費の支払い率は3割未満というのが現状。養育費の取り決めをしなくても離婚届は受理されるので、離婚を急ぐあまりに取り決めがうやむやになってしまったり、取り決めても支払いが滞ってしまったりするケースが多いそう。

・養育費を支払わせる方法

それを防ぐためには、支払いの強制ができる「債務名義」を作成しておくこと。養育費の不払いが起きても法の力に頼ることができます。

本書では第一章から継続して、離婚のステップを説明しています。最初は離婚のパターンについて、そして次第に具体的な取り決めについて段階を踏んで進んでいくので、主人公と一緒に繰り返し学ぶことができるんです。

■知っておきたいお金や保険、老後の備え

心の中では離婚を決意していた主人公でしたが、夫の和人は「離婚はしない」「おまえが我慢すればいい」という態度をずっと崩しませんでした。

しかし、別居をして、週末に子どもの面倒を見るうちに自分の間違いを自覚するように。離れて暮らすことがお互いにとって良いのかもしれないと、離婚を受け入れます。

やっと離婚が現実になり、ほっとしたのも束の間。二馬力だった家庭が、一馬力になり、自分ひとりで子どもたちを支えていくことに不安を感じる主人公。

・お金と保険の専門家に教わるおカネの対策

ですが、計画を立てて保険に入る、ひとり親家庭への支援制度を理解しておく、お金を貯めておくなどできることはたくさんあります。新川さんは、対策を立てておけば安心につながると提案。

子どもの教育、保険、自身の老後についてなどを保険ジャーナリストの森田直子さん、ファイナンシャルプランナーの豊田眞弓さんから教わります。

まずは生活費の3ヶ月分を予備費として蓄えておくことを提案。ほかにも教育資金や老後資金など何が必要なのか整理して、目的と目標額を書き出します。

お金の増やし方については「つみたてNISA」など資産運用についても紹介。離婚をする、しないに関わらず、知りたいお金周りのことがサクッとわかります。

・備えておくべき「もしも」とは?

でも、もし自分が倒れてしまったら? 「もしも」のときのために備えておくのも、親として大切なこと。起こる確率の高い順番からリスクをリスト化して、予算を確保します。

<もしものリストランキング>

1. 自分が入院したときの医療費や生活費の確保

2. 自分が病気やケガで長時間働けないときの収入の確保

3. 自分が死亡したときのその後の子どもの学費や生活費の確保

4. 子どもの学費の積立て

5. 子どもが入院したときの医療費の確保

6. 自分の老後の積立て

出典:『[マンガ]子連れ離婚を考えたときに読む本』より引用

また、ひとり親への支援を受けるためには「積極的に情報を取りにいく姿勢が大事」だと新川先生。病気や事故など「もしもの事態」からは、つい目をそらしたくなってしまいます。しかし、きちんと現実と向き合って、順序立てて対策をしていけば、不安はずいぶん減るはずです。

■「より幸せになるため」子どもに前向きに伝えてはいるものの…

「パパとママは離れて暮らしたほうが仲良くなれる」と、離婚について前向きに子どもに伝えてきた主人公。しかし、離婚をしてからしばらくするとふいに後悔の気持ちが襲います。

・「離婚ブルー」になった時には

新川先生によれば、それは「離婚ブルー」と呼ばれるもの。主人公は「かわいい子どももいるし、離婚もしたくてしたのに、ふっと誰かに寄りかかりたくなる」と素直な気持ちを告白します。

・普段の子育てにも◎「マイカウンセリング」って?

しかし新川先生は「子どものお父さんが欲しい」「経済的に楽になりたい」という考え方は、少し心配だと警鐘を鳴らします。再婚相手に精神的、経済的に依存するようになってしまう可能性があるからです。

「離婚ブルー」は誰もが経験するものだから、きちんと解決策があります。それが「マイ・カウンセリング」です。

<子育てにも活用できる! 「マイ・カウンセリング」とは?>

人の行動を構成する4つの要素「思考」「行為」「感情」「生理反応」を理解し、自分でコントロールができる「行為」を切り替えること。例えば、自分が何をしているときに気分が良いのかを考え、日常生活で簡単に取り入れられる気分転換方法をできるだけたくさん用意しておくこと。

マイナスな気分になる「行為」をしていると気がついたら、すぐに切り替えること。そして自分の長所を探す癖をつけること。それが自分を好きになることにつながり、言動に責任と自信を持つことにつながるそう。

このようにマイカウンセリングで自身のメンタルを整えることが、離婚後の親子関係を健やかにし、元夫婦の関係の改善にもつながります。そうすれば、前向きでない再婚(経済的に楽になりたい等)で、子どもを危険にさらすことも防げるはずです。

親のメンタルを安定させることは、普段の子育てにも良い影響がありそうですね。

■離婚の面倒な手続きに備えるために

手続きや制度を学び、お金の不安が減っても、離婚は気力と体力を使います。だからこそ、離婚届の提出や住民票の移動、マイナンバーカードの記載内容の変更など細々とした手続きは、効率良く済ませたいもの。

そういった実務面でも本書は役に立ってくれます。自身や子どもの手続について、効率的で上手な進め方をまとめられているので参考にしてみてください。

離婚は、誰にでも起こりうる選択のひとつです。離婚カウンセラーの新川先生は「幸せになるためには何度結婚しても、何度離婚してもいい」と背中を押してくれます。

そして離婚はけっして不幸なことではありません。子どもたちと前を向いて歩いていくために、備えておくことは決して無駄にはなりません。まずは分かりやすいマンガで知識を蓄えておきましょう!

\ ご紹介した書籍 /

『[マンガ]子連れ離婚を考えたときに読む本』著/新川てるえ 漫画/ふじいまさこ(日東書院本社)1,540円(税込)

17刷ロングセラーが待望の漫画化! 親権、養育費、面会交流、子どもへの伝え方など盛りだくさんの内容をよりわかりやすく、情報をアップデートして、今どきのお悩みにも対応。3組に1組が離婚する時代、離婚家庭がより幸せになるための全ての情報がこの1冊にまとまっています。

作家、家庭問題カウンセラー、NPO法人M-STEP理事長。1997年12月にインターネット上でシングルマザーのための情報サイト「母子家庭共和国」を開設。3度の結婚、離婚、再婚の経験を活かし、離婚カウンセラーとして活躍。2014年シングルマザーとステップファミリーを支援するNPO法人M-STEPを設立。『子連れ離婚を考えたときに読む本』(日本実業出版社)など著書多数。メディア出演多数

(いずみかな)

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