「斬新！」「もう全然違う話」主人公交代制の作品で“異例”の主人公登場！？その理由とは…？

魚豊による漫画を原作とした現在放送中のTVアニメ『チ。 ―地球の運動について―』。第17話では、異彩を放つ新たな主人公・ドゥラカが登場した。彼女は大量に積まれた硬貨を前に「足りない。こんな程度じゃ死ぬ不安は拭えない」と焦りを見せる。その姿は、私たち現代人にも身に覚えのある不安と重なった。

「お金がなきゃひ弱」お金に対するドゥラカの“信念”

移動民族の娘であるドゥラカは、安心のためにより多くのお金を稼ぐことを目的としていた。その熱意は高く、自ら村長に対してより要領よく稼ぐ方法を提案するほど。

ドゥラカの父親は、略奪に行って亡くなっていた。父親から遺された硬貨を握りしめながら、彼女は「もっとお金があればお父さんは生きていたんだ」「お金がなきゃひ弱だ」と考える。父親の死がきっかけで、ドゥラカは幸せになるためにお金を稼ぐことを己の信念とした。

ドゥラカと同じように「お金がないと不幸せだ」と考える人は少なくないのではないだろうか。満たされているようで満たされていない現代人こそ、この渇望は強いかもしれない。お金の不安は時代を超えて共通するもの。ドゥラカは移動民族のうえにまだ少女だが、彼女の不安はどこか私たちと重なるのだ

そして、ドゥラカは第1章の主人公・ラファウや第2章の主人公・オクジーとは異質だ。天文が好きなラファウと、空を見ると目玉に見えるというトラウマを抱えていたオクジー。これまでの主人公は、なにかしら星との接点があるキャラクターだった。

しかし、ドゥラカには星に興味のある描写はない。ラファウたちと共通するのは“強い信念”を持っているという点。第17話の後半では、シュミットたちが隠した本を偶然見つけ、それを利用してお金儲けしようと計画している。

ドゥラカに対してSNSでは「3章スタート、地動説研究ロマン関係なくお金になる！から行くの斬新！」「もう全然違う話じゃん。星すら興味ない子じゃん」「自分で考える事を辞め、怠惰に生きてお金に支配されてる私や現代人へのメッセージみたい」「ドゥラカのお金の不安は現代でも同じですね」との声が。本作において、星よりお金に興味があるドゥラカは変化球のような存在になっているようだ。

いい叔父のようで……？裏切りのドゥルーヴ

ドゥラカを導いているのが、彼女の叔父・ドゥルーヴだ。昔、彼は父親を亡くしたドゥラカに「3つの魔法を授けよう」「神様は存在しない」と言い放った。神の教えに反するこの言葉は、多くの人が神を信仰しているこの世においてとんでもない発言だ。

続けて、考えることと信念について語るドゥルーヴ。彼の言葉がきっかけで、ドゥラカは“お金を稼ぐ”という信念を持った。現在、村長にお金を稼ぐための仕組みを提案している賢いドゥラカを見るに、彼女はドゥルーヴの教えを信じ、文字を学びたくさん本を読んだのだろう。

ドゥラカに3つの魔法を授けたドゥルーヴは、聡明でいい叔父に見える。だが、司教・アントニに見つかったとき、ドゥルーヴはドゥラカを差し出す代わりに見逃してほしいと言った。ドゥルーヴの信念は“信念を捨ててでも生き残る”。いい叔父に見えたドゥルーヴだが、本当は薄情な人間なのかもしれない。

ドゥルーヴの裏切りに対してSNSでは「おじさん最高にいい事言ってたけど最低やった」「この物語には、最低な人間が何人も登場するが……一番最低」「これも生きる術か」「いや最初に生きるために信念を捨てるとか言ってたけどこれは流石にさぁ……」「こんちくしょうだけど、ドゥラカがそれで本見つけて運命を変えたのはグッジョブ」との声があがった。

本を見つけお金儲けのチャンスをつかんだドゥラカだが、ラストでアントニに見つかりピンチに陥る。第17話に対してSNSでは「久しぶりにゾクッ」「タイトル表示しびれる！」「新章もゲスいハナシでした」との声が。ドゥラカはアントニたちから逃れられるのだろうか。そして、地動説の行方はいかに。

チ。 ―地球の運動について―
ABEMAでは『チ。 ―地球の運動について―』毎週土曜日夜24時10分より無料独占・見放題最速配信
放送後1週間、最新話を無料で視聴できる。
［番組URL］https://abema.tv/video/title/568-32
【(C)魚豊／小学館／チ。 －地球の運動について－製作委員会】

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ライター：まわる まがり
主にアニメについての記事を書くライター。コラムやレビュー、映画の作品評を手がける。X（旧Twitter）：@kaku_magari