「すごすぎて怖い…」「演技が素晴らしい」玉山鉄二の役柄がXで話題　ドラマ【笑うマトリョーシカ】

誰が黒幕で誰がいい人かわからない、毎回入れ替わっていく怒涛の展開から目が離せない『笑うマトリョーシカ』。物語を成立させているのは、水川あさみさん・櫻井翔さん・玉山鉄二さんたち俳優陣の素晴らしい演技にあるだろう。

本記事では、本作品の重要人物であり、第1話からこれまで印象が変わり続けている鈴木俊哉の役どころと、彼を演じる玉山鉄二さんの演技について掘り下げたい。

明らかに怪しすぎた序盤の鈴木

第1話の鈴木は、完全にクロに見えた。物語は主人公・道上香苗（水川あさみ）の父・兼髙（渡辺いっけい）が突然の事故で命を落とすところから始まる。とある事件について再調査していた彼は、停車した車から香苗に電話していた最中に、猛スピードで走ってきたトラックに激突されたのだ。兼髙がこの日、亡くなったときにいた待ち合わせ場所で会う約束をしていたのが鈴木だった。ただの事故ではなく裏があるのではと怪しんだ香苗は、一人で調べ始める。

鈴木は43歳の若さで初入閣・厚生労働大臣となった清家一郎（櫻井翔）の政務秘書官。名門高校から東大に現役合格、経産省で働いていた。眉毛が凛々しく、表情の変化があまりなく高圧的な人物。今年はじめに放送された日曜劇場『さよならマエストロ』では、ちょっと冴えないお人好しの市役所職員・古谷を演じて「これが玉鉄なの！？」と視聴者を驚かせた。また180度雰囲気の違う役に脱帽だ。

鈴木は兼髙のことも待ち合わせのことも知らないと答えた。しかし、兼髙の携帯には鈴木の留守電が残っており、どう考えても怪しい。父が亡くなった際、車内にあったPCや鈴木が写った写真は何者かに持ち去られていたが、貸し倉庫に遺された資料があった。そこにはこの事件で逮捕され、保釈中に自殺した宇野耕介という人物が、鈴木の父だと書かれていた。しかしこの資料も、香苗の家に入った空き巣によって持ち去られ、処分されてしまう。

鈴木と清家はもともと高校からの同級生で、目立たなかった清家は、鈴木の指導によって生徒会長まで上り詰めたという。また、清家が学生時代に書いた論文には、ヒトラーや陰でヒトラーを操っていたとされるハヌッセンを肯定していた。香苗は「鈴木は清家を操るハヌッセンなのでは」と考える。実際に、清家が公の場で話す内容や身振り手振りまで、鈴木が指導しているようだ。さまざまなことから鈴木が父を殺したのではと疑う香苗は、清家へのインタビューに乗り込み、鈴木にも赤裸々な質問をぶつけるが煙に巻かれる。

鈴木も狙われる側だった？ 混乱する香苗と視聴者

さらに調べると、清家と鈴木が師事していた同郷出身の政治家・武智が交通事故で急逝していたことがわかる。しかも無職の人間が事故を起こし、示談金の支払いに応じるという状況まで兼髙の事故と酷似。結果的に清家が27歳の若さで政界入りできたことから、香苗はこれも鈴木の仕業ではと疑う。

しかし、なんと全く同じ手口で、鈴木自身が事故に遭う。幸い命は助かったものの重症で入院することになり、香苗と視聴者は「清家のハヌッセンは鈴木ではなかったのか！？」と衝撃を受けた。そしてそこから、鈴木の見え方がだいぶ変わってくる。相変わらず表情も言葉数も乏しい彼だが、自分を狙った犯人のことを考えて怯え、思い悩む様子が伝わってくる。

そして次々と怪しい女たちの存在が判明。まず、大学時代の清家の彼女・三好美和子（本名・真中亜里沙）。かなり感じが悪く、27歳という年齢にこだわる。非常識ともいえる行動や言動を繰り返しているにもかかわらず、清家は彼女の尻に敷かれており、苛立ちを隠せない鈴木のように憤りを感じる視聴者も多いのではないだろうか。

学生時代、鈴木に「別れませんよ」「こんないいもの絶対に渡しません」と清家をもの扱いしつつ宣言する美和子、恐ろしい女………。ところで鈴木の学生時代を演じる西山潤さんが、玉山鉄二さんとかなり雰囲気が似ていてナイスキャスティングだ。

さらに清家の母・浩子（高岡早紀）も登場。彼女が結婚した元夫も兼髙・武智・鈴木と同じような事故で死亡していたとわかる。浩子は、清家と鈴木の同級生で後援会長の佐々木（渡辺大）にもさまざまな指示を出したり、香苗の母が運営する小料理屋にも訪れたりなど、裏で暗躍しているようで恐怖を感じる。学生時代の鈴木とも何かあったようで、二人の関係も気になるところだ。高岡早紀さん演じる浩子が本当に素敵で、鈴木や佐々木が惹かれてしまう気持ちもわかる。

鈴木、結局シロクロどっちなの？

美和子や浩子に対して恐れ、苦悩し、清家にも対立したときは自分の意見を通すよう言われていた鈴木。同じく無表情・無口なのに、だいぶ人間らしい人物に見えてきた。抑えた表現の中、ちょっとした表情の違いや仕草などで、1話と全然違う印象を与える玉山鉄二さんの演技力が素晴らしい。実際にX（旧Twitter）では、玉山鉄二さんの演技に対して「すごすぎて怖い…」「演技が素晴らしい」などの声も上がっているようだ。

またいい人か悪い人かは差し置いても、一つひとつの言動から清家への、ただの友人や上司に対するだけではない強い執着を感じる意味深なところにも惹かれる。一体二人はどんな関係なのだろう。

実はいい人なのでは？ と思う一方で「あいつを利用して親父の仇を取ってやるよ」という過去の発言や5話予告の「清家は私のものだ」という発言から、完全にいい人とも言い切れない。

鈴木、君は結局どっちなんだ？ そして清家のハヌッセンは誰なんだ。浩子との過去が判明する5話も見逃せない。

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TBS系 『笑うマトリョーシカ』 毎週金曜よる10時

ライター：ぐみ
熱量高めなエンタメライター・編集者。
ドラマ・映画・アイドル・アニメなどのコラムやレビュー・インタビューや書籍の執筆・編集も手がける。
コンテンツ編集（人気少女漫画や芸能人の公式コンテンツ制作のほか、広告制作、メディアの編集・立ち上げなど）を経て現在フリー。
音楽とアイドルと物語とかき氷が好き。X（旧Twitter）：＠gumililium