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「女性の3人中2人が経験」更年期にも増える『尿もれ』…7割が治る“意外な方法”とは?【医師が解説】

  • 2025.2.6
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「くしゃみをしたら少し漏れてしまった」「笑ったときに尿が出てしまう」——このような尿もれの悩みを抱えている女性は多いのではないでしょうか? 特に更年期に入ると、尿もれの頻度が増えたと感じる人が増えます。実は、これはホルモンバランスの変化や筋力低下が影響しているのです。

では、なぜ更年期になると尿もれが起こりやすくなるのでしょうか? そして、予防・改善する方法はあるのでしょうか? 今回は、尿もれの原因と対策について、医師に詳しく解説していただきました。

更年期に尿もれが起こる主な原因とは?

まず、更年期に尿もれが起こりやすい理由について伺いました。

医師コメント
女性ホルモンの低下や、運動不足、筋力の低下で骨盤底筋が弱る結果尿もれにつながります。

女性ホルモンであるエストロゲンは、膀胱や尿道の粘膜、骨盤底筋の働きを維持する重要な役割を果たしています。しかし、更年期に入るとエストロゲンの分泌が減少し、これらの組織の機能が低下。さらに、加齢による筋力の衰えが加わることで、尿もれのリスクが高まります。

尿もれには、以下のような種類があります。

  • 腹圧性尿失禁:咳やくしゃみ、大笑い、重いものを持ち上げた際に起こる尿もれ。骨盤底筋の弱まりが原因。
  • 切迫性尿失禁:急に強い尿意を感じ、トイレに間に合わず漏れてしまう。加齢や膀胱の過敏性が関係。
  • 混合性尿失禁:腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁の両方の症状があるケース。

更年期には特に腹圧性尿失禁が増える傾向にあります。これは、骨盤底筋の衰えによって尿道をしっかり閉じることができなくなるためです。

尿もれを徹底予防! 改善するために日常生活で意識することは?

「尿もれを経験すると、まず尿パッドを使おうと考える方が多いですが、実は骨盤底筋トレーニングを行うことで改善できるケースが多い」と医師は言います。

医師アドバイス
三人に二人の女性が尿もれ経験ありとデータがあります。尿もれを経験すると、まず尿パットを当てる方が実に多いですが、まずは骨盤底トレーニングを始めてください。軽い尿もれの7割は骨盤底体操で治ります。

そこで、簡単にできる骨盤底筋エクササイズを紹介します。

骨盤底筋トレーニング(ケーゲル体操)

  1. 仰向けに寝て、膝を軽く曲げる
  2. お尻を締めるように意識しながら、尿道・膣・肛門をキュッと締める
  3. 5〜10秒間キープし、その後ゆっくり緩める
  4. これを1セット10回、1日3セット行う

このトレーニングは、座った状態や立ったままでもできます。毎日コツコツ続けることが大切です。また、日常生活の中で意識できるポイントとして以下の工夫も効果的です。

  • 急な尿意を感じたら、骨盤底筋を締めて我慢する
  • 適度な運動を取り入れ、全身の筋力を維持する(ウォーキングやスクワットも効果的)
  • 水分摂取を控えすぎない(トイレが心配で水分を減らすと、膀胱が過敏になり逆効果)
  • カフェインやアルコールを控える では、骨盤底筋トレーニングを続けても症状が改善しない場合、どのような治療法があるのでしょうか?
医師コメント
一人で骨盤底トレーニングができない場合は、エムセラなどの治療器具も効果的ですが自由診療で高価です。軽い尿もれのうちに低トレーニングで進行を食い止め、尿パットのいらないアフター更年期を目指しましょう。

尿もれの治療には以下のような選択肢があります。

  • 骨盤底筋電気刺激療法(EMS):低周波電流を流して筋肉を刺激し、鍛える方法
  • ホルモン補充療法(HRT):エストロゲンを補充し、尿道や膀胱の粘膜を強化
  • 薬物療法:切迫性尿失禁には、膀胱の収縮を抑える薬が処方されることも
  • 手術療法:重度の腹圧性尿失禁には、尿道を支える手術が行われることもある

医師は、「軽いうちに対策を始めることが重要です。尿パッドに頼るだけでなく、早めに骨盤底筋トレーニングを取り入れ、進行を防ぎましょう」とアドバイスしています。

更年期に起こる尿もれトラブル…早めの対策で快適に!

更年期に尿もれが起こりやすいのは、女性ホルモンの低下や筋力の衰えが原因です。しかし、適切な対策を取ることで、症状を予防・改善することができます。

特に、骨盤底筋トレーニングは軽度の尿もれに効果的で、7割のケースで改善が期待できると言われています。もしトレーニングが難しい場合は、専門的な治療も選択肢に入れてみましょう。

「尿もれは仕方がない」と諦める前に、できることから始めてみませんか? 早めの対策で、快適な毎日を送りましょう。


監修医:沢岻美奈子女性医療クリニック理事長 沢岻美奈子先生

産婦人科専門医・女性ヘルスケア認定医。医療法人・沢岻美奈子女性医療クリニック理事長。神戸市内のクリニックにて「更年期で悩む女性を元気にしたい!」という思いで診療を行っている。幅広い世代の女性のかかりつけ婦人科医として、クリニックを受診する患者さんのリアルな声をインスタグラム「375taxi」やpodcast「女性と更年期の話」でも配信している。