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衝撃の展開に背筋が凍る…【実際の事件がモデルのノンフィクション映画】“未解決事件に利用”された子どもたちの葛藤と苦悩

  • 2025.2.22

実話を題材とした作品は、フィクションの作品に比べて感動や衝撃を大きく感じますよね。そのため、ノンフィクション作品は数多く制作されています。今回は、そのなかでも実際に起こった事件がモデルのノンフィクション映画を5選をセレクトしました。

本記事ではその中から、2020年公開の映画『罪の声』をご紹介。1984年~1985年に起こったグリコ・森永事件をモチーフにした本作の内容とは…?

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です。
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます。

脅迫電話の声の主は自分だった…?“実際に起こった事件がモデルのノンフィクション”映画『罪の声』

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(C)SANKEI
  • 作品名:映画『罪の声』
  • 公開日:2020年10月30日

あらすじ

塩田武士の同名小説を監督・土井裕泰脚本・ 野木亜紀子で映画化。

大手お菓子メーカーの社長が誘拐された「ギンガ・萬堂事件」、通称・ギン萬事件は未解決のまま時効を迎えていました。それから35年の月日が流れ、新聞記者の阿久津英士(小栗旬)はギン萬事件を含む未解決事件を特集する記事を書くために取材を重ねていきます。

その頃、紳士服の仕立て屋として働く曽根俊也(星野源)は、自宅の押し入れから父の名前が書かれた見覚えのない箱を見つけます。中には、英語がびっしりと書かれた手帳と古いカセットテープが入っていました。カセットテープを再生してみると、自分が小さい頃の音声が流れ始めます。

曽根のなかで懐かしい感情が湧きあがるなか、機械のような口調で不可思議なことを話し始める自分の声が再生されました。驚いた曽根は、偶然手帳に「GINGA」「MANDO」と書かれているのを発見します。

ネットで検索してみると、ギン萬事件で脅迫電話に3人の子どもの声が使われたことを知った曽根。恐る恐る1つの脅迫電話の音声を再生してみると、カセットテープと全く同じ内容の自分の声が流れるのでした―。

罪のない子どもが背負う声の罪…映画『罪の声』の注目ポイント※ネタバレあり

1984年、当時日本中を震撼させた「グリコ・森永事件」。江崎グリコ社長の誘拐を皮切りに、さまざまな大手食品企業への脅迫電話や脅迫状が届いた未解決事件です。身代金を要求したにもかかわらず現金の引き渡し場所に犯人が現れなかったことや、脅迫電話に子どもの声が使われたことなど、謎やインパクトが強く残る事件として注目を集めました。

本作は、脅迫電話に使われた子どもたちのその後に着目した作品です。星野源さん演じる曽根俊也は、平穏な暮らしをしていたなかで子どもの頃に知らず知らずに犯した罪を知ります。

直接罪を犯したわけではなくても、多くの人を不安や恐怖に陥れた大事件に関わっていたことを知って生まれる苦悩や葛藤がひしひしと伝わってきます

また、特に注目すべきは生島聡一郎を演じる宇野祥平さんの演技です。総一郎も、曽根と同じ脅迫電話の声の主でした。“声の子ども”であったことをきっかけに、不幸な人生を歩むことになった総一郎の表情に居たたまれない気持ちになります。同じ“声の子ども”でも、総一郎が歩んできた境遇を知って違った罪悪感を抱く星野さんの表情にも注目です。

斬新な着眼点に驚愕…フィクションとノンフィクションが上手く融合した名作!

本作は実際の事件をモチーフに、フィクションとノンフィクションとがうまく絡められた作品となっています。事件をテーマにした作品は犯人やそれを追う者にフォーカスが当たりがちですが、脅迫電話に使われた子どもに着目した斬新な内容です。

ただただ、声の子どもとなった人たちがかわいそうに感じてしまいますが、作品の着眼点としては非常にユニークなので、様々な作品が溢れる現代だからこそ観るべき映画とも言えるでしょう。

まだ映画『罪の声』を観たことがない方、また本記事を読んで映画『罪の声』に興味を持っていただけた方は、ぜひ“重厚で緻密に練り上げられたストーリー”を味わってみてください!


ライター:天木拓海
映画・アニメ・ドラマなど、エンタメ作品を観ることを趣味としているライター。エンタメ関連のテーマを中心に、作品考察記事/コラム記事などを手掛ける。

※記事は執筆時点の情報です。