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「学校に行きたくない!」と言われたら…? 親にしてほしい最初の一歩【知っておきたい「不登校」のこと Vol.1】

  • 2024.8.29

夏休みも終わりが見えてきました。お子さんは、2学期を楽しみにしていますか? じつは、この時期は「学校に行きたくない」と言いはじめる子どもが多い時期でもあるのです。

もし、子どもから「学校に行きたくない」と言われたら、どうしたらいいのでしょうか? 学校に行かない選択をした子が通うフリースクール「花まるエレメンタリースクール」の校長“はやとかげ”こと、林隼人先生にお話を伺いました。

林 隼人(はやし はやと)プロフィール

花まる学習会の30年のノウハウが詰め込まれた「花まるエレメンタリースクール」校長で、ファッションブランド「ノットイコール」代表、農業×ビジネス教室「みんなビレッジ」主宰。元中学校教諭、サッカー日本代表 川島永嗣と立ち上げたグローバルアスリートプロジェクト学長を経て、高濱正伸との運命的な出会いがあり現在に至る。親と離れて暮らす社会的養護の子どもの人権活動にも取り組んでいる。

【花まるエレメンタリースクールとは?】

花まるエレメンタリースクール(通称・花メン)は、学校に行かない選択をした子どもたちのためのフリースクールです。写真は実際の花メンの子どもたち。全員が不登校の経験があるとは信じがたい、生き生きと自信にあふれた表情です。花メンでの学びについては、連載3本目でご紹介します。

■「学校に行きたくない」は誰にでも…!? 不登校の現状

楢戸:子どもに「学校に行きたくない」と突然言われたら、保護者は驚きます。そんなとき、まずはどんな声かけをするのがいいのでしょうか?

はやとかげ:大前提として最初に知っておいて欲しいことは、「学校に行きたくない」という状態は、誰にでも起こりえるということです。近年、不登校は増加の一途で、社会的認知も進んできました。

楢戸:たしかに、そうですね。内閣府の資料(※1)にもあるとおり、不登校の子どもたちは約30万人に達しており(令和4年度)、前年度から約22%も増加しています。小学校35人学級で考えてみると、不登校・不登校傾向の子は4.5人、約12%を占めることになります(※2)。特別支援教育が必要な子どもたちよりも数としては多いのですが、これまでは可視化されてきませんでした。

はやとかげ:大人は、子どもが「学校に行きたくない」と言いはじめたら、理由を探したくなりますが、本人も理由が言語化できていない場合も多々あります。

「社会に出たら、嫌なことはいっぱいある。頑張って学校に行きなさい」などと励ますお父さんもお見受けしますが、いまの時代、(地元の)学校に通うことだけが学びの選択肢ではないということは知っておいて欲しいと思います。

■国が認めてる「学校以外」の選択肢

楢戸:国の方向性を知っておくことも大切ですね。少し難しい話となりますが、大切な部分なのでご紹介すると、2017年に施行された通称「教育機会確保法」(※3)では、国や自治体に下記の措置を求めています。

●学校以外の場における不登校児童生徒の学習活動、その心身の状況等の継続的な把握に必要な措置

●学校以外の場での多様で適切な学習活動の重要性に鑑み、個々の休養の必要性を踏まえ、不登校児童生徒等に対する情報の提供等の支援に必要な措置

要は、教育機会確保法成立以後は、国の登校支援の考え方が「学校復帰が前提」から、「学校に行けない子どもに休養を与え、学校以外の場での学びの重要性を認識していく」という方向に変化しているんです。

【POINT】

(地元の)「学校に行く」一択ではなく、「いろんな場での学び方を試してみる」という選択肢を国が認めていることを知っておく。

■学校を休ませたら癖にならない?

楢戸:国の方向性を理解した上で、具体的なケースで考えてみます。「おなかが痛くて学校を休みたい」と本人が言っていても、親なら明らかに仮病だと気づく場合もあります。そんなとき、「1回休ませたら、それが連続するんじゃないか」という不安はあると思います。

はやとかげ:ひとつ言えるのは、「おなかが痛いから休みたい」と言っているときは、子どもにとってはすでに結構ギリギリのSOSだということです。

「仮病でしょう」などと言って本人の気持ちを真っ向から否定するのではなく、まずは「どうしたの? 何があったの?」と聞いてみて欲しいと願います。

■不登校の理由を一番知られたくないのは?

はやとかげ:たくさんの不登校だった子どもと出会ってきた肌感覚から話をさせてもらいます。最初の面談で、「どうして学校に行きたくないの?」と聞いたときと、子どもが元気になってから本音を聞けたときとでは、学校に行きたくない理由が違うんです。

本音を聞いている僕らからすると、学校に行きたくない理由の根底には、人間関係の問題があります。でも、子どもの立場からすると、人間関係で苦しんでいることを一番知られたくないのが、お母さんなんです。自分がいじめられている、仲間外れにされているということを、子どもは隠します。

楢戸:本当の理由を言ってくれない場合もあるのですね。

はやとかげ:当初は、言ってくれない場合の方が多いかもしれませんね。だからこそ、子どもに「学校に行きたくない」と言われたら、ひととおり理由を聞いたあと、いい意味で深追いはせず「うん、じゃあ、今日は休もうか」。最初のひと言は、これがいいと思います。

【POINT】

子どもが「学校に行きたくない!」と言ったら、「どうしたの?」と理由をひと通り聞いたあと深追いはせず、「今日は休もうか」と第一声は子どもの気持ちを受け止める。

今回は、国の登校支援の方向性を理解した上で、初動について伺いました。次回は、百戦練磨のはやとかげ校長に、子どもの心の内を伺います。

※1:出典 文部科学省「令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」

※2:出典 内閣府「総合科学技術・イノベーション会議 資料」

※3:出典 文部科学省「教育機会確保法」

(楢戸ひかる)

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