NHK連続テレビ小説『おむすび』に出演し、ヒロイン・米田結（橋本環奈）の姉・歩（仲里依紗）の少女時代の親友だった渡辺真紀と、結が務める病院に入院してきた田原詩を1人2役で演じた大島美優。歩の人生に影響を与えるも、阪神・淡路大震災の際に亡くなってしまった真紀と、栄養失調で倒れて緊急搬送された詩。見た目がそっくりだが、別人の少女2人を見事に演じ分けた大島は、SNSでも「顔は同じでも雰囲気や性格が真逆だから別人にしか見えない」「10キロくらい痩せたように見える」「着実に階段を登っている」と絶賛されており、話題の大型新人女優として注目を浴びている。
15歳にして6年のキャリアを持つ大島美優
詩は『おむすび』の第24週に登場し、最終週では歩が結たちの協力を仰ぎながら一緒に生きていくことに決めるという、重要なキャラクターとなった。真紀、そして詩を好演した大島は、高い演技力で難役をこなし、視聴者の心を鷲づかみにした。真紀と詩ではビジュアルにも変化が感じられたが、栄養失調の詩を演じるにあたって、減量などの役づくりをしたかもしれないと思わせた大島。現在15歳の彼女は、新人と言っても、2019年に子役から俳優業をスタートさせ、すでに6年のキャリアがある。
2018年、少女漫画雑誌「ちゃお」の専属モデルを選出するオーディション「ちゃおガール2018☆オーディション」にて準グランプリを受賞した大島。ちゃおガールの先輩には、映画『ゴールデンカムイ』や『正体』などで活躍している山田杏奈がおり、彼女は日本アカデミー賞で新人俳優賞と優秀助演女優賞を受賞しているので、大島の今後にも期待がかかる。
アイドル活動をしながら俳優業をスタート
ちゃおガールとして、2021年3月末までアイドルグループ「Ciào Smiles」のメンバーだった大島は、アイドル活動と並行して、2019年4月期のフジテレビ系・月9ドラマ『ラジエーションハウス～放射線科の診断レポート』で女優デビューを果たした。本作で、本田翼が演じたヒロイン・甘春杏の幼少期を演じ、初々しい魅力を発揮した大島。
その後も、大島は『相棒 season18』『未満警察 ミッドナイトランナー』『ファイトソング』『だから殺せなかった』といったドラマに次々と出演。『ファイトソング』では、同じ事務所（アミューズ）の先輩で、憧れの存在だという清原果耶と共演した大島は、清原が主演した『おかえりモネ』を観て、朝ドラに出演してみたいと思うようになったという。
二宮和也と多部未華子の娘役を好演
2022年には、二宮和也主演のTBS日曜劇場『マイファミリー』に出演した大島は、物語のキーパーソンとなる主人公の娘・鳴沢友果という大きな役を熱演した。本作は、二宮が演じる主人公・鳴沢温人と、多部未華子が演じる妻・未知留が、誘拐された娘を救うための唯一の方法として、警察を排除することを決意し、夫婦だけで娘を取り戻そうとする、ノンストップ・ファミリーエンターテインメント。
愛娘を誘拐されるという、人生最悪の事態に見舞われ、家族の絆が試される中、絶体絶命の事態に動転する未知留と、5億円の身代金をすぐには用意できずに焦る温人。第1話から最終話まで、ハラハラドキドキの展開が描かれた。人気大物俳優の二宮と多部の娘役に大抜擢された大島は、ドラマのメインビジュアルのセンターに配置され、全国の視聴者の注目を集めたが、期待を裏切らない好演を披露。命の危険にさらされる誘拐の被害者という難役を見事に演じ切った。
映画初出演は『ガリレオ』シリーズ劇場版
2022年と2023年は、2本のWOWOW「連続ドラマW」、『雨に消えた向日葵』と『湊かなえ「落日」』に出演。前者はムロツヨシ主演、後者は北川景子主演作で、大島は両作で瑞々しい演技を披露した。特に『湊かなえ「落日」』で演じた、吉岡里帆が扮した新人脚本家・甲斐真尋の幼少期は、複雑な役どころで強い印象を残した。
2023年は、BLコミックが原作のドラマ『君となら恋をしてみても』で、主演の日向亘の妹役を演じた大島は、2024年もNHK夜ドラ『ユーミンストーリーズ』、小泉孝太郎主演『警視庁ゼロ係〜スカイフライヤーズ〜』と2本のドラマの後、『おむすび』に出演した。
コンスタントにドラマに出演し、着実にキャリアを積んでいった大島。映画は、2022年公開の『沈黙のパレード』に出演経験があるが、本作は福山雅治主演の『ガリレオ』シリーズの劇場版第3作。映画初出演にして、大作に抜擢されるという快挙を成し遂げている。本作で大島が演じたのは、15年前に行方不明となった12歳の少女・本橋優奈役。村上淳が演じる蓮沼寛一に殺害され、奥多摩で遺体となって発見される被害者という、物語において重要なキャラクターだ。
念願の朝ドラに初出演
15歳にして、すでに多くの出演作がある大島は、2024年9月に放送がスタートした『おむすび』で、念願の朝ドラ出演を果たし、1人2役を演じて全国的に知名度を上げた。高い演技力を証明した彼女は、今後の朝ドラヒロイン候補に加わったのではないだろうか。次の出演作も非常に楽しみだ。フレッシュな魅力に溢れる大島の活躍から、これからも目が離せない。
NHK 連続テレビ小説『おむすび』
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ライター：清水久美子（Kumiko Shimizu）
海外ドラマ・映画・音楽について取材・執筆。日本のドラマ・韓国ドラマも守備範囲。朝ドラは長年見続けています。声優をリスペクトしており、吹替やアニメ作品もできる限りチェック。特撮出身俳優のその後を見守り、松坂桃李さんはデビュー時に取材して以来、応援し続けています。
X（旧Twitter）：@KumikoShimizuWP