四桁の割り算を暗算でできると思いますか? 実は、9で割る割り算には特別な暗算法があります。
どんな方法か知りたい人は、さっそく今回の問題に挑戦してみてください。
問題
次の計算を暗算でしなさい。答えは整数で求め、余りが出る場合は余りも答えましょう。
2222÷9
※制限時間は10秒です。
解答
正解は、「246あまり8」です。
なんだか、規則性のある数の並びになったと思いませんか?
そう、この答え(あまり含む)は九九の二の段の並びと一致します。
どうしてこのようになるのかは、次の「ポイント」で解説していますよ。
ポイント
この問題のポイントは、「割られる数の各桁を足していく暗算方法」にあります。
この暗算方法は、インド式計算法の一種として知られています。具体的な計算方法は、次の通りです。
<四桁の数1000a+100b+10c+d÷9の暗算方法>
※aは千の位、bは百の位、cは十の位、dは一の位の数を表す(aは1以上9以下の整数、b,c,dは0以上9以下の整数)
以下の手順で、答えの各桁と余りの数を計算します。
手順1:答えの一番大きい位(ここでは百の位)=a
手順2:答えの二番目に大きい位(ここでは十の位)=a+b
手順3:答えの三番目に大きい位(ここでは一の位)=a+b+c
手順4:余り=a+b+c+d
※手順1〜3の計算の途中で答えが10以上になった場合は、繰り上げる。
※手順4で余りが9以上になった場合は、一の位に9の個数分の数を繰り上げる。
では、さっそくこの暗算方法を使って、今回の問題を計算してみましょう。
<2222÷9の暗算方法>
1.答えの一番大きい位(ここでは百の位)=2
2.答えの二番目に大きい位(ここでは十の位)=2+2=4
3.答えの三番目に大きい位(ここでは一の位)=2+2+2=6
4.余り=2+2+2+2=8
答え:246あまり8
今回、割られる数は2のゾロ目でした。足し合わせていく中で繰上りも生じないので、この暗算方法を使うと答えの数の並びが2ずつ増えていく「九九の二の段」と一致したというわけです。
この暗算方法が成り立つ理由
「暗算方法は分かったけれど、どうしてこの方法で答えが出るの?」と疑問を持つ人もいるでしょう。
算数や数学では、どうしてその計算が成り立つのか考えることはとても大事です。早速、暗算方法が成り立つ理由を考えてみましょう。
まず、四桁の数を「1000a+100b+10c+d」という式であらわします。これを9の倍数が現れるように変形していきます(変形する部分を強調した太字部分に注目してください)。
1000a+100b+10c+d
=900a+100a+100b+10c+d ←1000aを900aと100aに分解
=900a+100(a+b)+10c+d
=900a+90(a+b)+10(a+b)+10c+d ←100(a+b)を90(a+b)と10(a+b)に分解
=900a+90(a+b)+10(a+b+c)+d
=900a+90(a+b)+9(a+b+c)+(a+b+c)+d ←10(a+b+c)を9(a+b+c)と(a+b+c)に分解
=900a+90(a+b)+9(a+b+c)+(a+b+c+d)
=9{100a+10(a+b)+(a+b+c)}+(a+b+c+d)
※aは千の位、bは百の位、cは十の位、dは一の位の数を表す(aは1以上9以下の整数、b,c,dは0以上9以下の整数)
「9{100a+10(a+b)+(a+b+c)+(a+b+c+d)}」を9で割ると、答えは「100a+10(a+b)+(a+b+c)」になり、余りが(a+b+c+d)になります。これは、先に紹介した暗算手順と一致しますね。
まとめ
今回は、9で割る割り算の暗算方法を紹介しました。
割られる数の各桁を足していくだけなので、筆算をするよりも簡単だと感じた人も多いのではないでしょうか。
他にもさまざまな暗算問題を紹介していますので、ぜひ引き続き挑戦してみてくださいね。
※当メディアでご紹介する数学関連記事においては、複数の解法をもつものもございます。 あくまでも一例のご紹介に留まることを、ご了承ください。
文(編集):VY
数学とIT技術学習が趣味のWebライター。実用数学技能検定2級と数学教員免許を取得後、家庭教師や学習支援スタッフとして数学指導を行ってきた。文系と理系の別、年齢にとらわれない、誰でも楽しめる数学解説作成を目指している。
類似の数学問題にもう1問挑戦!