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更年期から起こる『手のしびれや痛み』…“意外な正体”と対応策は?【#医師が解説】

  • 2025.2.4
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

更年期に差し掛かると、体にさまざまな変化が現れます。その中で、多くの女性が悩まされる症状の一つが「手指のしびれや痛み」です。こうした不快な症状は、なぜ起こるのでしょうか?そして、どのように対策をするべきなのでしょうか?この記事では、医師の解説を交えて、更年期の手指のしびれや痛みの原因や改善方法を紹介します。

更年期における「手指のしびれ」や「痛み」の原因とは?

更年期における手指のしびれや痛みは、ホルモンバランスの変化が深く関わっています。更年期は、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が減少する時期であり、このホルモンは骨や筋肉、関節にも影響を与えるため、関節の強張りや痛みを引き起こすことがあります。エストロゲンの減少は、骨密度の低下や筋肉の弾力性の減少を招き、手指を含む関節に負担をかけやすくします。このような変化が、手指の関節に痛みやしびれ(通称「メノポハンド」)を引き起こす原因となります。

医師コメント
女性ホルモンと関係のある体の部分で思い浮かぶのはお乳や、子宮や卵巣といった女性特有の臓器ですが、脳や関節といった部分も大いに影響を受けています。パソコンやスマホを日常に使う現代では、細かい関節の多い手指の強張りを訴える女性は増えています。

また、現代ではパソコンやスマートフォンの使用が日常化しているため、手や指を酷使することも多くなっています。
このような生活習慣が手指の疲れや痛みを引き起こし、更年期の症状と合わさることで不快感が強まることもあります。特に、手の関節が細かくて動きやすいため、強張りを感じやすい部位です。

手指のしびれや痛みを軽減する方法とは?

更年期による手指のしびれや痛みを軽減するためには、日常生活の中でできるセルフケアや生活習慣の改善が大切です。

医師アドバイス
痛いと、じっと安静にしてしまいがちですが、心臓から手先まで血液を送るイメージで全身の有酸素運動で血流の巡りを良くすることが効果的です。冷えている方は温めることも大切です。

痛みを感じたときは、ウォーキングや軽いジョギング、ストレッチなどの有酸素運動を行うことが効果的。全身の血流を促進することで、手指への血行が改善され痛みが軽減することが期待できます。

さらに、冷えも痛みを悪化させる原因の一つです。冷えた手指は血流が滞り、筋肉が硬くなるため痛みが強く感じられます。手指が冷えていると感じた場合は、手袋を使ったり、温かいお湯に浸したりすることで、血行を良くすることができます。

日常生活での姿勢や動作も重要なポイント。パソコンやスマホを使う時間が長い方は、手指を酷使しないように定期的に休憩を取り、手を伸ばしたりほぐしたりすることを意識しましょう。

更年期以外の疾患による可能性は?

手指のしびれや痛みが更年期に関係している場合もありますが、他の疾患が原因となっている可能性もあります。特に、関節リウマチなどの自己免疫疾患が原因で、手指に同様の症状が現れることがあります。

医師コメント
更年期の手のしびれ・いわゆるメノポハンド以外で気になる病気は、女性に多い関節リウマチでも似たような症状がでます。運動したり、冷えを改善したり、婦人科の更年期の治療でも良くならない場合はリウマチを診てくれる科を受診しましょう。

特に、女性に多い関節リウマチも似たような症状を引き起こすことがあるため、注意が必要です。もし、更年期の症状に加えて、手指の腫れやこわばりが続く場合は、リウマチ専門医に相談するようにしましょう。

SNSではこのようなコメントも…

X(旧Twitter)では、「日に日に更年期障害と思われる症状が増えていく気がする」「指先のしびれが出てきた」など、それぞれが感じる不調についての投稿が寄せられています。体のさまざまな不調が重なり、日常生活に支障をきたしている様子や、それに伴う不安の声が多く見受けられました。

高熱と腹・腰の異常なまでの痛みとか指先のしびれとか出るようになったのやっぱ更年期なのかなぁ
ものすごい頭痛と身体中のしびれで、 今朝、目が覚めた。
日に日に更年期障害と思われる症状が増えていく気がする

生活習慣を見直して「更年期」対策を!

更年期における手指のしびれや痛みは、ホルモンバランスの変化に伴い、関節や筋肉に影響を及ぼすことが原因で起こります。過度に安静にするのではなく、有酸素運動や手指を温めることで血流を改善し、痛みを軽減することができます。また、パソコンやスマートフォンの長時間使用を避けるなど、生活習慣を見直すことも効果的です。

それでも症状が改善しない場合や、関節の腫れやこわばりが見られる場合は、関節リウマチや他の疾患が原因である可能性もあるため、早めに専門医に相談することをお勧めします。自分の体のサインを見逃さず、適切なケアを行うことが更年期を快適に過ごすための第一歩です。


監修医:沢岻美奈子女性医療クリニック理事長 沢岻美奈子先生

産婦人科専門医・女性ヘルスケア認定医。医療法人・沢岻美奈子女性医療クリニック理事長。神戸市内のクリニックにて「更年期で悩む女性を元気にしたい!」という思いで診療を行っている。幅広い世代の女性のかかりつけ婦人科医として、クリニックを受診する患者さんのリアルな声をインスタグラム「375taxi」やpodcast「女性と更年期の話」でも配信している。