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銀行員は見た!『1億円タワマン購入』に年収はいくら必要?住宅ローン審査で落ちないために“必要な条件”

  • 2025.1.31
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写真:photoAC(イメージ)

多くの人にとって人生で最も高い買い物である「マイホーム」

東京都心エリアや全国の大都市圏では、新築に限らず中古マンションでも「億超え」がもはや当たり前になりつつあります。

中でもここ近年活況なのがタワーマンション、いわゆるタワマンです。

みなさんの中には「1億円を超えてもタワーマンション(以下タワマン)を購入したい!」と考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、ほとんどの方は金融機関で住宅ローンを利用することでしょう。

では、1億円のタワマンのローン審査に通るにはどのような条件が必要になるのか?

そこで今回は、住宅ローンを審査する現役銀行員である筆者の視点から「1億円のタワマンの住宅ローン審査を通る条件」について解説します。

1億円タワマンの住宅ローン審査に通るために

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写真:photoAC(イメージ)

住宅ローンで審査に通過するための条件はいくつもありますが、ここで代表的なものを紹介します。

ただし実際には住宅ローンの審査基準は“部外秘”の極秘事項です。これからお伝えする部分はあくまで一般論に通じますので「信じるか信じないか?はあなた次第です」というニュアンスで説明していきます。

【条件1】「年収」と「返済比率」の基準

今回の案件に関わらず住宅ローンを組むためには物件価格相応の年収と、一定水準を満たした返済比率が必要となります。

1億円のタワマンを買うなら、まず年収は1000万円以上が理想です。これは後述する返済比率も考えてのことです。

しかし、現年収が足りないからと言って諦めるのはまだ早いです。なぜなら年収も重要ですが、そこから導き出される「返済比率」で実際は審査をするのです。そのため「年収〇〇万円以下はダメ!」と一概に決まっているわけでないというわけです。

金融機関によっては「申し込める人は年収100万円以上」などという記載もありますが、現実面で考えるなら、年収100万円水準の人が数千万円という住宅ローンの返済を抱えて、さらに自分の生活も成り立つのか?と考えると、やはり相応の収入が必要という結論になるのです。

ちなみに返済比率について、簡単に説明しますが、一般には年収の25%以下が理想とされています。ただし、以下のような点に注意が必要です。

  • 年収は手取りではなく「支給額」で見られる
  • 住宅ローンにはともに借入れの2%程度である「保証料」または「事務手数料」も必要で、金額も大きい(例・借入1億円×税込2.2%=220万円)この手数料等をローンに組み込んで借りる事ができる ただし借入額が大きくなる点に注意(※1)
  • 返済比率を計算する場合には、その人の借り入れすべてで計算するので、他の借入の年間返済額も必要になる
  • 借入利率は実際に借りる金額ではなく高めの金利(※2)

(※1)参考:三菱UFJ銀行「住宅ローンの保証料とは?相場や計算方法をわかりやすく解説!」

(※2)
「ローン審査で返済比率を計算する場合の想定金利は4%」といった記事を見たことがあります。しかし上述したように、ローン審査の基準は公開していません。ですから4%というのが真実なのか?あるいは何%で計算するのかなど、お話することはできません。しかしお話することできないと申し上げる以上、ある程度高めで計算することはありえます。

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【条件2】頭金の目安

ローンの規約で「頭金ゼロはダメ」とか「〇〇〇万円以上は頭金が必要です」というような銀行はありません。

そのため原則として、頭金ゼロでもタワマンローンの申込はできます。そのいっぽうで、一般に頭金は2割から3割が理想と言われます。1億円のタワマンで2割なら2千万円なので、もちろんこれだけ頭金があるなら、借入は8千万円で済むことになり、借入額も返済比率も押さえられ、審査通過の可能性が上がるという理屈になります。

しかし、繰り返しになりますが重視されるのは返済比率なので、頭金ゼロでローン1億円だとしても返済比率で充分基準に満たされていれば審査通過の可能性はありますが、ここでも注意が必要です。ローンでは借りることができない諸費用もありますので(例・収入印紙代は現金で払うなど・借入額が1億円の場合、ローン契約書の収入印紙は6万円など)諸費用も購入価格の1割から2割と言われているのです。また購入後のランニングコストや家具家財なども必要となりますので、例えば貯蓄が2千万円あるからと言って、それを全額頭金に出してしまうと手元がゼロになってしまいます。

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ペアローン利用時の注意点

一人ではなくパートナーと二馬力、二人三脚でお互いに住宅ローンを利用する「ペアローン」。高額なタワマンでは「パワーカップル(※)」と呼ばれる方々が利用するケースが見られます。

ただしペアローンも銀行員として以下のような点を注意すべきと考えています。

2人で審査通過することが大前提

2人がそれぞれ審査されるので、どちらかが年収や勤務先・勤続年数あるいは個人信用情報で審査落ちになると、タワマンローンの借入はできなくなります

団体信用生命保険(団信)も要注意

団体信用生命保険にも2人とも加入することが必須となります。そのため過去の病歴などでどちらかが加入不可だと、借入ができないかも知れません。

また「片方が亡くなったとき、片方のローンだけ保険で完済される」タイプもあれば「片方死んでも2人分のローンが完済できる」などといったように、保険にもいろいろなタイプがあります。基本的に保証が厚いほど保険料が高く(実際は借入利息に+0.2%など上乗せ)なるので、保証と返済額のバランスを考えて慎重に選ぶべきです。

パートナーとの関係が破綻するとローンも破綻

離婚や関係解消をしても、ローンは残ることに注意が必要です。そのあとのタワマンをどうするか残った借金をどうするかなど問題が山積することになります。

(※)パワーカップル:パートナー同士がそれぞれ高年収であるカップルのこと。最初にこの言葉を使ったニッセイ基礎研究所の定義では「ともに年収700万円以上(=2人で1,400万円)」となっているが、最近では「2人合わせた世帯年収で1,000万以上」がパワーカップルの定義で主流となっている。

参考:ニッセイ基礎研究所「パワーカップル世帯の動向」

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まとめ

今回は、1億円のタワマンのローン審査を通るための条件やペアローン利用時の注意点について銀行員である筆者が解説しました。

注意点が多くなりましたが、そもそも憧れのタワマンを手に入れることは、もちろん素晴らしいことです。だからこそ、様々な注意点をイメージしながら、夢の実現に近づけてください。

この記事が、皆さんの参考になれば幸いです。



著者:加藤隆二

銀行に30年間勤務、まだまだ現役の銀行員。住宅ローンやカードローンなど借入全般の相談、あるいは返済が困難なお客様からの相談にも対応してきました。自慢できるような実績はありませんが、銀行員として数多くのお客様と向き合い、お金にまつわるさまざまな相談に応えてきたことが自慢です。

※サムネイル画像出典:photoAC(イメージ)