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福原遥、圧巻の“サイコパス演技”を披露 『マル秘の密子さん』でピュアなイメージから新たな境地に

  • 2024.8.10

土曜よる10時放送の『マル秘の密子さん』(日テレ系列)で福原遥が演じる主人公は、敵か味方かわからない謎のコーディネーター・本宮密子。とある目的から、ごく普通の主婦・今井夏(松雪泰子)に近づき、同族経営の大企業・九条開発の社長にすべく動き出す。彼女の目的はベールに包まれたままだったが、第4話にてついに密子の“秘密”が明かされた。

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(C)SANKEI

謎のコーディネーター・密子の秘密は?

九条開発の社長・九条謙一(神保悟志)が謎の火災事故に巻き込まれ、窮地を救った恩恵として仕事を得られた今井家。母・今井夏はヘルパーとして謙一の世話をし、息子・智(清水尋也)と娘・彩(吉柳咲良)もそれぞれ九条開発に就職する。

何かと問題のある父がいなくなってからというもの、貧困にあえいでいた今井家だが、九条開発のおかげで生活を立て直すことができた。

しかし、これまた疑惑のある形で謙一が死去。九条開発の株をすべて夏に譲渡する旨を記した遺言状が残っていた。九条開発の次期社長におさまる人物は誰か、波乱が起きるタイミングで現れたのが謎のコーディネーター・本宮密子だ。

彼女は当初、謙一からの依頼で夏たちの元へやってきた、と口にしていた。それが彼女の嘘だったことが、第4話にて明かされる。

実は密子は姉・小原鞠子(泉里香)とともに、親から壮絶な虐待を受けていたサバイバーだったことが判明。姉の鞠子は九条開発で謙一の秘書を務めていた人物で、過酷な労働環境を強いられ、周囲から追い詰められていたという疑惑があった。その後、謙一と同じく火災に巻き込まれ、命を落としている。

密子が夏たちに近づいたのは、九条開発の内部に入り込み、姉の死の真相を突き止めるためだったのだ。

女優・福原遥の本領発揮

密子を演じる福原遥のイメージといえば、やはり子役時代に出演していた料理アニメ『クッキンアイドル アイ!マイ!まいん!』(2009/NHK)の主人公・柊まいんだろう。

しかし、その後も着実に女優としてのキャリアを積み上げている。連続テレビ小説『舞いあがれ!』(2022/NHK)の岩倉舞や、ドラマ『18/40〜ふたりなら夢も恋も〜』(2023/TBS系列)の仲川有栖、映画『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』(2023)の加納百合などが、記憶に新しいところだろう。

純粋で素直で素朴でまっすぐ。彼女がこれまで演じてきた役柄のイメージを羅列すると、なんともピュアな言葉が並ぶ。しかし、ドラマ『3年A組-今から皆さんは、人質です-』(2019/日テレ系列)で演じた水越涼音など、ダークな一面を持つ役柄も上手い。彼女が持っていた元々の引き出しを、さらに拡充して見せたのが、今作の密子であるとも言える。

一見にこやかではあるが、腹の奥底では何を考えているかわからない。コーチングの技術も持つコーディネーターという役柄から、華やかでソツのない人物に見えるが、目的を達成するためなら手段を選ばないサイコパス要素もある。謎に包まれているが、決して一辺倒には見えない深さ、人としての厚みも感じさせる余白のある演技が映える

じっくり醸造してきた、密子の幅のある人間性を、4話のラストシーンで解き放ってみせた福原遥の演技は圧巻だ。これまで培ってきた経験と実績を土台に据えた、まさに本領発揮といえる泣きの芝居に、SNS上でも言及が多く見られた。

本編は4話まで進んでいるが、密子の秘密が明らかになったここからが、物語としてもおもしろくなってくるところだ。秘密が明らかになった、と言っても、密子の過去の言動で解せない箇所はまだまだある。彼女は本当に、信頼に足る人物なのか? 中盤に差し掛かったタイミングでこれまでを振り返り、あらためて考察してみるのも一興だ。



日本テレビ系 『マル秘の密子さん』 毎週土曜よる10時

ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。
X(旧Twitter):@yuu_uu_