子供のころ、繰り下がりのある引き算が苦手だった人は多いのではないでしょうか。一つ上の位から数を借りてくる、という操作は結構面倒なものですよね。
しかし、工夫すれば、この繰り下がりを回避できるかもしれませんよ。
問題
次の計算を暗算でしなさい。
9031−5992
※制限時間は10秒です。
解答
正解は、「3039」です。
頭の中で筆算をしようとした人は、10秒以内に計算をするのはなかなか難しかったはずです。
どのような工夫をすれば時間内に答えが出るのでしょうか?
次の「ポイント」で、暗算方法をご紹介します。
ポイント
この問題のポイントは、「引く数を切りのよい数にすること」です。
今回、引く数は5992です。このままだと、繰り下がりが多数発生してしまいます。そこで、5992に近く、百以下の数字がすべて0である6000を代わりに引くことを考えます。
9031−5992→9031−6000=3031 ←5992の代わりに6000を引く
切りのよい6000を引けば、繰り下がりはまったく発生しませんね。
しかし、3031はこの問題の答えにはなりません。当然ながら、「9031−5992」と「9031−6000」は別の式だからです。
そこで「9031−6000」の答えと「9031−5992」の答えの違いを考えてみましょう。6000は5992よりも8大きな数ですから、前者の式は後者の式よりも8多く数を引いていることになります。
よって「9031−6000」の式の答えに8を足してやれば、元の式「9031−5992」の答えと一致するはずです。
この考え方を式で再現すると、次のようになります。
9031−5992
=9031−6000+(6000−5992)
=3031+8
=3039
二行目に注目してください。引く数を切りのよい6000に変換しつつ、+(6000−5992)で変換前と変換後の答えの誤差が出ないように調整しています。
このように計算すると、繰り下がりの操作を回避できるので、暗算で答えを出しやすくなります。
まとめ
今回の問題では、引く数を切りのよい数に変換して暗算をしやすくしました。
引く数が切りのよい数(末尾に0が多い数)であれば、繰り下がりが発生しづらくなります。ただし、引く数を変換してしまえば、答えもまた元の式とは変わってしまいます。元の引く数と変換後の引く数の差を足すという計算も忘れないようにしましょう(変換後の引く数>変換前の引く数の場合)。
この暗算方法は、引く数があと少しで切りのよい数になるときに特に使いやすくなります。ぜひ、他の引き算でも使えないか試してみてくださいね。
※当メディアでご紹介する数学関連記事においては、複数の解法をもつものもございます。 あくまでも一例のご紹介に留まることを、ご了承ください。
文(編集):VY
数学とIT技術学習が趣味のWebライター。実用数学技能検定2級と数学教員免許を取得後、家庭教師や学習支援スタッフとして数学指導を行ってきた。文系と理系の別、年齢にとらわれない、誰でも楽しめる数学解説作成を目指している。
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