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隣人が育てる木の枝が…自宅まで伸びていたので注意したら激怒された?!→どうしたらいいか弁護士に聞いてみた

  • 2024.8.8
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

庭のある一軒家の場合、樹木や竹などを植えているという家も多いでしょう。ですが、気づかずにその枝の一部が隣の家に侵入してしまうということもよくあるようです。

隣人から指摘されたらすぐに対応をすべきですが、中にはそれを拒否する人もいるようです。今回は、「我が家に侵入する隣家の木の枝トラブル」について弁護士さんにお話を伺いました。

木の枝が我が家に侵入してきてひどいことに…

5年前に土地を購入しマイホームを建てたのですが、隣人が少し変わった人で困っています。
かなり多くの種類の樹木や苗木を植えて育てていて、木の枝が我が家の敷地内まで入ってきていたり、柑橘系の食べ物が落ちてカラスなどの鳥が食い散らかして自分の敷地内や家の前にあったりします。

1度隣人に「木の枝が敷地内に入ってきているから切ってほしい」ということをやんわりと伝えたら
「なんで切らなアカンねん。知るか!」と激怒され、扉を閉められました。
梅雨時期になるとナメクジなども多く、敷地内に入ってくるのも嫌です。これって弁護士に相談するべきか現在も悩んでいます。
(40代男性/会社員)

こちらのケースについて、一歩法律事務所の南陽輔弁護士にお話をお伺いしました。

---木の枝が隣家まで侵入している・成果物を落としている・木のせいでナメクジが侵入してくる、という事実があるのに枝を切らないということは、それぞれ法律違反ではないのでしょうか?

「土地の所有権の効力は、その土地の上の空間にも及んでいます。そのため、隣家の木の枝が所有土地上にまで侵入してきていることは、土地の越境であり、土地所有者の所有権を侵害していることになります。

民法233条では、土地所有権の効力として『隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる』と定められています」

---このケースは違法なのですね。隣人がこのようにまったく聞く耳を持ってくれない場合、投稿者さんはどのような手段に出たら良いでしょうか?

「上記の通りに、まずは越境している枝(竹木)の所有者に対して、切除を求めることができます(民法233条1項)。さらに、竹木の所有者に切除を催告したにもかかわらず、相当な期間内に切除しないときには、自ら枝を切り取ることができます(同条3項)」

法律では、本来は自力救済(自分で権利内容を実現すること)は許されず、枝の越境についても自ら切除するためには裁判を起こして判決を得て強制執行として行わなければらないのが原則でした。ただ、2021年の民法改正により、相当期間内に枝の所有者が対応しない場合には自ら切除しても構わないという規定が創設されました」

---「切ってほしい」と伝えてからどのくらいの期間経ったら切除して良いのでしょうか?

「『相当な期間』がどれくらいかについては明確な決まりはありませんが、一般的には2~4週間程度とされています。枝の所有者に切除を求めても2~4週間経っても対応しない場合には、自ら切除することが可能です」

---それはよかったです。ちなみに、このような場合において、投稿者さんの家に侵入している枝の侵入している箇所に実った果実をもいだり、その箇所の枝を勝手に切ったりしたら、投稿者さんが罪になるのでしょうか?

木の枝についている果実は、枝の一部ですので、枝(竹木)の所有者に所有権があります。そのため、侵入した枝に実った果実をもぐことは基本的には竹木所有者への所有権侵害になりかねませんので、止めておいたほうが良いでしょう。

また、枝を勝手に切ることについても、原則としては竹木所有者への所有者侵害になりますので、止めておいたほうが良いです。

ただし、枝の侵入がそもそも土地所有者への侵害行為ですので、果実を取るなどの行為を行ったとしても、実際に窃盗罪や器物損壊罪などの罪に問われるおそれは低いといえるでしょう。

また、先の回答で挙げましたように、竹木所有者に切除を求めても竹木所有者が対応しない場合には相当期間経過後に自ら切除できます。切除した枝については切除した土地所有者のものになると解釈されていますので、枝についていた果実を取得しても問題ないものと考えられます」

---勝手に切ることはできないが、切ってほしいと伝えたのに相当期間放置している場合、投稿者さんが自分の家の敷地内に侵入してきている部分は切り取ることができるということですね。ありがとうございます!

隣家への竹木の侵入にはご注意を

木の枝が侵入してきているだけでも迷惑ですが、さらに果実が落ちたり虫が入ってきたりとなると、放ってはおけません。

このトラブルについてはきちんと法律で定められているので、自分の敷地内に竹木を植えている方は、隣家にはみ出していないかを定期的に確認し、もし隣人から「侵入しているので切ってほしい」という要望があれば、すぐに対応をするべきでしょう。



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※本記事は媒体独自に募集したアンケートを元に構成しています
・募集方法:インターネットサービスによる任意回答(記述式)
・募集対象:全国の18歳以上
・募集期間:2024/7/17〜7/22