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1993年、日本中が憧れた“永遠の名作ドラマ” 木村拓哉の原点となった“伝説の名シーン”とともに振り返る

  • 2025.4.8
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(C)SANKEI

1993年、“恋の三角関係”が毎週話題になっていた

「32年前の今頃、どんなドラマにドキドキしてたか覚えてる?」

1993年といえば、音楽ではMr.ChildrenやTRFがブレイクの兆しを見せ、ZARDやB'zがヒットチャートを賑わせていた年。ゲームは前年に発売された『ファイナルファンタジーV』や『スーパーマリオコレクション』が話題となり、テレビでは恋愛・友情・青春をテーマにしたドラマが人気を博していた。

そんな中、フジテレビ“月9”枠で放送され、大きな話題となったのがこのドラマ。

『あすなろ白書』——1993年、フジテレビ系“月9”枠にて放送スタート

「キムタクブレイクのきっかけ」「“あすなろ抱き”の名シーン」など、数々の伝説を生んだ青春群像劇の名作。その魅力と、今も語り継がれる理由を改めて振り返ってみよう。

“普通の大学生たち”が共感を呼んだ物語

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(C)SANKEI

『あすなろ白書』は、柴門ふみ原作の漫画をもとにドラマ化された作品で、大学のゼミ仲間5人が織りなす恋愛・友情・成長の物語。

主人公・なるみ(石田ひかり)は、ゼミ仲間の掛居(筒井道隆)に淡い恋心を抱きつつも、心の中にはずっと引っかかっている存在がいた——それが、無口でぶっきらぼうな取手(木村拓哉)。

誰と誰がくっつくのか、どんな想いを誰に向けているのか。視聴者が自分の大学生活と重ね合わせて観たくなるような、等身大のキャラクターたちの繊細な心の動きが、毎週の話題となった。

中でも注目を集めたのは、木村拓哉演じる取手の存在。「優しい人」「取手くんが頂点」として、当時の若い女性たちの心をがっちり掴んだ。

「俺じゃダメか?」“あすなろ抱き”が社会現象に

このドラマの象徴ともいえる名シーンが、取手がなるみの背後からそっと抱きしめて、静かに放ったひと言——

「俺じゃダメか?」

この“あすなろ抱き”と呼ばれるシーンは、恋愛ドラマ史上屈指の胸キュン名場面として語り継がれ、以降のドラマや現実の恋愛シーンでも「背後からの告白」が定番化するきっかけにもなった。

取手というキャラクターの魅力は、ただのイケメンではなく「誰にも心を開かないけど、本当に好きな人には全力でぶつかってくる」というギャップにあった。その静かな強さと一途さに、多くの視聴者が共感した。

そしてこの作品は、木村拓哉にとっても大きな転機となった。『あすなろ白書』の出演を機に木村拓哉の人気は一気に高まり、“キムタク現象”へとつながっていく転機となった。その後の『ロングバケーション』『ラブジェネレーション』『ビューティフルライフ』へとつながっていく、まさにスターダムの入り口だった。

“月9”=青春恋愛ドラマのイメージを定着させた作品

『あすなろ白書』は、それまでの“月9”のイメージをより若年層に広げ、「大学生のリアル」を描いた恋愛ドラマとして確固たる地位を築いた。

それまでの月9は社会人ラブストーリーが主流だったが、この作品の成功によって、10代後半〜20代前半の視聴者層が月9に流れ込むようになり、青春ラブストーリーというジャンルが市民権を得る事となっただろう。

また、恋愛模様だけでなく、友情のすれ違いや将来への不安といった“今しかない悩み”を丁寧に描いたことで、「恋愛ドラマ=泣ける・共感できる」という印象を決定づけた作品でもあった。

令和の時代にも刺さる、“不器用な恋”のかたち

『あすなろ白書』の放送から、今年で32年。

SNS時代の今、気持ちは言葉よりもスタンプや既読・未読で測られることが増えたけれど、あの頃のドラマが描いていたのは、相手の気持ちに揺れて、距離を測り、答えを出せずに悩み続けるような、「言葉にならない想い」だった。

「俺じゃダメか?」

——そのセリフの余白に込められた感情こそが、今も色褪せず、観る人の心を掴む理由だろう。

恋愛がうまくいかなくても、言葉にできなくても、それでも誰かを想い続けたあの時間。

『あすなろ白書』は、そんな青春の“痛み”と“愛おしさ”を、確かに描いた名作だった。


※この記事は執筆時点の情報です。