「ぜったいに刺さると思う」「良質なミステリー小説」知れば知るほど魅力が深まっていく大人気アニメ　『チ。』8話

魚豊による漫画を原作とした現在放送中のTVアニメ『チ。 ―地球の運動について―』。第8話では、勇気を振り絞ってある決断をする天文研究助手・ヨレンタと、地動説を証明しようとする彼女らと対立関係にあたる天文研究所の所長・ピャスト伯の知られざる過去が描かれた。

異端者の仲間になるヨレンタ

掲示板の問題を解いたヨレンタに、オクジーとバデーニが接触する。問題を解答したのは職場の主人だとヨレンタはごまかすが、バデーニは彼女が解答者であると見抜いていた。

バデーニはヨレンタの才能を認めつつも、「女性だから」と地動説の研究について話しやすい人物だと考える。もしヨレンタが密告しても、彼女が魔女扱いされてしまう可能性が高いからだ。

ヨレンタに地動説の仮説について話すバデーニ。地球が動いているとしたら？とヨレンタに投げかけると、彼女は激しく動揺する。そして、もう聞きたくないと言わんばかりにバデーニたちを帰らせた。

不安がるオクジーに反して、バデーニは大丈夫だと確信。「あの顔を見ればわかる」「女性だから？」「いや、研究者だからだ」ヨレンタと話す前は女性であることを好都合だと考えていたバデーニ。しかし、バデーニたちが真理を目指していると語った瞬間、ヨレンタはハッとした表情を浮かべていた。

ヨレンタの中にある知的好奇心をバデーニは見抜いていたのだろう。だからこそ、ヨレンタは研究に加わると彼は確信した。その後、バデーニの予想通りヨレンタは再び掲示板の前に現れ、研究に協力すると宣言する。

バデーニがヨレンタと話すことで彼女の研究者としての本質に気づき、セリフに変化が起きるのが面白い。バデーニが人間や物事の真理を見抜く目を持っている証拠だともいえる。そして、私たちはヨレンタが研究所で差別されている姿を見ているからこそ、異端者になる危険な選択ながらも変わるために踏み出した一歩を応援したくなるのだ。

第8話のヨレンタに対してSNSでは「はぁぁ、ヨレンタさんが仲間になるの胸熱！！」「ヨレンタさんも異端者の仲間入りか～」「人間の知的好奇心の力ってスゲェな」「ヒヤヒヤ感とワクワク感、どっちも見せてくれるのがこの子の魅力だね」との声があがった。

明らかになるピャスト伯の“過去”

ヨレンタがバデーニたちの仲間になった後、彼女が紹介したのがピャスト伯だった。ピャスト伯は、今の天動説を超える完璧な天動説の証明に人生を懸けている人物。しかし、案の定ピャスト伯はバデーニたちの話を受け入れてくれなかった。その後、ピャスト伯の回想が始まる。

天文を研究するピャスト伯は、父親に一族の恥だと言われていた。そんななか、宇宙の完成を目指すいとこ違いの教授に会いに行くピャスト伯。彼は学術の発展には無謀さが必要であり、自らの遠目が利く能力を主張する。

すると、「君を否定した節穴どもに分からせてやれ」「君が夜空を眺めれば歴史が変わると。君こそが一族の誇りであると」と教授は彼に力強い言葉を投げかけた。

ピャスト伯が天動説を超える天動説を証明しようとする理由に、自分を見下した父を見返したいという気持ちが大きくあるのだろう。バデーニたちと敵対する立ち位置のピャスト伯だが、彼にも感情移入できる過去があった。バデーニたちとピャスト伯の構図は、まさに己の信念のぶつかり合いだ。

第8話に対してSNSでは「仕事でやる気無くしてる人とかぜったいに刺さると思う」「アニメでまずは楽しもうと思ったけどダメ……もう原作が読みたくて仕方ない……」「真理のためとはいえ自分が50年信じたものに反する事ができるのか……」「2人の人間性描写を基本にして、さながら良質なミステリー小説を読んでいる感じ」「バトルも恋愛も悲劇も使わず、10分程度でしっかり共感を作りあげるのかっこよすぎ」と反響を呼んだ。

地動説と天動説。信じるものは違えど、バデーニたちもピャスト伯も“真理”を追い求めているという点で同じだ。だからこそ、彼らから情熱を感じ、この物語の行く末を見届けたくなる。会話劇が続く第8話だが、やはりそこには静かな“熱”が潜んでいるのだ。

チ。 ―地球の運動について―
ABEMAでは『チ。 ―地球の運動について―』毎週土曜日夜24時10分より無料独占・見放題最速配信
放送後1週間、最新話を無料で視聴できる。
［番組URL］https://abema.tv/video/title/568-32
【(C)魚豊／小学館／チ。 －地球の運動について－製作委員会】

ライター：まわる まがり
主にアニメについての記事を書くライター。コラムやレビュー、映画の作品評を手がける。X（旧Twitter）：@kaku_magari

価格バグってない？Amazon「ブラックフライデー」お得すぎ！注目商品総まくり

価格バグってない？Amazon「ブラックフライデー」お得すぎ！注目商品総まくり