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1994年、日本中を感涙させた“歴史的アニメソング” 名作アニメのEDテーマ曲が描いた“青春の終着点”

  • 2025.4.7
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編集部内で作成 ※画像はイメージです

1994年、この歌が流れると、誰もが静かに目を閉じた

「31年前の今頃、どんなアニメのエンディングで涙していたか覚えてる?」

1994年といえば、J-POPは黄金期真っ只中。Mr.Children、サザン、B'zらがヒットチャートを席巻。テレビアニメでは、放課後に多くの若者たちが熱狂していた『SLAM DUNK(スラムダンク)』がブームの渦中にあった。

そんなアニメのエンディングで流れた、ある“別れ”の曲が、放送を終えたあともずっと心に残り続けている。

WANDS『世界が終るまでは…』——1994年6月リリース。
アニメ主題歌の枠を超えて、なぜこの楽曲は時代を象徴する存在になったのか? 今なお語り継がれる理由を振り返ってみよう。

“アニメと歌詞のリンク”が異例の深さを生んだ名曲

『世界が終るまでは…』は、ロックバンドWANDSの8枚目のシングル。
アニメ『SLAM DUNK』のエンディング曲として起用された。累計売上は120万枚を超え、WANDSの代表曲として知られるようになった。

当時、『SLAM DUNK』の人気は社会現象級で、特にエンディングで流れるこの曲は、視聴者の感情と強くリンクしていた。

歌詞に込められたのは、バスケという舞台を通じて描かれる「夢」「仲間」「別れ」「挫折」——まさに青春のすべて。

世界が終わるまでは 離れる事もない
そう願っていた 幾千の夜と 戻らない時だけが
何故輝いては やつれ切った 心までも壊す…

この“別れ”の感情を美しいメロディとともに包み込んだ構成は、ただの主題歌の枠を超え、“アニメを語るには外せない一曲”となった。

なぜこの曲は、アニメファン以外にも刺さったのか?

1994年当時、アニメの主題歌は“タイアップありき”のイメージが強く、そこまで作品と歌詞が密接にリンクすることは少なかったと考察する。

しかし『世界が終るまでは…』は違った。

アニメのストーリーとシンクロするように、楽曲もまた一つの物語を描いていた。
夢にしがみつく気持ち、手放したくないもの、そしてどうしようもなく訪れる別れ——
それらをすべて受け止めるようなこの曲の世界観に、多くの視聴者が“自分の青春”を重ねたのだ。

また、WANDSの初代ボーカル・上杉昇の歌声には、どこか影と儚さがあり、明るさや前向きさとは違った“静かな哀しみ”を感じさせた。そのトーンが、思春期の不安や感情の揺らぎと見事に重なっていた。

“スラムダンクED曲”の枠を超えた、J-POPの名作へ

『世界が終るまでは…』は、アニメソングとしての枠にとどまらず、J-POP全体においても高い評価を受けた楽曲となった。

1990年代中盤、J-POPが“ただ明るくて元気なもの”から、“内面や孤独と向き合う楽曲”へと移行する中、この曲はその先駆けのような存在でもあった。

ZARD、DEEN、T-BOLANといった“ビーイング系”アーティストたちが台頭し、情緒とロックの融合をJ-POPの主流に押し上げていた時代。

その中でも『世界が終るまでは…』は、「切なさ」と「格好よさ」のバランスが極めて高く、アニメファンのみならず音楽リスナー全体に深く浸透した。

時代が変わっても、“別れの美しさ”は色褪せない

『世界が終るまでは…』がリリースされてから、今年で31年。

音楽の聴き方が変わっても、アニメの演出スタイルが変わっても、この曲が持つ“終わりの感情”の強さは今も健在だ。

あの頃、テレビの前で流れたエンディング映像とともに聴いたこの曲は、
単なるBGMではなく、“一つの季節の記憶”そのものだった。

別れは悲しい。けれど、だからこそ美しい。
『世界が終るまでは…』は、それをそっと教えてくれた名曲だ。


※この記事は執筆時点の情報です。