1. トップ
  2. 台風時の『エアコン』は使用NG? 三菱電機が教える“防災対策”に目からウロコ

台風時の『エアコン』は使用NG? 三菱電機が教える“防災対策”に目からウロコ

  • 2024.9.1
undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

2024年の8月は、全国各地を連日のようにゲリラ豪雨が襲っていましたね。その影響は想像をはるかに超えるほど大きく、21日にはなんと20年ぶりに、東京都内の地下鉄駅構内が浸水してしまうという事態になりました。

また、先日台風10号が話題を集めていましたが、9月は日本において台風の上陸数が増える傾向にあるのだそう。そのため、普段から災害に対する備えをしておくことがとても重要です。

そこで今回は、残暑が厳しいこの時期、まだまだ使用する頻度の高いエアコンに注目!エアコンのプロである三菱電機株式会社空調冷熱システム事業部の久田 優美(ひさだ ゆみ)さんに、防災対策・災害時の“エアコンの正しい扱い方”を教えていただきました。

なんと56.8%!忘れがちなエアコンの防災対策

ゲリラ豪雨や台風、南海トラフ地震など、今年の8月は防災について考えさせれられる機会が多かった気がします。しかし…みなさんは、“エアコンの防災対策”について考えたことはあるでしょうか?

undefined

おそらく、「言われてみると、気にしたこともなかった…」という方も少なくないはず。三菱電機 霧ヶ峰PR事務局が実施した調査によると、「エアコンの防災対策として何らかの工夫をしていますか。(いくつでも)」という質問に対し、「していない/エアコンの防災対策について考えたことがない」と回答した人は、なんと56.8%という数値を記録したのだとか。

undefined

また、その理由として66.9%の人が「どんな対策をすればよいのかわからないから」と答えたそうです。

5人に1人以上が被害に!?

災害によりエアコンのトラブルが生じる可能性が低いのなら、そこまで防災対策を意識しなくてもよいかもしれません。

undefined

しかし、三菱電機 霧ヶ峰PR事務局が調査した結果、「地震や台風などで、ご自身もしくは身内や友人がエアコンのトラブルに見舞われたことがある」と回答した方は21.3%にのぼったそう。実に5人に1人が、災害によるエアコンの被害を経験していることになります。

この結果を踏まえると、「エアコンの防災対策は不要」と片付けるわけにはいきませんよね…。

1.災害時の備え編

undefined

まずはじめに、久田さんによると「一般的に各エアコンメーカーは様々な耐久試験を実施しているため、正しく据付施工されていれば、地震により室内機が落ちてきたり、よくある風雨ですぐに室外機が壊れたりすることはありません」とのこと。

そのため、「エアコンを新しく設置する際や移設を行う際は、必ず専門業者に依頼しましょう」と語る久田さん。素人が据付工事をした際に不備があると、水漏れ・感電・火災・室内機の落下によるケガの原因になってしまうそうです。

また、久田さんは「災害によってトラブルが発生する可能性はゼロと言い切れません」と注意を促します。そのため、常日頃から「エアコンに関する『災害前の備え』の実施や『災害時の適切な対処方法』の理解を深めておくことが重要」 なのだとか。

下記に、久田さんが紹介している、「エアコン設置を依頼する際、防災の観点から専門業者に相談できるポイント」をまとめてみました。

エアコン設置時 ~これから新しくエアコンを設置する人向け~

undefined
「室外機」
①室外機の置台には、丈夫で耐荷重性に優れたものを使用する
特に、強風が吹く場所に室外機を設置する際は、丈夫で、耐荷重性に優れたコンクリート製の重い置台を使うことをおすすめします。また、地震による転倒を避けるため、コンクリートの基礎に室外機をアンカー固定する方法もおすすめです。
②設置場所に応じて適切な「室外機用架台」を使用する
浸水の懸念がある場所(水がたまりやすい場所)に設置せざるを得ない場合や壁面、屋根に設置する場合は、専用の架台を使用しましょう。
③万が一室外機が倒れた場合に、避難の妨げになるような場所への設置は避ける
被災時、室外機が邪魔となり避難の妨げとなってしまうのを回避するために、避難経路となる可能性のある通路(特に狭い通路)に設置することは避けましょう。

エアコン設置後 ~既に設置済みのエアコンがある人向け~

「室内機」
①室内機の下には水に濡れたら困る物は置かないようにする
室内機は据付板を通じて壁と固定されるように設置されているため、基本的に室内機の落下を心配する必要はありません。しかし、大きな地震の場合、室内機の傾きや振動で、通常はドレンホース*を通じて室外に排出されるはずのドレン水*が落ちてくる可能性があります。そのため、室内機の下に、水に濡れたら困るものは置かないことをおすすめします。
*ドレンホース:室内機の内部に発生した結露を取り除くため、室内機から屋外の室外機に通じている細いホースのこと。
*ドレン水:室内機で空気を冷やす際に出た排水のことで、ドレンホースで外へ排出する必要がある水のこと。
undefined
「室外機」
転倒防止金具の使用
室外機を置台に固定する方法や、家の壁面と室外機を固定する方法などがあり、専門業者に依頼すれば、状況や要望に応じて施工してくれます。
②悪天候時、一時的に室外機カバーを使用する際はしっかり固定する
悪天候時に室外機内部へのゴミや雨水等の侵入対策として、ホームセンターなどで販売されている室外機カバーを、一時的につける際はしっかりと固定し、カバー自体が飛ばされたりしないよう十分注意しましょう。

2.災害発生時の対処方法編

undefined

普段から災害時に備えておくことはもちろん重要。それに加えて、災害発生時にどのように対処するべきか、理解を深めておくのも大切です。

大前提として、「災害発生時は、身の安全を最優先し、室外機が倒れるなどのトラブルが発生しても外に見に行ったり、起こしに行ったりしないようにしましょう」と久田さんは指摘します。その上で、以下のポイントを覚えておくとよいそうです。

・強風や大雨の時にエアコンはいつも通り使ってOK?
エアコンの室外機は、過酷な環境でも常に安定した能力を発揮できるかどうかを確かめる試験をクリアしているため、基本的にはいつも通り使用しても問題はありません
・エアコンを利用している最中に停電した場合の正しい対処方法は?
エアコンを利用している最中に停電した場合、特に何もせずそのままにして復旧を待ちましょう。停電復旧後は、エアコンと周囲の安全を確認した後、リモコンで運転操作をしてください。また普段から、各タイマー(入タイマー・切タイマー)を利用している場合は、停電で一旦タイマー設定がリセットされてしまうため、再度設定をし直しましょう。
※エラーを知らせるランプが止まらない場合は、業者に相談しましょう。
※万が一、自然災害によって自宅から避難する場合は電気火災を避けるため、ブレーカーを落としましょう

3.災害後の対処方法編

最後に、「災害後の対処方法」を教えていただきました。

・台風後、室外機の周辺やファンカバー、フィン*にゴミなどが付着している場合は?

undefined

室外機の周辺にゴミや葉っぱなどが散乱している場合は、排熱の妨げとなるためきれいに掃除しましょう。ファンカバーやフィン*にゴミが付着した場合は、フィンによるケガやフィンを変形させないように気を付けて、やさしく取り除いてください。また、室外機内部にゴミが溜まってしまっている場合や少しでも対処方法に悩んだ場合はご自身で対処せず、業者に依頼しましょう。

*フィン:室外機の裏側についている薄い金属板

・大雨により、室外機が浸水していた場合の正しい対処方法は?

undefined

エアコンの使用をやめ、室内機のコンセントを抜くか、ブレーカーを落として業者に相談しましょう。室外機が浸水した場合、漏電や火災につながる可能性があります。また、泥やゴミなどにより不具合が発生する可能性もあるため、ご自身で何とかしようとせずに業者に相談しましょう。

・暴風や地震により、室外機が倒れた場合の対処方法は?

undefined

絶対に自分で起こさず、お使いのエアコンの販売店へ連絡・相談しましょう。室外機が倒れている状態でのエアコンの使用はやめましょう。一見、正常に運転しているように見えても異常が発生している場合があります。また、倒れたまま使用すると、それが新たな故障の原因になる可能性もあります。

災害に備えて理解を深めよう!

今回は、三菱電機株式会社空調冷熱システム事業部の久田 優美(ひさだ ゆみ)さんに、防災対策・災害時の“エアコンの正しい扱い方”について教えていただきました。私たちにとって特に身近な家電製品であるからこそ、今のうちから理解を深めておくことがとても重要です。この機会に、ぜひ覚えて行ってくださいね。

今回お話を伺ったのは…

undefined