工夫して5秒で計算してみて！「6−9+6×9÷6」→正しく計算できる？

算数の問題では、ちょっとした工夫によって計算の負担が軽減することがあります。計算が楽になれば、スピーディーに答えが出せますし、ややこしい計算をするよりも間違いにくくなります。

今回の問題では、どんな工夫ができるでしょうか？一度考えてみてください。

問題

次の計算をしなさい。
6−9+6×9÷6

※制限時間は5秒です。

正解は、「6」です。

制限時間内に計算が終わったでしょうか。

今回の問題を5秒で計算する方法が知りたい人は、次の「ポイント」に進んでください。

この問題では、「掛け算と割り算をまとめて計算すること」と「同じ数の足し引きをまとめて計算すること」がポイントになります。複数の計算をまとめる工夫をすることで、スピードアップができますよ。

では、具体的な工夫の仕方を見ていきましょう。

まずこの問題は、掛け算と割り算から計算をスタートさせる必要があります。これは計算順序のルールが次のようになっているからです。

<計算順序のルール>
次の順序で計算します。

1.( )の中
2.掛け算・割り算
3.足し算・引き算

※同じ優先順位の計算がある場合は、左から計算します。

今回の式にこのルールを適用してみると、掛け算→割り算と計算した後に、引き算→足し算と計算すればよいことが分かりますね。

6−9+6×9÷6

さて、最初に計算する掛け算と割り算ですが、よく見ると「掛け算の掛けられる数と割り算の割る数はともに6」と共通の数になっています。

このような形で連続している掛け算と割り算には、次の関係式が利用できます。

■（掛けられる数）×▲（掛ける数）÷■（掛けられる数と同じ数で割る）=▲（掛ける数）

＜成り立つ理由＞
■×▲÷■
=(■×▲)/■ ←割り算を分数で表し、■で分子分母を約分する
=▲/1
=▲

■が6、▲が9と考えると、今回の式で掛け算と割り算をまとめて計算した答えは9になると分かりますね。

6−9+6×9÷6
=6−9+9

残りは引き算と足し算の計算です。

先に解説した通り、左から順に引き算→足し算と計算するのが正しい計算順序です。しかし、この引き算は引かれる数より引く数の方が大きいため、答えは負の数になると考えられます。

6−9+9

負の数が登場すると計算がややこしくなりますし、負の数の計算方法を忘れてしまっている人は、ここでギブアップしてしまうかもしれませんね。

そこで、直後の足し算に注目しましょう。直前の引く数である「9」と同じ数を足しているのが分かります。このような場合、先に同じ数どうしで計算をしてしまうと、次のように計算が簡単になります。

6−9+9 ←同じ数を引いてから足しているので打ち消しあう
=6+0
=6

しかし、この計算は「同じ優先順位の計算がある場合は、左から計算」するというルールに反しています。このように自由に計算の順序を変えてもよいのでしょうか？

実は、足し算だけの式であれば、計算はどこからしてもかまわないのです。これを、加法の結合法則といいます。

<加法の結合法則>
(■+▲)+〇=■+(▲+〇)

今回の式は引き算が混じっているので、一見この法則が使えないように見えます。しかし、−9は+(−9)と書き直せます。よって、以下のように式を足し算だけにすることは可能です。

6−9+9
=6+(−9)+9

あとは、加法の結合法則を使って以下のように計算を進めます。

6+(−9)+9
=6+{(−9)+9} ←先に(−9)+9から計算する
=6+0
=6

このように計算すれば、スピーディーに答えを出すことができます。

今回の問題には、6と9が繰り返し登場しています。このように同じ数が何度も登場する式では、「まとめて計算する」工夫が使いやすくなります。

工夫のポイントは、式の特徴を捉えることです。他の制限時間付き問題にも挑戦して、どう工夫すればすぐに答えが出るのかを考えてみましょう。よい頭の体操になるはずです。

※当メディアでご紹介する数学関連記事においては、複数の解法をもつものもございます。あくまでも一例のご紹介に留まることを、ご了承ください。

文（編集）：VY
数学とIT技術学習が趣味のWebライター。実用数学技能検定2級と数学教員免許を取得後、家庭教師や学習支援スタッフとして数学指導を行ってきた。文系と理系の別、年齢にとらわれない、誰でも楽しめる数学解説作成を目指している。

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