ビジネスメールでは、読みやすくわかりやすく書くよう意識している方は多いかと思います。
しかし、文脈によって漢字とひらがなの使い分けを意識しているという方は、意外と少ないのではないでしょうか。
実は、文脈によってひらがなで書く場合と漢字で書く場合のルールがあります。
今回は、ビジネスメールでひらがなにする漢字のマナーについてご紹介します。ぜひチェックしてみてくださいね。
1.漢字をひらがなで書くことのメリット
文章を読みやすくするための工夫として、適度に漢字をひらがなに変換することが重要です。言葉によっては、漢字を使うことで逆に読みにくくなり読み手にストレスを与えてしま可能性があります。
漢字をあえてひらがなにすることで、以下のような2つのメリットがあります。
- 読みやすくなる
- やわらかい印象を与える
漢字が多く使用された文章は、全体的に読みづらい印象を与えます。ひらがなを意識して使うと、文章が全体的にカジュアルな柔らかい印象を与えることができます。そのため、状況や読み手によって使い分けることが大切です。
2.ひらがなで書く漢字
「形式名詞」「副詞」「複合動詞」「補助動詞」については、ひらがなで書くことを意識するのがポイントになります。
- 形式名詞
「こと」「もの」「わけ」など - 副詞
「しばらく」「さらに」「ぜひ」など - 副助詞
「~くらい」「~など」「~ほど」など - 補助動詞
「いたします」「いただく」「〇〇(して)みる」など
3.代表的な使い分けの例
ビジネスメールで意識していただきたい代表的な漢字とひらがなの使い分けの例をご紹介します。
- 下さい・ください
ひらがなの「~ください」は、お願いの意味で使われます。
漢字の「~下さい」は、物やファイルなど、何かががほしいときに使用します。 - 行く・いく
ひらがなの「~いく」は、動作・状態が継続するような「成長していく」などに使用します。
漢字の「行く」は、移動や到達の意味を含むときに使います。 - 事・こと
漢字の「事」には、具体的に指し示す出来事がある場合に使用します。
ひらがなの「こと」は形容名詞として分類され、言葉そのものには意味がありません。そのため、さし示すものが抽象的な場合はひらがなで書きましょう。
4.要注意!「宜しくお願い致します」はNG!?
ビジネスメールでよく使われがちな「宜しくお願い致します」は、実はひらがな表記が正しいとされています。
理由としては2点。ひとつは「宜しく」が『常用漢字』ではないこと。そして「致します」が動詞ではなく“補助動詞”であることです。「私が対応致します」などは“動詞”として使われていますが、「お願い」のあとにつく「いたします」は“補助動詞”にあたるためひらがな表記となるのです。同様に「サインを頂く」は“動詞”となり、「ご覧いただく」は“補助動詞”となりますので注意が必要です。
どんな印象の文章になっているか確認をしてみよう
ひらがなで書く場合と漢字で書く場合にはルールがあるということに驚かれた方もいらっしゃるかと思います。
読みやすいビジネスメールを書くうえで、読み手のことを考えて漢字とひらがなの使用に気を配ることが大切です。まずは、どんな印象の文章になっているか確認する習慣をつけることを心がけてみてくださいね。
ライター:能美黎子(のうみれいこ/ @reikonohmi)
大学卒業後、新卒にて最大手保険会社にて約7年秘書の経験を経て、ITコンサル企業の社長秘書に転職。その後、数社の社長秘書を経験し秘書歴約15年となる。秘書検定準1級を取得。
今までの経験を活かし、接遇や礼儀作法、マナーなど“品格”を大事にした執筆作業を行っている。