1. トップ
  2. 『廃墟化予備軍マンション』には気をつけて!プロが教えるチェックしておくべき“意外な盲点”

『廃墟化予備軍マンション』には気をつけて!プロが教えるチェックしておくべき“意外な盲点”

  • 2025.2.26
undefined
写真:photoAC(イメージ)

マンション(家)の購入は、多くの人にとって人生の中でも大きな決断のひとつです。

マンションは、見た目や価格が魅力的に見える物件でも意外なリスクが潜んでいることがあります。

そのひとつが「廃墟化」です。

購入時は理想的に思えても、数年後に管理がうまくいかず、価値が下がってしまうマンションも少なくありません。

そんなリスクを避けるためには、物件を選ぶときに注意したいポイントを押さえておくことが大切です。そこで今回は、将来的に廃墟化するリスクが高いマンションの特徴を、10年以上マンション管理の仕事をしている不動産のプロである筆者が初心者にもわかりやすく3つに絞って解説します。これを知っておくだけで、マンション購入の失敗をぐっと減らせるはずですよ。

将来廃墟化のリスクが高いマンションの特徴3つ

undefined
写真:photoAC(イメージ)

マンションの管理会社で10年以上働いた経験をもとに、将来廃墟化しやすいマンションの特徴を以下の3つにまとめました。

1. 管理会社が頻繁に変わっているマンション
2. 修繕積立金が極端に安いマンション
3. 賃借人が多いマンション

それぞれ詳しく説明します。

1. 管理会社が頻繁に変わっているマンション

「マンションは管理を買え」と言われるほど、管理体制は大切なポイントです。

その中でも、管理会社の安定性は要チェック。

例えば、過去10年で2回以上管理会社が変わっている場合は注意が必要です。頻繁に変わる背景には、以下のような理由が考えられます。

・管理費のコストカットを優先しすぎている
・管理組合が管理会社に無理な要求をしている

最近では、管理会社側も人員不足や採算の問題から、条件が悪いマンションの管理を引き受けないケースが増えてきました。その結果、管理体制が不安定になり、日常の清掃や修繕が十分に行き届かなくなる可能性があります。こうした状況が続くと、建物の劣化が進み、住環境が悪化して住人が減少。最終的には廃墟化のリスクが高まってしまいます。

【確認のポイント】
・管理会社の変更回数だけでなく、変更理由も確認する
・管理会社の変更履歴を、不動産会社や管理会社に問い合わせる

2. 修繕積立金が極端に安いマンション

修繕積立金はマンションのメンテナンスに必要なお金です。国土交通省の調査によると、2023年度の修繕積立金の全国平均額は1住戸あたり月額1万3,054円。この金額より明らかに低い場合、特に築20年以上経過しているマンションは要注意です。

一般的にマンションの大規模修繕は12年〜15年おきに行われます。修繕積立金が足りないと、修繕が必要になったときに住人から追加で徴収することになったり、そもそも修繕計画が進まなかったりすることがあります。

これが繰り返されると建物がどんどん劣化し、居住環境が悪化してマンションの価値が下がります。結果として、廃墟化に近づいてしまうのです。

【確認のポイント】
・修繕積立金が国土交通省の平均額に近いかを確認する(※適正額は築年数や設備により異なる)
・長期修繕計画と修繕積立金の金額が一致しているか確認する
・過去の修繕履歴や今後の修繕計画も必ずチェックする

3. 賃借人が多いマンション

マンションを選ぶときは、住んでいる人の構成も大事なポイントです。特に住戸の半数以上が賃貸で貸し出されているマンションには注意が必要です。

賃借人が多いと、住人の入れ替わりが激しく、管理組合や理事会の運営がスムーズに機能しなくなることがあります。また、物件の所有者が外部に住んでいる場合、管理費や修繕積立金の増額が合意されにくいケースも。管理が行き届かずに建物の維持が難しくなると、長期的には建物全体の価値が下がり、廃墟化のリスクが高まります。


【確認のポイント】
・賃借人の割合だけでなく、管理組合が正常に運営されているか確認する
・管理組合の議事録を閲覧し、運営状況をチェックする

気になる点は積極的に質問しよう

マンション購入の際は価格や立地だけでなく、管理体制や修繕積立金、住人の構成といったポイントもチェックしましょう。

今回紹介した3つの特徴を頭に入れておけば、廃墟化リスクのある物件を見抜く判断力が養えるでしょう。

また、気になることは不動産会社や管理会社に積極的に質問して、物件の詳細を確認することが大切です。しっかりと情報を集めて、安心して暮らせる住まいを選びましょう。



卯野景子(うの けいこ)
不動産会社勤務のライター。宅地建物取引士・管理業務主任者の資格を持ち、主に住まいや暮らしに関する記事を執筆。ブログやXでは、働きながら子育てを両立する日々の思いや、生活に役立つ情報を発信中。

※サムネイル画像出典:photoAC(イメージ)