桁数が多い計算は、筆算を使う習慣がついている人も多いでしょう。繰り上がりや繰り下がりが予想される場合は、よく使うのではないでしょうか。
しかし、三桁の繰上りのある足し算でも、工夫次第で暗算ができるようになりますよ。さっそく、挑戦してみましょう。
問題
次の計算を暗算でしない。
988+643
※制限時間は10秒です。
解答
正解は、「1631」です。
制限時間内に計算が終わったでしょうか? やっぱり筆算でないと厳しい…と感じた人は、ぜひ次の「ポイント」をご覧ください。
ポイント
この問題のポイントは、「切りのよい数に変換して計算すること」です。
「988+643」をそのまま計算しようとすると、繰り上がりが多くて面倒ですよね。そこで、足される数である988が1000という切りのよい数に近いことに注目してみましょう。
988を1000に変換すると、「1000+643=1643」と簡単に計算が終わりますね。
ただし、「988+643」と「1000+643」は同じ式ではないので、答えにはずれが生じます。では、どれぐらいずれるのでしょうか。1000は988よりも12大きい数です。つまり、「1000+643」は「988+643」よりも12だけ大きな答えが出るのです。
この12を「1000+643」の答えから引いてやれば、答えはもとの「988+643」と一致します。
では、具体的な計算の流れを見てみましょう。
988+643
=1000+643−(1000−988)
=1643−12
=1631
このようにすれば、繰り上がりを回避しながら、三桁の足し算の答えを簡単に出せます。
なお、この足し算の計算を一般化すると次のようになります。
a+b
=a'+b−(a'−a)
※a'はaに近く切りのよい数
a'+b−(a'−a)の括弧を展開して計算すると…、
a'+b−(a'−a)
=a'+b−a'+a
=b+a
=a+b
a'と−a'が打ち消しあうので、もとのa+bの式に戻るのが分かりますね。
まとめ
足し算に登場する数を切りのよい数に変換すれば、暗算がしやすくなります。今回は、「足される数」を変換しましたが、「足す数」の方が切りのよい数に近かった場合、「足す数」を変換してみましょう。
他にも計算の工夫がカギになる問題を用意していますので、ぜひ挑戦してみてください。
※当メディアでご紹介する数学関連記事においては、複数の解法をもつものもございます。 あくまでも一例のご紹介に留まることを、ご了承ください。
文(編集):VY
数学とIT技術学習が趣味のWebライター。実用数学技能検定2級と数学教員免許を取得後、家庭教師や学習支援スタッフとして数学指導を行ってきた。文系と理系の別、年齢にとらわれない、誰でも楽しめる数学解説作成を目指している。
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