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「高級ブランドに身を固め…」 銀行員は見た!〈老後破産〉する人の決定的な特徴

  • 2025.3.3

 

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写真:photoAC(イメージ)

「人生100年時代」と言われる現在においては、老後の生活設計は重要です。

しかし現実は、年金の減少や物価上昇など取り巻く環境は厳しさを増しており、「老後破産」という言葉も普通に耳にするようになっています。たとえば筆者が銀行に入社した30年以上前は、高齢者イコールお金持ち(そのころは「富裕層」「セレブ」などという言葉すらなく、お金持ちが形容詞でした)でした。

その頃と現在を比べると、時代の流れを感じるとともに、筆者自身は「金持ちのお年寄り」と「老後破産」でどちらのゴールを迎えるか?考えることもあります。

そこで今回は、銀行員として見てきた、老後破産に陥りやすい人の特徴を実際のエピソードを交え紹介します

読者のみなさんも老後破産を迎えたくないなら、ぜひ参考にしてください。

老後破産とは〜老後破産の定義と統計から見えてくる現状〜

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写真:photoAC(イメージ)

まず、老後破産とはどのような状態でしょうか?破産の定義とあわせて少しまとめてみました。

老後破産とは?

まず破産とは、正確に表現すると「破産手続きをすること」です。自分の支払能力を超えた債務(未払いや借金)があり、もう支払いが不可能(「債務不履行」と呼びます)になった場合に、裁判所に頼んで審理してもらい、それが認められると破産手続きを開始することができます。イメージとしては、会社の倒産と同じです。

破産手続きが開始されると、原則として抱えているすべての借金を払わなくて済むのですが、その代わりに自分の資産は手放して債務返済に充当(相殺)されてしまいます。つまり借金から免れるかわりに、自宅や自動車など大切な資産を手放すことになるのです(ケースによっては、債務も資産もすべてなくなるケースばかりではありません)。

破産手続きは、お金を貸したのに支払っててもらえない人(債権者)が裁判所に依頼できるのですが、借金を抱えている本人が破産手続きを裁判所に申し立てることもできます。これが自己破産と呼ばれているものです。一般に破産と言えば自己破産のことを指します(※1)。

そして老後破産は、高齢になってから借金や未払金を払うことができなくなり、自己破産することを意味しています。 

(※1)法務省 「第11話 | 自己破産は最後の切り札?」、最高裁判所 「破産の手続・自己破産の申立てを考えている方へ 」

統計から見る老後破産の現状

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高齢者の破産は年々増加傾向にあることは、統計からもわかります。

2020年の統計では破産した人の中で60歳代が16.37%、70歳代以上で9.35%となっています。

また過去データとの比較では、2020年は2008年と比較して70歳代の割合は約2倍以上に増加しており、老後破産が年々増加している現状が見て取れます。

※参考:日本弁護士連合会消費者問題対策委員会「2020年破産事件及び個人再生事件記録調査・破産債務者の年齢・性別 」

銀行員が見てきた老後破産する人の特徴

ではここから、老後破産する人の特徴を3つ紹介します。

筆者が銀行員として、実際に老後破産あるいは老後に経済的破綻を迎えた人を数え切れないくらい見てきた経験から、その中でも特に多く見られた3つの特徴は以下です。 

  1. 現役時代から生活レベルを変えられない人
  2. いきなり「背伸びしすぎ」の投資や運用に手を出してしまう人
  3. 借金グセ、浪費グセが治らない人

本記事では、特徴1の「現役時代から生活レベルを変えられない人」についてを解説していきます。

現役時代から生活レベルを変えられない人

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写真:photoAC(イメージ)

気持ちが若いのは悪いことではないのですが、その延長なのか現役時代と変わらない生活レベルを維持しようとする人がいます。

退職などで収入が減少しているのに、現役と同じ消費行動を続ければ当然お金は減っていきます。

もちろん貯蓄や金融資産など、有り余るほどの資産があれば心配は少ないのですが、あまり蓄えがないのに生活レベルを変えず、収入が減っていけば当然ながらいつかはお金が底をついてしまうことになるのです。

銀行員が見た!リアルエピソード

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写真:photoAC(イメージ)

現在は廃止されていますが、以前は公的年金を担保にして生活費などを借りる「年金担保融資」というものがありました。

銀行などの金融機関で取り扱っていたので、筆者自身も窓口でも受け付けていました。

これは、そんな年金担保融資でお金を借りたいと申込みに来店されたAさん(年金受給者・女性)のケースです。Aさんは身なりはおしゃれで、身につけている装飾品やバッグなどファッションに疎い私でも知っているような有名ブランドを持っていました。外見はいかにもセレブ、富裕層といったイメージなのに、年金を担保にお金を借りたいという依頼でした。

手続きにおいて、お金が必要な理由を伺わなくてはいけないので話しを聞いたところ「若い頃からファッションや買い物にお金を使うクセがあり、それが年金生活になってもやめられない。今までは蓄えを取り崩してきたが、それもなくなったので、年金を担保にお金を借りたい。また買い物をしたい」というご事情でした。

最後の「また買い物をしたい」という部分まで話してくれなくても良かったのですが、受け付ける銀行員からは心の中ではそう思っているものの、「無駄遣いはだめですよ」とは言えないので、そのまま手続きをしたのですが、借金してまで買い物が止められないようでは老後破産に進んでしまうのではないか?となんともやりきれない気持ちになったことを覚えています。

(※3)厚生労働省「年金担保貸付制度終了のご案内 」



ライター:加藤隆二

銀行に30年間勤務、まだまだ現役の銀行員。住宅ローンやカードローンなど借入全般の相談、あるいは返済が困難なお客様からの相談にも対応してきました。自慢できるような実績はありませんが、銀行員として数多くのお客様と向き合い、お金にまつわるさまざまな相談に応えてきたことが自慢です。

※サムネイル写真および記事内の画像はイメージです
※本記事のエピソードの内容は、あくまでライター個人の体験に基づくものです