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知り合いの『保険営業マン』から突然の電話…なすがまま保険に加入し『月5万円』を払い続ける“保険貧乏”の男性が犯した致命的なミス

  • 2025.3.2
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写真:photoAC(イメージ)

「もしもし…」

保険会社に勤める知り合いから突然電話がかかってきて、保険加入を勧誘された経験があるという方は多いかもしれません

もし友だちのよしみで勧誘を受けたとしても、保険の本質をしっかりと認識したうえで、加入すべきかを判断すべきです。

今回はFPとしてさまざまなご家庭でお金の相談を受けてきた筆者が、保険営業員の知り合いから勧められた保険に加入した結果、保険貧乏になってしまった人の事例を紹介します。

「あなたのため」ではなく「自分のインセンティブのため」

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写真:photoAC(イメージ)

日本人は、欧米に比べて保険加入率が高いと言われています。

保険はケガや病気、死亡時など万が一のリスクに備えられる商品ですが、本質を見失うべきではありません。

実際に私が相談を受けたAさんは、明らかに必要以上に保険へ加入していました

Aさんの年収は約450万円で手取り収入は約350万円。合計で毎月約5万円、年間で60万円近い金額を保険料として支払っており、手取り年収に占める保険料が約17%。保険料が家計を圧迫していました。

なぜこんなに保険へ加入しているのか聞いたところ、「保険会社に勤めている友人から勧められた」とのこと。保険を解約したいが、付き合いもありなかなか解約できずに悩んでいる、とも話していました。

Aさんは独身であるにもかかわらず、死亡保険に加入していたり、また「将来のために」「節税になるから」というセールストークを受けて個人年金保険外貨建ての終身保険に加入していました。

一般的に、死亡保険は加入者が亡くなったとき一緒に暮らしている配偶者や子どもといった家族が生活に困らないように加入するものです。筆者自身は、独身であるAさんが死亡保険に加入する必要性はないと考えます。

また、貯蓄性のある個人年金保険や外貨建て保険に加入すると、確かに将来に備えられます。しかし、個人年金保険は利回りが微々たるものであることに加え、外貨建て保険は為替次第で損をするリスクがあります。

そもそも、いずれの保険も保険会社に支払う手数料が不明確です。将来に備えたいのであれば、NISAやiDeCoを活用して手数料が安いインデックスファンドを購入したほうが合理的でしょう

Aさんに本当に必要な保険とは?

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これらをAさんに伝えたうえで、私は「Aさんが加入する必要がある民間保険は、対人対物無制限の自動車保険か、火災保険くらいのもの」とアドバイスしました。あわせて、「元本割れが発生しますが、現在加入している余計な保険をすべて解約し、投資に回したほうがよい」とも伝えました。

残念ながら、ほとんどの保険営業員は「あなたのため」ではなく「営業員のノルマや利益のため」に働いているのが実情です。Aさんの友人も、残念ながら顧客本位の仕事をしているとはいえません。

Aさんが犯した致命的なミス

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写真:photoAC(イメージ)

保険貧乏になるのを防ぐためには、保険の本質を見失わないことが大切です。そもそも、保険は「滅多に起こらないが、もし起こってしまったら“破滅”してしまうようなリスクに備える」ものです。

自分の資金力だけでカバーできないリスクに対してのみ、民間保険で備えましょう。たとえば、公的健康保険には高額療養費制度の仕組みがあるため、貯蓄が100万円もあれば医療費は問題なく支払えるケースがほとんどです。

つまり、ケガや病気は「滅多に起こらないけど、もし起こってしまったら破滅してしまうようなリスク」ではないため、医療保険は不要といえるでしょう。

また、保険営業員から「保険に加入すると節税になる」というセールストークを受けたことがある方もいるかもしれません。保険は節税のためではなく、リスクに備えるために加入するものですから、的外れなセールストークといえるでしょう。

また、Aさんのように「知り合いだから」という理由で加入するのは控えるべきです。また、加入を検討する際は他社の同様の保険商品と保障内容や保険料を比較するようにしましょう。

保険に限らず、自社の商品を売りつけてくる人は「自分の利益のため」に話を持ち掛けてくるため、縁を切ったほうがよいかもしれません。

預貯金でカバーできないリスクは保険でカバー

保険の本質をきちんと理解していれば、無駄な保険に加入し保険料貧乏になってしまう事態を防げます。「本当に保険でカバーすべきリスクなのか」を冷静に考えたうえで、加入するか判断しましょう。

とはいえ、「滅多に起こらない」「もし起こったら自分や家族の人生が破滅する」という2つの条件に該当するリスクに対して、保険は有効な手立てです。逆にいえば、それ以外のリスクに対しては預貯金で備えるのが合理的です。



【柴田充輝】
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。 FP1級と社会保険労務士資格を活かして多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。

※記事内のイラストおよび画像はイメージです。