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なぜ『西園寺さんは家事をしない』が視聴者の心を掴むのか...出演者だけではない作品のヒミツ

  • 2024.8.20

家事をしないと決めている西園寺さん(松本若菜)はマイホームと家事ゼロ生活を手に入れたばかり。しかし、訳ありシングルファーザー・楠見(松村北斗)と“偽家族”として同居生活をおくることになりーー? 本記事では、注目を集めるこの作品の魅力にせまりたい。

西園寺さんも西園寺さんの暮らしも魅力的すぎる!

なんといっても、西園寺さんがすごく素敵! “家事は絶対しない主義”を掲げており、実際に家事ゼロ生活を実現。やりたくないことがあっても、それを口にしてはいけない気がしている人も多いであろう中、堂々と宣言する西園寺さんの姿に勇気をもらえる。大好きな仕事には全力投球で、明るく楽しい彼女は、周りからの信頼も厚い。

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火曜ドラマ『西園寺さんは家事をしない』第2話より (C)TBS

自分の“好き”をとことん楽しんでいるところもいい。西園寺さんの家にはひと部屋丸ごとシルバニアファミリーという部屋がある。シルバニアで遊んだことがある人や好きな人にとっては夢の空間だ。なんと自身のアクスタを作成し、大好きなシルバニアたちと並べられるという通な楽しみ方も考案済み。悩み事があると箱庭のようにシルバニアたちを並べて状況を整理し、ときには楠見の娘・ルカちゃん(倉田瑛茉)に話しかけるのにも使う。

そして飼い犬のリキがすごくかわいい。ソファの背の部分からジャンプして飛び乗るなど、元気いっぱいで表情も豊かだ。“好き”に囲まれた西園寺さんの暮らしは、本当に最高! 西園寺さんも西園寺さんの生活も、ある意味現代女性の理想像ではないだろうか。

松本若菜さんをドラマ『やんごとなき一族』で認識した方も多いのではないかと思うが、夫役だった尾上松也さんが5話にゲスト出演している。偽家族を続けるために彼氏を作ろうとした西園寺さんのマッチングアプリの相手役だ。

西園寺さんと楠見、ある意味似たもの同士のやり取りが愛おしい

西園寺さんと同居することになる楠見もまた、魅力的だ。仕事とプライベートはきっちり分けるドライな人物かと思えば、時折西園寺さんの立場に立って考え直して謝ることも。妻を亡くし、1人で娘を育てていかなければと頑張って限界が見えたところに、西園寺さんが手を差し伸べる。

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火曜ドラマ『西園寺さんは家事をしない』第6話より (C)TBS

西園寺さんも楠見も、自分の主義がはっきりしている一方で、考え方がすごく柔軟。楠見と知り合って彼の状況を知った西園寺さんは、自分の家事ゼロ生活や知り合いには部屋を貸さないという主義をおびやかすとわかりつつ、楠見親子を助けることを優先。極力他人に迷惑をかけまいとしていた楠見も、西園寺さんと接することで考えを改める。

2人はタイプはまったく違うけれど、ある意味似ている。人のことは思いやれるのに自分に厳しく、1人で抱えて無理して頑張りがち。限界近い相手に気づいて手を差し伸べ合い、相手の説得で「甘える」自分を受け入れる。2人を見ていると、愛おしい気持ちになり応援したくなる。“偽家族”の行末を見守っていきたい。

今までなかったような定義が登場する一方で、多くの人が共感できそうなエピソードも多い。例えば3話では、自分は父親を追い返したのに、楠見が追い返そうとした義母(奥貫薫)を放っておけなかった西園寺さん。楠見の義母を強引に自宅に泊め、翌日はバーベキューを開催して楠見と義母の仲直りをさせようと奔走した。2人のわだかまりが解け、「また来てください」という楠見に「あなたがうちに来なさい、息子なんだから」と義母が伝えたラストではもらい泣きしてしまった。

現代的な要素もありつつ、普遍的なテーマを見せてくれるところもこの作品の人気のひとつだろう。

愛すべきイケオジ・横井さんがたまらない

ここ数話で注目を集めているのが、売れっ子料理YouTuberのカズト横井(津田健次郎)だ。なんと西園寺さんの前の会社の同僚だった彼は、西園寺さんにお弁当を褒められたことが今の活躍に繋がっていると言う。変わらず仕事熱心で楽しい西園寺さんにあらためて惹かれた横井は、食事やデートに誘い、告白。ダンディなのにピュアでまっすぐな横井に、キュンとした方も多いのではないだろうか。ちなみに声優としても活躍する津田さん。イヤホンをつけてドラマを観たら声がダイレクトに聴けて最高だったのでおすすめしたい。

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火曜ドラマ『西園寺さんは家事をしない』第6話より (C)TBS

なんと偽家族の新メンバーとなる横井、多分最終的には振られてしまう予感がする。『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』間宮祥太朗、『ファイトソング』菊池風磨、『Eye Love You』中川大志など、思えばTBS火曜10時枠は、魅力的な”当て馬”を多数輩出している。彼らは、ヒロインと結ばれる相手よりも応援されていたかもしれなほど魅力的な人物だった。

懐かしのエンタメに心をくすぐられる!

さまざまな「懐かしい!」「好きだった!」という要素が出てきくるところも、視聴者の心をグッと掴んでいる。シルバニアはもちろん、若い子たちを盛り上げようと『ミニモニ。ジャンケンぴょん!』を振り付きで踊ったのに彼らはミニモニ。を知らなかったため場が凍りついてしまったエピソード、横井の車で流れ続けるMAXの『TORA TORA TORA』など、絶妙なチョイスがたまらない。次はどんなネタが出てくるのか、密かな楽しみである。

”偽家族”がたどりつく幸せの形を見届けたい

このドラマの主要人物たち、自分の価値観を提示はするけど、誰にも押し付けない。ぶつかることがあれば、お互いの意見をすり合わせてお互いが納得できるところを見つけている。一風変わったテーマであるにも関わらず多くの人に支持されているのは、モヤモヤをせず楽しめる点にもあるのではないだろうか。愛すべき“偽家族”が行きつく、幸せの形を見届けたい。


TBS系 『西園寺さんは家事をしない』 毎週火曜よる10時

ライター:ぐみ
熱量高めなエンタメライター・編集者。
ドラマ・映画・アイドル・アニメなどのコラムやレビュー・インタビューや書籍の執筆・編集も手がける。
コンテンツ編集(人気少女漫画や芸能人の公式コンテンツ制作のほか、広告制作、メディアの編集・立ち上げなど)を経て現在フリー。
音楽とアイドルと物語とかき氷が好き。X(旧Twitter):@gumililium