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「原価20円のコーヒーを600円で売る」喫茶店が“競争しなくても”いまだに儲かる理由とは?『インベスターZ』

  • 2025.4.25
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『インベスターZ』(c)三田紀房/コルク

全国トップクラスの優秀な若者が集まる道塾学園を舞台に、秘密裏に学校の運営費を稼ぐ投資部の活躍を描いた三田紀房作の『インベスターZ』(講談社)。株や経営など経済に深く踏み込んだ内容が話題となり、大人からも支持を集めている人気作です。

この作品のなかには、ビジネスに活かせる知識や考え方が盛り沢山!

本記事ではビジネスパーソン必見、個人商店経営の秘訣をまとめた「3Sの法則」について紹介していきます。

昔ながらの喫茶店で儲けられる?その理由とは(『インベスターZ』11巻・credit.89より)

『インベスターZ』(c)三田紀房/コルク
『インベスターZ』(c)三田紀房/コルク

母から「とある老夫婦の喫茶店を引き継ぐ」と聞かされたさくらは、心配そうな表情を見せます。

現代はコーヒーチェーンの全盛とも言える時代で、その市場は大手にほぼ占拠されている状態です。そのうえコンビニに行けば、安価でコーヒーが手に入ります。価格競争を強いられる現状を見れば、さくらが不安に思うのも当然でしょう。

彼女は母と共に喫茶店へ行き、店主へ自身の考えを語ります。すると、店主は「競争なんかしなくていい」「繁盛しなくてもいい」と答え、それでも「経営していける」と断言したのです。

その言葉の裏には「3Sの法則」という、個人商店で儲けるための重要な考え方が隠されている様子。それでは、この「3つのS」はいったい何を指しているのでしょうか。

1つ目のS「スリム(Slim)」

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『インベスターZ』(c)三田紀房/コルク
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『インベスターZ』(c)三田紀房/コルク

1つ目のSは「スリム(Slim)」です。こちらはなるべく少人数で業務をまわし、人件費を低く抑えることを指しています。これにより、それほど多くない売り上げでも、十分な利益を出すことができるのです。

もちろん、人件費をしっかりかけて、地域シェアNo.1を目指すという方針もあります。しかしそれをしてしまえば、激しい競争に巻き込まれ、経営が苦しくなることがほとんど。店主はその未来を見据えたうえで、「長く生き延びるための方針」を掲げているのです。

そして、経営のスリム化を達成するために、2つ目のSが非常に重要な意味を持ってきます。

2つ目のS「シンプル(Simple)」

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『インベスターZ』(c)三田紀房/コルク

2つ目のSは「シンプル(Simple)」です。こちらは提供する品数を最小限にし、材料費や作業量を削減することを指しています。これがうまくいけば、スタッフの人数も抑えることができ、1つ目のS(スリム)の達成にも繋がっていくのです。

店主は600円で販売しているコーヒー1杯で580円ほどの利益が出ると語り、品数を少なくしても1時間に3人ほど客がいれば十分儲かると話しています。

10時から20時の10時間営業で、3人のお客が1時間に1杯コーヒーを頼めば1日約2万円の売り上げ。これを週6日続けると、月商約50万円になります。人件費や材料費の削減を考えれば、十分な利益になるでしょう。

自由に手広くやることも個人商店の武器ではありますが、それで無駄が多くなっては元も子もありません。経営をシンプルにしていくことで、少ないお客でも儲かる環境を作っていく。それこそが、個人商店の生き延びる道なのです。

3つ目のS「スロー(Slow)」

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『インベスターZ』(c)三田紀房/コルク

最後のSは「スロー(Slow)」です。こちらは「あまり忙しくない状態」、つまり商売を大きくしすぎないことを指しています。店主が言うには、「個人商店にとって成長と拡大は悪魔の囁き」とのこと。

これについて、さくらの友人・美雪の祖父は1980年代の日本を参考にこんな話をしていました。この時代の商店主たちは借金を返すため、とにかく売り場を大きくして在庫を並べ、売り上げをアップさせようと奔走。

しかし、市場規模を無視した経営拡大では当然結果が出ず、最終的に多くの店が廃業することに。「成長と拡大」と聞けばプラスのように感じますが、それが良い方向に作用するのは経営体力がある企業だけです。

個人商店は身の丈に合った商売をし、「その環境でいかに利益が増やせるか」を考えた方がよいということでしょう。

まとめ

個人商店で儲けるために必要なのは、人件費を最小限に抑えるスリム化、品数を減らして材料費や作業量を削減するシンプル化、そして業務を拡大せず無理なく経営を続けていくスロー化。この3つのSを頭に置いておくことがとても大切です。

商売と聞くとついつい「仕事量を増やして利益を上げる」という意識になりがちですが、その逆を行くことで生き延びる場合もあります。この考え方を取り入れれば、あなたの仕事にも別の道が見えてくるかもしれません。



「インベスターZ」(c)三田紀房/コルク

※本記事はコンテンツの権利者に許諾を得た上で記事の制作・公開を行っています。



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