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『定額減税』4万円のはずが3千円だけ!?お金のプロが語る"思わぬカン違い"

  • 2024.6.14

 

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

2024年6月から定額減税がスタートしました。会社員の場合、6月のボーナスか給料で定額減税がされます。もう受け取ったという読者もいらっしゃるでしょう。

しかし、受け取った読者の中には給与明細を見て、あれっ?と思った方も多いのではないでしょうか?

「給付金がドカンと入っていると思った」「一気に4万円もらえるのではないのか!」「毎月4万円もらえると思ってた!」と驚いた人もいるのではないでしょうか。そんな疑問が意外と多い定額減税の仕組みについて解説していきます。

1. そもそも定額減税とはどんな制度なのか?

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

定額減税は、物価高などによる家計負担への対応策として2024年6月から政府の肝いりで実施される制度です。

一人あたり、所得税3万円、住民税1万円の計4万円が減税になります。一人あたりというのは、扶養家族がいる場合、その人の分も4万円が減税されるためです。つまり、扶養家族が3人いる人の場合、自分とあわせて16万円が自分の給料から減税されるというわけです。ちなみに毎年実施される予定はなく、今のところ2024年、今年1年だけの制度となっています。

2.どのように減税されるのか?思わぬ“カン違い”も

定額減税とは「減税」という名の通り、払うべき税金が減る施策です。

会社員の場合、毎月の給料から所得税と住民税が引かれていますよね。そこで引かれている分が減るので、その分の手取りが増えることになります。6月に給付金のような形で4万円がもらえるわけではないことと、月給の手取りが一気に4万円あがるわけではないということに注意が必要です。

所得税は6月の給与、または賞与から減税されます。所得税が3万円に届かず、引ききれなかった分は翌月以降に繰り越して減税されます。例えば、独身で扶養家族のいない人が月給から毎月所得税を6000円払っていた場合、6月から10月の5カ月は所得税が徴収されず、11月以降はまた以前と同じ所得税を払うようになるというイメージを持っているといいでしょう。

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扶養家族がいる場合、引かれる所得税が定額減税の満額までいかない可能性もあります。扶養家族がいる人には扶養控除があるので、そもそもの税金額が少ないためです。その場合は年末調整の際に差額分が切り上げ給付される予定です。

例えば、扶養家族が3人で月給から毎月所得税を3000円払っている人の場合、所得税は計12万円が減税されます。そのうち、6月から12月までの7カ月は計2万1000円が減税されますが、残り9万9000円については切り上げ給付対象となるのです。切り上げ給付は1万円単位に切り上げて算定されるため、計10万円が給付金として支給されます。

住民税はまず、6月の住民税が徴収なしになります。その代わりに、住民税の年間合計額から1万円引いた額を11で割った額が7月以降の11カ月間で徴収されます。

以下の図は定額減税によって手取りがどのくらい上がるかのシミュレーションです。

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3.ボーナス(賞与)が出た場合はどうなる?

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出典元:PIXTA(※画像はイメージです)

6月以降のボーナスも定額減税の対象です。ボーナスからは、住民税は徴収されていませんが所得税は徴収されています。ボーナスを多くもらった場合、所得税が3万円以上になるということも考えられます。その場合はそこで3万円分の減税を満額受けることになるので、それ以降の手取りに影響はありません。

つまり、ある人は12月まで定額減税を受けているのに対し、ある人は6月で定額減税が終わるということもあります。定額減税は額が基準なので全員が一定期間減税されるという仕組みではないということです。

4.定額減税の注意点

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

定額減税は全員が対象となっているわけではありません。まず、年収2000万円以上の人は対象外です。また、住民税非課税世帯と住民税均等割のみ課税世帯は、定額減税の対象外となり、代わりに1世帯あたり10万円が給付されます。今回の施策は物価高による家計圧迫の対応策であるため、収入が高い世帯には行われず、収入が低い世帯には定額減税よりも手厚い対応が用意されています。

定額減税には、事前の申請や手続きは必要ありませんが、実は対象外だったなんてこともあり得るので注意しましょう。また、定額減税は期間限定の対応策です。今年限りの制度だということも注意が必要です。 

5. まとめ

減税されるのは嬉しいものの、一気に4万円もらえないので少しがっかりの定額減税。ちょっとずつしか戻らないので、気が付いたら使ってしまうかも。給料明細をしっかり見ていない人の中には、手取りが増えていることにすら気付かずに定額減税が終わっているなんてこともあるかもしれません。

夏の旅行の足しにするとか、欲しかった洋服に奮発するとか使い道をしっかり決めておくといいかもしれませんね。

 


執筆:萩原亜蘭/株式会社回遊舎

監修:酒井富士子

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経済ジャーナリスト/金融メディア専門の編集プロダクション・株式会社回遊舎 代表取締役。ファイナンシャル・プランナー 上智大学卒業。日経ホーム出版社(現日経BP社)にて「日経ウーマン」「日経マネー」副編集長を歴任。リクルートの「赤すぐ」副編集長を経て、2003年から現職。「お金のことを誰よりもわかりやすく発信」をモットーに、暮らしに役立つ最新情報を解説する。近著に『おひとりさまの終活準備BOOK』(三笠書房)、『「お金の増やし方ぜんぶわかる!新NISA超活用術』(Gakken)など多数