√(ルート)付きの数を整数で表現する方法を覚えていますか?
小さい数ならすぐに整数化しやすいですが、数が大きいとどこから手を付けてよいのか途方に暮れてしまうかもしれませんね。
今回はどうやって大きな数の√を外していくのか、その戦略をご紹介します。
問題
√129600を整数で表してください。
解答
正解は、360です。
どのような計算をすれば√を外して整数表現できるのか、分かりましたか?
次の「ポイント」で√を整数で表す効率的な方法をご紹介します。
ポイント
この問題のポイントは、倍数の特徴を使うことです。
まず、√付きの数を整数で表すには、どんな手順が必要かを復習しておきましょう。
「√a」とは、「二乗したらaになる正の数」です(※a=0の場合を除く √0=0)。
例えば、√4は2のことです。なぜなら、2は二乗(2×2)したら4になる正の数だからです。
つまり、√129600を整数として表現するには、x^2=129600となるようなx(正の数)を見つければよいのです。
ただし、あてずっぽうにxに数を入れて二乗し、129600になるかどうか試していくのは非効率的です。
一般的には素因数分解という方法を使って√を整数にしていくのですが、素数の定義があいまいだと使いづらいです。
そこで今回は素数にこだわらず、129600を掛け算の形に分解していく方法を使います。
このとき重宝するのが、以下のような倍数の特徴です。
- 2の倍数 → 一の位が2で割れる(一の位が偶数)
- 3の倍数 → 全桁の数字の合計が3で割れる
- 4の倍数 → 下二桁が4で割れる
- 5の倍数 → 一の位が0もしくは5
- 9の倍数 → 全桁の数字の合計が9で割れる
- 10の倍数 → 一の位が0
では、この特徴を活かしながら129600を掛け算で表していきましょう。なるべく大きい数の倍数から見つけていくのがコツです。
まず、一の位に0が現れている129600は10の倍数ですから、次のように表現できます。
129600=12960×10
12960も一の位に0が現れているので10の倍数です。
129600=1296×10×10
次に1296の各桁の数を足してみましょう。1+2+9+6なので18、9で割れますね。よって1296は9の倍数です。1296÷9=144なので、次のように表せます。
129600=144×9×10×10
144は下二桁が4で割れるので、4の倍数になります。144÷4=36なので、次のように表せます。
129600=36×4×9×10×10
また、36は6×6ですので式を次のように変形できます。
129600=6×6×4×9×10×10
これでだいぶ式が分解できました。
あとは、右側に同じ数のペアができるように掛け算の順番を変えたり、掛ける数をもう少し分解したりして式を調整します。
129600
=6×6×4×9×10×10
=6×6×2×2×3×3×10×10 ←4と9を分解
=(6×2×3×10)×(6×2×3×10)←同じ数のペアができる
=360×360
129600は360の二乗なので、√129600は360という正の数で表せます。
ちなみに-360も二乗すれば129600になる整数ですが、負の数であるため√129600ではありません。
つまり、以下のようになります。
√129600=360
√129600≠-360
まとめ
今回の問題では、√を整数で表す問題に挑戦しました。
数が大きいと、一発で√を整数化するのは難しいです。掛け算の形に少しずつ分解していきましょう。
分解の際に役立つ各数の倍数の特徴は、ぜひ覚えてください。
√の扱いに自信が持てたら、他の問題にも挑戦してみましょう。
文(編集):VY
数学とIT技術学習が趣味のWebライター。実用数学技能検定2級と数学教員免許を取得後、家庭教師や学習支援スタッフとして数学指導を行ってきた。文系と理系の別、年齢にとらわれない、誰でも楽しめる数学解説作成を目指している。
監修:堀口智之(ほりぐち ともゆき)
和から株式会社代表取締役
大人のための数学教室「和」(なごみ) 創業者
大人の数トレ教室 代表
一般社団法人ビジネス数学協会 理事
2010年に、日本で初めて「社会人専門の数学教室」を創業。講師40名、累計受講者20,000人を超えるほどに成長。日本最大級数学イベント「ロマンティック数学ナイト」の企画・創設。延べ10万人以上が参加。2022年に、youtube「大人の数トレチャンネル」を本格稼働を開始。約1年でチャンネル登録者数4万人を超えるまで成長。
ルートの問題にもう一問挑戦!